あらすじ
『戦艦武蔵』以前の吉村文学の中核をなす自選短篇集(全二巻)。第Ⅱ巻には、集団自殺へと傾斜する少年たちを描く太宰治賞受賞作「星への旅」のほか、死と隣接する独特の世界を垣間見せる表題作など、一九六一年から六六年までの七編を収める。
〈解説〉荒川洋治
【収録作品】
墓地の賑い/透明標本/電気機関車/背中の鉄道/煉瓦塀/キトク
/星への旅
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Posted by ブクログ
吉村昭の初期短編集のその2。表題作含めて7編が収録。
表題作でもある「透明標本」は大学で検体された遺体から骨格標本を作ることを生業とする男が独自に編み出した技術で透明な骨格標本を作ることに取り憑かれる話。「蔵六の奇病」など日野日出志的ロマンチシズムを感じさせる作品。
評価の高い無気力な若者たちの集団自殺を扱った「星への旅」も面白いが、商品にならないカラーひよこを墓地に捨てに行く少年を描いた「墓地の賑わい」が山野一の「四丁目の夕日」的な地獄味があって印象的。