【感想・ネタバレ】由煕 ナビ・タリョンのレビュー

李良枝

在日朝鮮人として生れた著者の、３７歳で夭逝した魂の記録。差別と偏見の苦しい青春時代を越えて、生国・日本と母国・韓国との狭間に、言葉を通してのアイデンティティを探し求めて、ひたすらに生きた短かい一生の鮮烈な作品群。芥川賞受賞の「由熙」、そして全作品を象徴するかのような処女作「ナビ・タリョン」（嘆きの蝶）、「かずきめ」「あにごぜ」を収録、人生の真実を表現。

[ブクログ · ★★★★☆]

圧倒的に優れていることは分かるんだけども、彼女が書く原動力は「在日」韓国人であることそれ一点から強烈に湧き上がってきていて、そのどこまでもただあふれ続ける様に気圧されてしまう。
読んでいて「本当に、それはあなたがそんなにも幸せになれないことに見合うだけのことなのか？」と思ってしまう…。
巻末の渡部直己氏による解説は、本文を読んだ後だと非常に納得の行くものだった。