【感想・ネタバレ】「中国」の形成 現代への展望のレビュー

あらすじ

さまざまな勢力が併存,角逐する一七世紀.そのカオスを収拾し,東アジアに君臨した清朝の「盛世」から,多元共存システムがほころびをみせる一八世紀.西洋の衝撃,革命と独立によって清朝が潰え,ふたたび混迷する一九世紀,そして現代へ――.一元化と多元化を往還しつづける,平和と騒乱の四百年を描く.シリーズ完結.

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

p105の図が衝撃的。私たちが「国家」というと、近代の国民国家を想定してしまうが、清が達成した盛世はそれとは全く違った社会であることがわかる。未だに、明が直面した課題に中国は格闘し続けているのだなぁと掴むことが出来た。清の「成功」は、「因俗而治」で、緩く統合することに成功し、平和を達成したこと。そこには、西洋から大量の銀の流入がインフレをもたらし、空前の繁栄をもたらした。
p89「分岐」は、世界史としての問いを浮き彫りにしてくれた。現代にも通じる移民の問題。そして、なぜイギリスが「財政=軍事国家」として、資本主義を発達させることができ、同時期、同じように発達できる条件を備えていた清が、そうならなかったのか?そこには、ガバナンスの違い。信用を育む社会的な制度が無かったからではないか?の指摘には唸った。
清は、民間委託をしたウルトラチープガバメントだのくだりには、小泉政権の民営化路線で、日本も同じことをやっているな~と「歴史は繰り返す」と思ってしまった。
琉球処分が清に与えたインパクトの大きさで、従来の緩い連帯から、国民国家としての強いガバナンスへと転じたのくだりには、想像の共同体の変容を感じた。

0
2021年02月08日

「学術・語学」ランキング