あらすじ
『週刊文春WOMAN』大反響連載がついに一冊に!
私たちは“普通じゃない家族”の子だった――。
樹木希林と内田裕也の娘として生まれ、家族団欒を知らずに育った内田也哉子。自身は19歳で結婚、三児の母として家族を最優先に生きてきた。
一方、中野信子は巨大なブラックホールを抱えてきた。その原点は両親の不和の記憶だった。
「樹木希林の結婚生活は生物学的にはノーマル?」
「血のつながりは大事なのか」
「貞操観念はたかが150年の倫理観」
「知性は母から、情動は父から受け継ぐ」
「幸せすぎて離婚した希林がカオスな裕也にこだわった理由」
「幼くして家庭の外に飛ばされた私たちは」
「脳が子育てに適した状態になるのは40代」
「私は「おじさん」になりたかった」
「惰性で夫婦でいるのがしっくりくる」ほか
幼い頃から家族に苦しんだ二人は、なぜ、それでも家庭を築いたのか?
家族に苦しむすべての人に贈る、経験的家族論!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ふたりともなんとなく好きだから読んでみた
これは脳科学の本だな
ふたりとも頭がいいから
そんな家族でも メンタルに異常をきたさずに
生き延びられたのだろうなぁ
うちの親たちも毒親に入ると思うから
ふたりの語り口に 少し救われた
Posted by ブクログ
同世代のお二人による対談。内田也哉子さんも中野信子さんもどちらも大好きなので、飛びついた。
ただ読んでみたい理由はそこだけではなく
"家族"について語っている所にもある。
内田也哉子さん、最近はビールの大人エレベーターのCMで注目してした。
お母さんの樹木希林さんの雰囲気もあるけれど、独特の存在感が魅力。本木雅弘さんと19歳のときに結婚されたという報道もインパクト強くて羨ましい限りであった。
中野信子さん、私の中では『英雄たちの選択』でよくお見かけする脳科学者で、ゆっくりと噛み砕くように話されるその姿が神々しくて見惚れてしまう(話はちゃんと聞いているつもりです)。
お二人共、頭がいい人だって対談読んでいて実感。悩んできた日々を客観視出来るまでに言葉に落とし込むことが出来るって感心する。私も家族にはいろいろ思うところがあるけれど、もやもやと思い返してはイライラするだけで進歩がない。
対談は、内田也哉子さんがまず言葉にして具体例も出して語り、それを中野信子さんがこれまた分かりやすい言葉で分析している。
電子書籍だが、マーカーを何箇所も引いた。
幸せも頂上より途中が感じやすく、その"変化分を検出出来るという原理を知っていたほうが楽"
"人生の戦略は多様であることが大事だからいろんな人がいたほうがいい"
考え方が違う人とは戦略が違うだけだから受け流すのもいい。変に潔癖な私は相手を変えようと動いてしまう。そして「どうして分からないんだ!!」って激情していた。
家族とは…という大多数の固定観念からはみ出すことはなかなか出来ないけど、最終的にこういう楽な考え方もあるんだって分かったことは私にとっても大きなメリットだ。
そして、これからもお二人は同世代の誇りであり、私の憧れである。
Posted by ブクログ
面白かった〜
也哉子さんの本木さんに対する
「もっと楽になれば?」っていう気持ちは
私も家族に思うことが、あるけど、別の側面からしたら、私も思われていることだろうな。
幸せの微分?
納得。今自分がどの位置にいるのか、俯瞰を心がけたいな。
Posted by ブクログ
最近読んだ新書の中では断トツ面白かった!
中野信子さんご夫婦の若かりし頃の写真や、内田也哉子さんとお子さんの貴重なショットも。
テーマは家族の話に限らず、コロナになってからの過ごし方やお二人の半生もわかるような内容。
濃く深い対談です。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かったです!
普通じゃない家庭で育った方の話と、
脳科学を合わせた対談本。
お二人ともクレバーなので、互いの話が噛み合って飲み込んで消化していく感じ。
Posted by ブクログ
ネットで見てなんか気になった『なんで家族を続けるの?』(内田也哉子・中野信子)。
今までの本、そしてこの本読んで、
【本は自分の位置確認アイテムだ】と思える。
自分の頭の中だけだと堂々巡りになる。
Posted by ブクログ
タイトルから家族に対しての内容が多いと思いきや、脳科学を通して色々なジャンルの話が出てきて面白く読みやすかった。家族、夫婦には周りの目を気にしてなる。日本人的な考え方なのかと思ったり。貞淑(ていしゅく)と不倫を好む遺伝子の話が印象的。普通な家族は恐らく存在しなくて、どんなに変わってても、それが普通であるという考え方。人によっての幸せ指数の違い、幸せの価値は他と比べることでしか評価できない。自分が不幸だとしても、幸せの絶対量は測れないため、『後は上がるのみ』大事な考え方だと思う。
Posted by ブクログ
どちらの方もはじめて知ったのだけど賢く、柔らかく、面白い方たちだった
思いついてもなかなか外で普通に話すことは憚られるようなテーマをざくざくと話していくので痛快
かつ強くいうことが面白いというような下品さもない
二人の声が聞こえてくるような対談本でした
Posted by ブクログ
内田也哉子✕中野信子 興味深い対談だった。
どんな家族の形態であれ、生物学的に誤りということはない。という中野の返答になんだか自分も救われた。
家族とは親とは結婚とはこうあるべきという刷り込みに囚われいるのは自分自身だったのだ。
また、脳科学からみた郷土愛や幸せのカタチなどが書かれていて、こういう視点があるのだということを知り、視野が広がり、少し生きやすくなったように思う。
Posted by ブクログ
「家族」「イエ」をテーマに数回にわたって繰り広げられたおふたりの対談。
也哉子さんの家族観を中野さんにぶつける、という質問形式でどんどん内容が広がっていって、止まらない対話が面白かったなぁ。
・どんな親でも脳科学的にはアリということ。
・Be Here Nowに比べたらだいぶ長い時間感覚がある人間は、【無駄】と【効果的】な選択肢がある場合、一定の割合で【無駄】を選ぶ。それは多様性の保持に結びつき、種の存続に極めて重要なファクターだから。
→ココにだいぶ救われた気がした。
あと面白かったのは、不安の存在意義。
→人間というのは総体的に、存続するためにいろんなタスクを乗り越えていくけど、そうやって安心したい、セキュアしたいという欲求を満たそうとしている。でも、それを探させるためにはモチベーションとして「不安」が必要で、それがドライブして、安心な存在とか安心な場所を探させるんだと思う。
従来の家族観に囚われないおふたりではあるけれども、それでもパートナーと生きていく選択をした、その理由が中野さんのあとがき最後に綴られていて、それがとっても素敵だった。
Posted by ブクログ
お客様にお勧めしていただいた本。とても面白かった。以下、心に残った言葉たち。
・アリー効果:生物の原則で、生き物が最も生き残りやすいのは①ぽつんと1人でいる②小さい集団でいる③大きい集団でいるの中で③。人間が同調圧力で人を叩いたりしてしまうのは生物的な原則に基づくとも考えられ、ある種生存本能として仕方ない行動。 生き延びるためには集団になることが1番の武器。だから自分の意思を優先するより、みんなと同じように考えましょうとなるように仕組まれている。
・相手が自分の何かに反応していると言うのはものすごい喜びで、ドーパミンの快感につながる。自己効力感と言って、自分が何かに対して影響及ぼすことができた時、ドーパミンの回路が活性化する
・ 光なのは相手が自分にリスペクトと好意を持ってくれていると信じられることだと思う。その人がどんなに大変な人であったとしても、それさえあれば。(関係は続いていく)
・脳は30歳位まで未完成なので、それまで的確な判断ができないし、人に共感もしにくい。 人間は体と脳の発達のバランスがあまり良くない。体が生殖に向いているのは20代かもしれないが、脳が子育てに適した状態になるのは40代位と言うことを示すデータがある
・現在、フランスの60%近くの子供たちが、婚外子。
Posted by ブクログ
中野先生の本は相変わらず面白い。そして也哉子さんも幼少期から普通の家族って何なんだろうをかかえながら生きてきた人なのだろうということを伺わせる本だった。なぜ家族を続けるのかに対して明確な答えを提示しているわけではないが(それこそ~だからだ!という答えを提示したら、結局いわゆる家族像の押し付けにもなりかねないし)、こんな家族があってもいいんじゃない?とかこういう背景にはこういう理由があって、という知見を広げてくれる一冊ではあるように思う。
以下読書メモ
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・ただ、私たちは社会通念というものをそれなりの年月をかけて学んできてしまうので、マジョリティとされている考え方を「これが正しいんじゃないかな」と蓋然性を持って学習してしまうと、それに照らし合わせて、どれだけ外れているか・外れていないかで、「自分は間違っている気がする」という感覚を持ってしまう
・アホウドリのカップルは三分の一がレズビアン
・科学というのは、統計的な有意差でもって明らかにしていくものなので、それ以外の個性のようなものは、実はまだ科学では扱えていないことがあるんです。つまり、まだ、科学のほうが経験知より遅れているところもある。
・もう一つは「科学でわからないことは、まだわかっていないだけであって、あるともないともいえないですよね」という人。論理的には後者が正しい。私は後者の考え方をしたいと思っています。
・世の中というのは物理的にできてはいるけれども、その上に人間の認知が乗っかっている。つまり、みんながそういうふうに思っていれば、ほぼ存在するのと同じことだといってよいでしょう。人気とか景気とか、いわゆる「気」が付くものはだいたいそんな性質があります。みんなが存在すると思っているから存在する。
・接している時間、育ててもらったという経験によって、脳そのものが変化したわけです。別に遺伝だけですべて決まるわけじゃない。一緒に接している存在もとても大事ですよ、ということを示す実験です。
・知性を司る大脳新皮質、知性は母、内臓などの他の体の部分は父
・AVPR(アルギニン・バソプレッシン・レセプター)というホルモンの受容体に、俗に「不倫遺伝子」といわれるものがあるんですよ。たったひとつ、DNAレベルでいうとたった一文字違うだけで振る舞いが変わっちゃうという。
・ 実は、広く浅くタイプのAVPRは、男性が持っている場合は「離婚遺伝子」といわれ、女性が持っている場合は「不倫遺伝子」といわれます。何となく違いはわかります?男性の場合は浮気が露呈しちゃうとすぐ別れることになっちゃうけど、女性の場合はうまくやっていろいろと得をするということのよ
・ 貞淑になる遺伝子と、不倫を好む遺伝子がある。
しかし実は、貞淑型と不倫型の人数の割合はおおむね五対五と推測されています、ということは、もともと一夫一婦制の結婚には向いていないタイプが人口の半数ほどいるということなんですよ。
・これは母の教えというか、母を見て知ったことなんですけど、とにかく結婚したら相手に何一つ求めないということ。例えば家事でも何でも、「自分がしたいからすると思えば楽だよ」と母に言われました。というのも、父は稼ぎも家に入れないし、いわゆる父親の役割も果たしてなかったのですが、母はよくそれに耐えたなというより、「そもそも求めてないから平気なんだ」って言っていたんです。
・人間なんてその最たるもので、外側が柔らかいから他の動物に食べられやすいし、足も遅いし、筋肉もほ乳類の他種と比べると少ない。生き延びていくには集団になることがいちばんの武器だから、自分の意思を優先するよりみんなと同じように考えましょう、となるように仕組まれている。
・まず、私たちは大きな集団のほうが生き延びやすい。では大きな集団の中でみんな平等に生きているかというと、そんなことはなくてヒエラルキーが作られ、"オピニオンを出す側"と"それに従う側"ができる。だいたいは従ったほうが気分がよくなるように仕組まれている。
・脳も楽できるから心地よく感じるんだよね。でも、"オピニオンに従う側"は実入りが少なくなるということに気付くヤツがたまに現れる。そして裁量権がある側に行こうとする。その場合、その上昇志向のヤツは「みんなの意見に従いやがって、お前は汚い」みたいなことを声を大にして言うと、"オピニオンを出す側"に回れる。こういう共同体構造をつくる仕組みも、同時に私たちは持っているの。
・「人類は平和がいいとわかっているのに、どうしてその方向に進まないのか」ということを経済学分野の先生とディスカッションしたことがあるんだけれど、そのときに、平和な状態って文明の終わりじゃないのかって思った。戦争が多いときのほうが文明が発展したということ?賛否あるけれど、現実の歴史としては、軍事技術がそうよね。
・ 安定しているのに、わざわざ波風を立てるんですよね。そのほうが、生のやり取りをしている感じがする、というか⋯⋯。
→ドーパミンの快感が欲しいからじゃないかな。相手が自分の何かに反応しているというのは、すごい喜びなの。自己効力感といって、自分が何かに対して影響を及ぼすことができたとき、ドーパミンの回路が活性化するんだよね。それが「自分が存在する理由だ」と思い込んでしまうほどには、そうだと思う。安定して何もしない、何にもコミットできないというのは、実はストレスなの。
・ 私、惰性というのは大事だと思っているの。「惰性で続いている」というのは収まるべきかたちに収まった、という意味でしょう。水を流すと溜まるべきところに溜まるでしょ。そういう生き方を目指すべきなのではないか
・自分の意思で水を止めたり、無理のあるところに溜めようとしたりしても、あまりいいことが起きないような気がする。これがブラックホールの原因なんだと思う。押しとどめたいと思っても、押しとどめようと無理をした結果、ブラックホールができたり気づいたりしてしまうのなら、無理するのはやめようと思った。
・ 大切なのは、相手が自分にリスペクトと好意を持っていてくれると信じられることだと思う。その人がどんなに大変な人であったとしても、それさえあれば。
・例えば「私の夫はイケメンである」と言ったとしましょう。これは真か偽か。「写真を見せろ」とか、「会わせろ」とか、第三者から見てイケメンであるかどうかとか、判定できる何らかの材料をよこせということになりますよね。これが提供できて第三者から見てわかる材料がある状態を「反証可能性がある」という。つまり、反証というのは、「イケメンではないじゃないか」と反論できる材料。これがないと、「反証可能性がない」。で、自然科学である脳科学では、反証可能性がないといけない。
・ひとりの空間を確保したい。けれど、でも孤独は嫌だというダブルバインドは不安定な感じがして不快かもしれませんが、実はヒトの特徴でもあります。
・キレそうな自分を抑えるのに必要なのは「メタ認知」です。自分の思考や行動を俯瞰の目で眺めることです。メタ認知ができれば行動を制御できます。私はカーッとなりそうなとき、その「ロックですねえ」を思い出します。すると、ああ、切れてはいけない場面だ、とブレーキをかけられるようになりました。時々失敗しますが、ぜひ、カーッとなると思い出す何かを、感情に紐づけておくことをお勧めします。
・ また、脳の0FC(眼窩前頭皮質)という部分は「共感の領域」といわれ、相手の持っている感情に寄り添うところです。ここも同様に成長が遅いので、お母さんがこう思っているだろうな、こんなことをしたら嫌だろうなと察することは、子どもにとってはかなり困難です。
・ 何か嫌だなと思うことがあった日は、じくじく考えるのが嫌なのでデスノートにつけているんです。そこに書いてしまったら、もうそれきり考えない。そして後でお焚き上げをする
・人間は身体と脳の発達のバランスもあまりよくないですよね。身体が生殖に向いているのは二十代かもしれないけれど、脳が子育てに適した状態になるのは四十代ぐらいだということを示すデータがあります。
・いやいや。考え過ぎると子どもって作れないようになっているから。恋愛をするときは理性が働かなくなるでしよ。「この人好きだな。この人の子どもが欲しいな」と思うのは、理性と違うメカニズムが働くんですよ。人間は理性を働かなくさせるという有性生殖の仕組みを何万年も保っているのにもかかわらず、それでも理性も大事という。
・ ずっと先のことを考えられるのは人間だけの特徴なので、その理由での自殺というのは人間だけなのでしょう。
・ショックでした。死ぬ理由なんてどこにもない。何もかも順風満帆に見えたのに。今生きていらしたら、すごく活躍していたと思う。彼女の死を思いながら、私は死んではいけないと思った。生きていくのがしんどくて、今日生きているのもやっとだ、でも、取りあえず石にかじりついてでも生き延びて、やり過ごして、風がやんだらまた進もうと彼女のことを思ってがんばったことがあったんです。どんな人でも人間のつながりがあって生きている。人が命を絶つということは、想像を絶するダメージを周りにも与えているわけよね。どうしたらそういうことを止められるのだろう。あまりにももったいない。もったいないことをみすみす見過ごすのは本当に切ないです。
・ すごく真面目な人というのは、一増えるハッピーよりも一増える苦しさのほうをずっと大きく感じるの。九十九人が絶賛しても、一人が攻撃してきたとか、ちょっと皮肉を言ったとか、それだけですごく大きく感じてしまう。そういうこともあるんですよ。
・神田橋條治という精神科の先生が考えた、一回死んでみるという方法があるんです。自分の身体の緊張を解きほぐしていくために、「左手がだんだん重くなります。力が抜けてきました。左手が温かい」とかいって行う自律訓練法というのがあるの。その先生は、うつの人が死ぬことを決意するといったん元気になるという現象に着目したんですよ。
・死ぬことを決意している人がいたら、「じゃあ一回、一緒に死んでみようか」と横たわるのね。で、「あなたはもう死にました。今からあなたの肉体の肉がどんどん溶けていきます。腐って、溶けて、土に還っていきます。今、だんだんあなたの体は骨になってきました。骨になって、日光にさらされて、どんどん白くなっていきます。白くなって、残った肉もどんどん干からびて落ちていきます。体をゆすって残った肉を全部落としましょう。あなたはきれいに白い骨になりました。好きなだけ死んでいていいですよ」。そしてまた、「そろそろ生き返りたくなりましたか?」というところから始めて、「だんだん溶けた肉があなたの骨のところに集まってきます。肉がだんだんかたちになって、ほら、指が動くようになりました。気力がみなぎってきたのがわかるでしょう。さあ、起きてください。あなたは生まれ変わりました。」とやっていくんです。
・ 人間は生物の中で唯一、将来を憂えて命を絶つということがあるけれども、逆に想像力で死を体験することだってできる生き物な
わけじゃない?
・ 私たちは誰もが複数の側面を内包しながら、これらを使い分けて生きている。あなたが私だと思っているものは私ではない。一時的に、そういう側面を見ているだけ
・そのとおりで、私たちはいろんなペルソナをバラバラに持っていて、そのバラバラな自分がモザイクのように融合して一つの形になっている。ただ、そのペルソナは学習して獲得しているんだよね。例えば、「名誉男性」と呼ばれるのがしっくりくるような女性たちは、男性原理社会の中で認めてもらえるよう、成功した男性を見ながら、男性社会で生きるためのペルソナを必死に手に入れた
・ 視覚には説得力があるようで、実は上書きされやすく、すぐに忘れてしまう。だからテレビよりラジオのほうが人を説得できるという研究もあるんです。例えば流行りの歌のフレーズが何回も頭の中でループすることがあるでしよう。音は記憶の中刷り込まれやすいの。私たちの先祖は夜行性のほ乳類で、暗闇では聴覚が頼りだったことの名残なのかもしれない。
・例えば、脳は私たちの睡眠中、記憶を整理し、それを固定させたり消去したりしている。脳に蓄積したゴミのウォッシュアウトもしている。眠っている間も脳は働いているんです。
・ 人がなぜひとりぼっちだと心細く感じ、ほかの人と一緒にいるとなぜ安心なのか。人といると生存確率が上がるからなのね。敵が現れたらどちらかが戦えばいい。つまり二分の一の労力で済むわけ。一緒にいる時間が長くなればなるほど、それはその人と生き延びられたという実績になるので、もっと長くいさせようとする。そのために、脳ではオキシトシンが働いてその相手との間に「絆」を感じたさせ、できるだけその人と一緒にいて生存確率を高めようとする。場所についても同じことがいえるのであって、その場所に長くいたというととは、つまりそこで生き延びられたという実績として、いわば脳に刻まれるわけです。十六代といったら戦国時代から続くお家であるわけでしょう。
・ いろいろなパートナーを求めることは別に人間として不自然だとは思わないけれど、ルールがある以上、ルールを犯さないように振る舞うといらのも人間の知性だから、それはその人の裁量、ということになっちゃうよね。
・家族という機構はたしかに、ごく客観的に、機能面からだけで見ても、実に多くの役割を持っています。性、生殖、扶養、経済的生産、保護、教育、宗教、娯楽、社会的地位の付与等⋯⋯。けれど裏を返してみれば、こういった機能は社会の変化に沿って、大きく変容し続けていくものである、ということも言えるのです。家族のあり方というのは、一意に定まるようなものではなく、歴史的、民俗学的に見れば多彩な様式が存在しました。
・ 「一家の大黒柱」として収入を得て、その収入によって家族が運営され、妻は家庭内の切り盛りをし、分業的に子を養育していくという形です。その形をとると次世代を残すために効率的な分業が可能になるのと同時に、社会的にはもう一つのメリットもありました。何が便利だったかというと、会社組織ないしはコミュニティが、男性を働かせ続けるために妻子をいわば人質にとることができるわけです。人質というのは聞こえが悪いかもしれませんが、扶養家族を持っていることで、男は簡単に離職することができなくなるわけです。そこに、女が働くことはあまりよしとされないという通念も主として経営側の論理として生まれてきます。組織体にとって、婚姻関係によって妻子を持たせるというシステムは、労働力の確保という点では極めて理にかなった構造であったのです。
Posted by ブクログ
家族のことで悩む人は多いと思う。
脳科学の視点から読み解いてみると、腑に落ちることや新たな発見があるかもしれない。
著者のおふたりが、家族を読み解くために、両親、夫婦のことを赤裸々に語っているのに驚きつつ、感謝。テレビでお馴染みのおふたりのせいか、とても面白く読めた。
本筋からずれるかもしれないが…樹木希林さんは、常人には真似できない、唯一無二の存在。
人間性の厚み、迫力って、画面からも伝わるんだなあ。
Posted by ブクログ
元々テレビで見て好きだった中野信子先生。
中野先生の本読んでみたいなーと思っていたところ、内田也哉子さんとの本が!ということで読んだ。
おもしろい。
なるほど、そういう考え方もあるのか。
自分の育った家族の在り方も、私が選んだ家族の在り方も、いろんな家族があっていいんだ。
Posted by ブクログ
朝イチに出ていた内田也哉子に興味を持って。(以前からだけど)その声とか話し方とか好き。
三浦春馬の死にも触れていた。衝動的ではあったと思うけど
いろいろ準備するめんどうがあったはずで強い意志があったはず。と中野談。
99人の絶賛より1人の攻撃がこたえるとあった。
私も今だに三浦春馬と竹内結子の自死は”どうして”と思ってしまう。
家族の言及よりも話しがそれた時の会話の方が面白かった。
遠い昔は寺院での”稚児灌頂”や歌舞伎役者のまだ修行中の少年たちが男色を売る”陰間茶屋”という言葉も存在も初めて知った。
Posted by ブクログ
破天荒な父親をもち、これまた普通じゃない家庭生活を続けた母親。内田裕也と樹木希林の娘なんて、辛かっただろうなと想像に固い。アイドルもっくんとの結婚は、さぞかし素晴らしいとおもいきや、普通だなと思う。人間、どんな環境でも、対応するものだと、納得。対談する内田也哉子と中野信子のやりとりが、非常に面白かった。脳科学をもっと知りたいと思った。
Posted by ブクログ
中野信子の、家族関係や夫婦に対する考察に共感する部分があった。
人には孤独によるストレスAと、集団に合わせるストレスBがあり、ストレスAを強く感じる不安型と、ストレスBを強く感じる回避型がある。母親から引き離しても泣かず再開しても無関心なのが回避型で、私は回避型だと思った。生後6か月〜1歳半までの間に決まる脳の機構が影響しているらしい。オキシトシンの受容体の密度が、この時期に決まる。
Posted by ブクログ
『なんで家族を続けるの?』
中野信子 内田也哉子
最近一番の悩みは家族関係の事なので、題名に惹かれて読んでみました。
お二人の対談形式で書かれています。誰もお供につけず、本当に2人だけの空間で対談を繰り返したそうです。
内容は、やはり中野信子さんが話し手だと、家族のことから端を発し、結局あまり関係のない脳科学の話になる事が多く、期待していた内容とは違いました。が、それでも面白く最後まで読めました。
樹木希林さんの生き方、本木雅弘さんが想像してた感じの人と違うこと、羽生善治と藤井聡太が目をつぶって話す理由など、印象深かったです。
最もインパクトがあったのは、中野信子さんが作った、幸せのグラフというもの。中野さん曰く、幸せのカタチとは微分なんだそう。微分なんてわからないよ〜と一瞬尻込みしましたが、そのグラフを見て、なるほど〜となりました。私はもれなく、幸せとは感じられない人のグラフでした。
あと、個人的に救われたのが、「メタ認知」(自分の思考や情動を俯瞰の目で眺めることだそうです)に関する脳のDLPFCという領域は、30歳位まで成長が続き、それまでは未完成という事実です。同様に、OFCという「共感の領域」といわれる脳の部分も成長が遅く、この二つの成長が未熟なせいで、子供は、{ゆっくり考える、我慢する、こんなことをしたら嫌だろうなと察する}といったことが困難なんだそうです。私は、子供だからと子供扱いしないという考えで、なんでうちの子はこんなに思いやりに欠けるんだろうと悩み、人としてダメなんだなと諦めていたのが、自分の認識が間違っていたとわかり救われました。子供が30歳になるまでは、未完成であることを許す気持ちが試される試練の時だそうです。今まで、子供にとって鬼のような大人だったんだなと反省しました。
Posted by ブクログ
中野信子と内田也哉子という超個性派同士の対談はピンとこない箇所が多々あったけどもしかしたら近い将来、またはふとしたきっかけで思い出しそうな内容が多かったと思う。
その時のために重要だと思われる箇所は書き残しておこう。
Posted by ブクログ
世間が“良きもの”として捉えてる家族像は、案外強固なものじゃない。
出産や育児をアウトソースする時代が、もしかしたらすぐそこにくるかもしれない。
Posted by ブクログ
テレビで見る中野信子さんは、あまり好きではなかつたけれど、この本を読んで印象が変わった。努力を積み重ねて勉強してきたことや、伝え方が上手なことがよくわかった。人は、相対評価で自分の幸せ度を測りがち、と言う指摘は興味深かった。他人とではなく、過去の自分と比べること。
Posted by ブクログ
家族とはなにか。結婚とはなにか。を対談されている。家族の形に正解はないし人それぞれだと思った。樹木希林さんと内田裕也さんの夫婦はいろいろあったかもしれないが、素敵です。
また、中野さんと内田也哉子さんお二人の芸能人が芸能人の世間話(芸能人の自殺、芸能人の違法薬物使用、芸能人の浮気の話題)をしているのがなかなか面白い。
Posted by ブクログ
読みやすくて興味深いことがたくさん書いてあった。
特に印象的だったのは、6章の、幸せのカタチを微分で知る
1人の人一生をグラフで表したこの話、わかりやすかった。
人と比べることに意味はないので比べないようにしようと思っているけど、比べて落ち込むを毎度繰り返していたので、やっとそれから抜け出せそうな気がした。
そして、人間は比べないと幸せを測れないぐらいに愚かという一文も、なるほどと思ったし安心出来た。
また、結婚の話や、家族のあり方の話も、そういう考え方かあるのかと少し安心出来る部分があったし、視野が広がったように思った。結婚出産出来ていない自分をコンプレックスに思っている自分には、腑に落ちる部分があった。