【感想・ネタバレ】日本の包茎 ――男の体の200年史のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

着実な仕事ぶり。

但し読む前の期待が大きすぎたかもしれない。戦前戦後のテキストが丹念に分析されているが、総括として「『土着』の恥ずかしさ」とまとめられてしまうのが物足りなかった。徴兵時のM検が及ぼした影響をはじめもっと突っ込んでほしいと感じる論点もあった。

また高須の「創造」について序盤で早々に否定しながら、後段で彼(ら)の煽りに対する批判が縷々展開されていく。高須にとっては踏んだり蹴ったりだろうが、いち読者としては一度は凡庸な推論として否定された様に思ったところに結局戻ってくるようで、肩透かしを食った気分になった。

…などと文句から先に書いてしまったが、女性の声を恣意的に引用し、矢面に立たせながら利用する構図、男が男を搾取する構造を、こんなに鮮やかに論証するのは凄い。また既存の男性身体のステレオタイプへの批評も的確で、オルタナティブを探る上での土台になる鋭い批判だと思う。この分析を踏まえて、マジョリティの恥の意識について引き続き考えていきたい。

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あと蛇足だが韓国オタとしては、読みながら『韓国の包茎』が折に触れて頭をよぎった。費用は数万円で日本と桁違いに安く、ネットで検索すると親が思春期の息子に手術受けさせるケースが多い様な記事がゴマンと出ている。本書によると高須も今でこそ嫌韓だが昔韓国に関わったらしく、何がどうしてこうなったのか…。(成形)手術に関する類書はないか、今後探してみたい。
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追記。M検については過去の著作『立身出世と下半身』で思い切り章立てされていた…。そちらを先に読むべきだったかも。今後読みたい。

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2021年09月04日

Posted by ブクログ

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<目次>
序章   なぜ仮性包茎の歴史なのか
第1章  恥と包茎~1940年代半ばまで
第2章  包茎手術の商品化~戦後の混乱期から1960年代まで
第3章  青年と包茎~1970年代から90年代まで
第4章  中高年と包茎~1980年代から現代まで
終章   包茎手術のたそがれ

<内容>
女性社会学者の研究書。戦前は新聞や雑誌の広告、戦後は若者向け雑誌の広告やタイアップ記事などを丁寧に読み込んで、「包茎手術」を悪とし、やらなくてもよい「仮性包茎」の手術で儲けた美容整形医のことや、その中で恐怖にあおられた(モテない・バカにされる・病気になる)背景などをしっかりと分析している。
女性の豊胸手術などとは根本的に違う(「ペチャパイ」好みもいるから)、他人には知られたくない心理を巧みについて様子が読み取れる(高須クリニックなどはとっくに戦線離脱している)。いまだにテレビCMが流れるので(上野クリニック)、まだ一応の需要があるのだろう。第4章のように、ターゲットの年齢が上がっただけ(同じ層の人が狙われている?)なのかもしれない。 

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2021年03月17日

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