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Posted by ブクログ
20年前に書かれた終末論。ありきたりと言えばありきたりなのだが、現在に至るまで事態はまったく改善されていないわけで、今読んでも古びた感じはまったくしない。
特に核エネルギーについては、2011年の原発事故を、原因から経過まで予言しているかのよう。
ただ、様々な終末論を論じる中で、共通の原因として挙げられているのは、人類を人類たらしめている”知性”そのものだ。
知性あるがゆえに人類は発展し、知性あるが故に滅びていく。
そんな予言の書なのかもしれない。
たとえば核エネルギーについて。
原子炉の耐用年数は、40年から60年くらいなのだそうだ。
これに対して高レベル放射性廃棄物の最終処分に必要な時間は数万年。
(この曖昧さが物事の重大性を表しているともいう)
たかだか人間の寿命にも及ばない繁栄のために、数万年もの時間を対価として差し出す。これが今の人類の核エネルギーに対する態度なのだ。
一個人としてはあり得ない交換レート。でも、それを容認するのが知性なのだとすれば、やはり人類は知性の故に滅んでいくのだろう。