【感想・ネタバレ】超動く家にてのレビュー

あらすじ

雑誌『トランジスタ技術』のページを“圧縮”する架空競技を描いた「トランジスタ技術の圧縮」、ヴァン・ダインの二十則が支配する世界で殺人を目論む男の話「法則」など16編。日本SF大賞、吉川英治文学新人賞、三島由紀夫賞、星雲賞を受賞し、直木・芥川両賞の候補となった著者の傑作快作怪作を揃えた自選短編集。あとがき、文庫版オリジナルのおまけも収録。/【収録作】トランジスタ技術の圧縮/文学部のこと/アニマとエーファ/今日泥棒/エターナル・レガシー/超動く家にて/夜間飛行/弥生の鯨/法則/ゲーマーズ・ゴースト/犬か猫か?/スモーク・オン・ザ・ウォーター/エラリー・クイーン数/かぎ括弧のようなもの/クローム再襲撃/星間野球/あとがき/解説=酉島伝法

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Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作のバカミスっぷりが振りきっていて素晴らしかった。好みはトランジスタ技術の圧縮、アニマとエーファ、超動く家にて。どの短編も一度読んだら二度と頭からはなれなくなる濃さで著者の新たな一面が知れてよかった。

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・・・とりあえずもぅ、書名がバカバカしいんですが( ̄▽ ̄)
いわゆる「バカSF」を集めた短編集です。鴨は宮内悠介の長編しか読んだことがなく、あの叙情的かつクールな筆致を想起して読むと全く真逆の作品ばかりで驚きました。なぜあのクールな作風の宮内氏が、こんな作品を・・・?という謎は、「あとがき」を読むと解決しますが、実は一番面白かったのはこの「あとがき」であるという(笑)ちなみに、1ページ目の作品梗概もたいがいな出来です(笑)いやー、面白かったー。

いろんなベクトルから「バカ」を追求したSFが納められていますが、そこかしこにハッとするアイディアや叙情性が垣間見えるのが、この作品集の面白いところ。
ほぼ1ページごとに叙述トリックが展開される(ただしほぼどうでも良いレベルのw)表題作「超動く家にて」、古典ミステリ好きにはたまらない「法則」「エラリー・クイーン数」の面白さ/くだらなさも然り、「アニマとエーファ」「弥生の鯨」「ゲーマーズ・ゴースト」のリリカルさと批評性、そして作品を重たくし過ぎないための洒脱さが散りばめられているバランス感覚も然り。頭の良い人間が真剣にバカやったらこんな成果が出るんだな、と納得して読み進められる佳作揃いです。
鴨的に一番びっくりしたのが、「クローム再襲撃」。SF者なら知らないものはいない、サイバーパンク・ムーヴメントの泰斗ウィリアム・ギブスンの代表的短編「クローム襲撃」のパスティーシュなんだろうなぁ。どんな風に変えてるんだろうなぁ・・・と思いつつ読み出したら、ストーリーはなんと、「クローム襲撃」そのまんま。本当にそのまんま。
ただし、文体が村上春樹。
「村上春樹がゴリッゴリのサイバーパンクSFを書いたらこうなる」という、それ以上でもそれ以下でもない作品なんですが、最初の数行を読めば「あー、村上春樹だな」と分かってしまう、まぁハイレベルな仕事ぶり。本文中のどこにも「村上春樹」の言及はないんですけどね。なぜこの作品を書くに至ったのか、その経緯をむしろ鴨は知りたいヽ( ´ー`)ノ

一SF者として、「バカSF」の到達点を見た思いでした。まぁ、「バカSF」に到達点を求める意味があるのか、とも思いますがヽ( ´ー`)ノ
玄人筋にオススメです!本格ミステリ好きにもある意味オススメです!悪くない選択肢だと思います。

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2021年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっとしたバカバカしさを真面目に。真面目であることが面白さに輪をかける。

理系というかデジタル的な知識が必要な部分は飛ばし読みだが、「法則」「星間野球」のようなロジックで魅せる面白さも「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のSF的面白さも色々詰まってる。

うん、スモーク・オン・ザ・ウォーターの設定は痺れたなぁ。長編にして読みたいくらい

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「超動く家にて」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「クローム再襲撃」「星間野球」が特に印象的です。面白かった。
表題作、「ミステリでは謎解きしようと思わないで読んでいても、先入観持って読んでしまうとこあるんだ…」と改めて思いました。そして誰もいなくなった系だなと思うと全員人間だと思うし(少なくとも3人違う)、そもそも何故マニ車?というところからなので、ツッコんではいけない。楽しみました。
「クローム再襲撃」は「パン屋再襲撃」が未読なので春樹っぽさはわからなかったですが、乾いた感じは受けました。
SFは哀愁漂う世界観があるものが好みなんだな…とわかったのは掘り出し物でした。でもバカSFも好き。
著者のあとがきも、酉島伝法さんの解説も面白かった。
著者の作品は、意識せず何作か読んでいました。「ディレイ・エフェクト」「あとは野となれ大和撫子」…確かに色々書かれてるなぁ。

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2023年06月29日

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