あらすじ
あなたの罪は、生き延びてしまったことです。
夜闇に輝くパレード、大好物ばかりのご馳走、笑顔の父と母。
家族で遊園地に行ったあの日、幸子は夢のような時間を過ごした。
そして――
両親は家に火をつけて一家心中を図り、幸子だけが生き残った。
工場の事務員として働き始めた幸子は、桐生隆哉と出会い、惹かれ合うようになる。しかし、幸子は隆哉に「一家心中の生き残り」であることを告げられずにいた。隆哉の部屋で料理を作ろうとした幸子は、コンロの火を見てパニックを起こしてしまう。
過去に決別しようと両親の墓を訪れた幸子は、雪絵という女性に出会う。
「あたしが、子供たちを殺したんです」
子供たちを乗せた車で海に飛び込み、一家心中を図ったシングルマザーの雪絵は、生き残ってしまったのだという。
彼女は、墓地から蘇った母だった。
雪絵との運命的な出会いにより、幸子の人生が大きく動き出す。
そして、加害者と被害者の思いが交錯した時、衝撃の真実が明らかになる――
『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』で最注目の乱歩賞作家が放つ慟哭のミステリー!!
※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。
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Posted by ブクログ
怒りと憎しみ、恨み、復讐、負の感情で支配されていく幸子。
ずっと暗闇の中。
読んでいて苦しかった。
元々、何か言われれば、否定的なことを思うし、恋愛に発展しても相手の言動一つ一つに緊張。
幸せになりたいのに、できない、いいのかと遠ざける。
自分の思いをぶつけることができる相手を見つけては、復讐心が加速する。
手紙にしても矛盾が、違和感があるのに、点と点を無理やり繋げて、自分の考えだけの物語の完成。
彼女が作った物語が崩れたときの葛藤。
幸子が見ていた景色が変わる。
雪絵、美香、郷田の告白。事実。
加害者、被害者、怒り、復讐、赦しとは。
Posted by ブクログ
よく考えられたプロット。文庫本の帯にあるように、最後見えていた光景がパタパタと反転する。
主人公は一家心中の生き残りの少女。大人になっても親への恨みを抱えているためか、主人公に感情移入がしにくい。主人公のその感情が物語のベースなので仕方がないのだが・・・。