あらすじ
お前を抱く。だが、愛ではない
冷酷な銀行家と借金の形(かた)となった元士族令嬢
貿易商の妾になるはずだった小夜子は、相手の失脚により銀行家の安岡秀樹に債権として身柄を拘束される。高級娼婦として返済を負うことになり、秀樹によって淫らな調教が施されるが、彼は最後の一線を越えようとしない。「お願い、もう私を女にしてください」冷酷に振る舞う秀樹の瞳の奥に揺らぐ愛を感じた小夜子は、いつしか懇願するようになってしまう。しかし秀樹には実業家令嬢の婚約者がいて…。
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ストーリーに目新しさは無いのですが、結構引き込まれました。
お互いに、ハッピーエンドにするにはかなり厳しい環境。
どうくっつけるのかな、と思いましたが、なるほど、納得な現実的な展開で良かったです。
表紙からもわかるように、ライトな調教系なので、苦手な方は気を付けて下さい。
結局、一目惚れだったんでしょうね。
いきなり調教で好きに、私はなれませんわ。
大正という時代の息苦しさ
まずは小夜子さんが、かっこよかった。どんな逆境に立たされても、その時にできる自分の最善の選択ができる。それも、他者を思いやれるところが… 自分だってそれどころじゃないのに…ここに、彼女の人間性の真価が表れているといっても過言じゃない。
調教も、挿入なき官能… ここまで寸止めにされても、興が削がれない調教シーンて、私は初めてだつた。
これは、どこまで挿れずにいけるかも見も…ゲフンゲフン
あとがきには、朝ドラ『おちょやん』のタイトルが…(特に本作とはあまり関係がありません)最初の方はおちょやんの序盤みたいだなー、とはちょっと思ったけど…
それよりも、後半、九州の炭鉱王に嫁ぐって『花子とアン』ですか?白蓮事件の前哨戦ですかっ??ってwktkしちゃいました。
大正時代はとても捻じれの酷い時代だと個人的には思っていて、大正デモクラシーとか、個々の自由とか活動家がでてきたり、近代史では華やかで活発な時代である一方、家長制度、家制度は健在で、女性の人権もまだまだ認められていない時代。
妾持ちは男のステイタス。でも、お二号さんの苦しみ悲しみ、正妻のプライドと孤独という、嫁いだら地獄というイメージが強い。まさにそれを鮮やかにストーリーに落とし込んだこちらのお話は、見事です。
Posted by ブクログ
彼が本当に彼女を商品として躾けているのか、最初から愛があったのか。
それとも、彼女が今後女一人でも生きられる術を教え込もうとしているのか。
彼の本心が見えないのと、仮にこの状況で結ばれたとしても、この二人が幸せになる結末が全く想像できなくて、非常にハラハラしながら読んだ。
婚約者がいる身の上なのに(粗筋には書いてあるが、その事実が発覚するのは終盤近い)男を虜にするよう教育しつつも、彼女に惹かれているような描写だし。
彼女にどきっとする言葉をかけられるたびに動揺していたのが可愛くもあったし。
非情になり切れない男である。
途中からは惹かれ合ってはいたようだが、彼女は買われた身だし妾にしかなれないのを分かっているから、愛は本物だけど、その愛がいつか終わると分かってもいて。
彼の方は前述通り婚約者もいるし、そもそも実家が名家で彼自身の身の上も複雑という難易度マックス。
この状況で結ばれても、愛だけでは生活していけそうにない。
だから、別れは容易に想像できても、この二人が幸せになる結末がどうにも想像できなかった。
どう着地させるのだろうと思っていたら……成程。
結ばれても文句を言わせない立場になればいい。
その分かりやすさ、よし。
何度も言うが、二人が幸せになる結末が想像できなかったので(濡れ場も調教系に近かったから、幸せがより遠のくという)ちゃんとハッピーエンドで終わってくれたことが嬉しかった。
彼がちゃんと彼女を愛して、彼女の愛を信じていたことも嬉しかった。
序盤、本当に彼の想いが見えなかったから。
この先も苦労はしそうだが、社会の色々な面も見てきた二人だから乗り越えてくれると思う。
マニアックだった分、今後は溺愛系で頼むぞ旦那様。