あらすじ
地球が滅ぶまで110日。教師は次々失踪し、授業は自習ばかり。そんな中で、今しかできない何かを見つけ実行する。それが、「滅亡地球学クラブ」。部員は自由奔放な部長・玉華、彼女を静かに見守る碧、クールでマイペースな刹那の3人だけ。哲学好きの新入生を勧誘するも断られ......。大人になれない。夢も叶わない。それでも、僕らは明日を諦めない!
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Posted by ブクログ
人生とは、なにかを諦めていくことだと思う。
地球が滅亡するとしたら、なにをしたいかと考えるときに、前はもっとあれもこれもと思っていた気がする。それこそ、伊坂幸太郎の「終末のフール」で、「地球が滅亡しても同じことをする」プロボクサーに憧れて、それくらい「自分のやりたいこと」にたどり着きたいと思ったものだけれども、今もう一度考えると、最後になるなら、本を読んで過ごしたいなとかそういうところに着地して、それなら結局、あまり日常と変わらないじゃないかという気がしてしまう。
前は、「いつか行ってみたい」と海外の観光地をいくつか思い描いていたのだけれども、「行きたい」より「面倒くさい」がいつしか上回ってしまった。お金も時間も、どうにも都合がつかないわけではなかったのに、「行かない」選択をし続けてきたのは私自身だ。
人はきっと大きな可能性を持って生まれてきて、それをいろいろ選んで、同時に諦めて、大人になっていく。
高校生は、可能性が狭まりすぎないけれども、何かを選べるほどには成長していない頃合い。友だちの娘さんは高校の文理選択で、「選びきれないからもう大学行かない」と言い出したらしい。親としては「とりあえず無難に書いておけ」と説得したらしく、親視点としてはまったくもってその通りだけれど、娘さんの気持ちもとても分かる。
なにかを選ぶのはなにかを諦めること。
滅亡地球学クラブの彼らには、「とりあえず」という選択肢がなくて、短期間で、何を選び取るのかを決めるよう強いられている。
両親がいるからこそ、自らの「死に方」としてきっちり選んでいる玉華と、両親がいないなかで、なにを選ぶか模索し続ける碧。
なんというか、親視点から思うところも多すぎる。
諦めたものが大きすぎる気がするけれども、多分、「自分で選んだ」という実感こそが、一番手に入れないといけないものなんだろう。
滅亡を前にした、少し退廃的な、ずっと諦めのモヤがかかったような空気のなかで、それでも青春をきっちり楽しんでいく様子は、どこか切ない。
最後、誰もいなくなったなかで、二人日常を続ける玉華と碧は、でもやっぱりひとつの理想をつかんだんだろうなと思う。
Posted by ブクログ
地球に妖星デルタが衝突し、滅亡するまであと110日
暴動がおこり、情報は統制され、混乱する世の中
先生も次々と失踪し、自習の授業が増え続けるとある高校
滅亡地球学クラブのメンバーは
地球滅亡まで各自のやりたいことを探し、活動を粛々とこなしていく
妖星の観察 ピンホールカメラを使い巨大写真を撮る
地球消滅後の地域史を作る
妖星デルタは本当に衝突するのか?
地球は本当に滅亡してしまうのか?
自分たちにはどうやら来年はない…らしい
でも、今やりたいことを
大好きな仲間たちと
地球が滅亡するその日まで
やり続けたい
終末に向かう閉塞感の中で描かれるほの暗い青春小説