あらすじ
あの超人気作家、夢枕獏氏が大絶賛した、第5回『このミス』大賞優秀賞受賞作が待望の電子化! 「何年かに一度、時おり、動物パニックものの傑作が登場する。西村寿行 『滅びの笛』、吉村昭 『羆嵐』、志茂田景樹『黄色い牙』。本書、増田俊也の『シャトゥーン ヒグマの森』は、久かたぶりに出たこの手の話の傑作である」(解説より)
マイナス40度も珍しくない極寒の北海道・天塩研究林。そんな土地に集まった、学者や仲間たち。そこへ雪の中を徘徊する体重350キロ、ライオンの首を一瞬でへし折るパワーをもつ巨大ヒグマ、シャトゥーンが襲いかかる! 電話も通じない孤立無援の状況下から脱出することは出来るのか!?
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Posted by ブクログ
渓流釣りや狩猟をそのうちしてみたいと思っていたのだが熊が怖すぎて無理になる。本州にいるのはツキノワグマでヒグマではないのだが、それでも熊というだけで超怖い。ヒグマのついていろいろ詳しくなった。
とても面白くて最後までぐいぐい読んだのだが、最後の方はちょっと大味だった。娘が何度も口にくわえられて連れて行かれそうになるのにあんまり怪我をしていなかった。子供が悲惨な目に会うのは読んでいてつらいのだが、それまで無慈悲な鬼神ぶりを発揮していたのに、トーンが変わっていた。庁舎にたどり着いた時になんで娘を一緒に建物に入れないのだ?と疑問がわいた。
Posted by ブクログ
本作は、ヒグマが怖い!という描写を煮詰めて煮詰めて出来上がったパニック小説だった。描写は生々しく、登場人物の大半があっけなく死んでいく無常感がとても良かった。
ヒグマの強さの描写もいい。『こんなんどうやったって無理やん』というようなヒグマの肉体の強さが全面に押し出されていて、絶望感もよく出ていた。
ただ、私は作中で出てくる『雑学』が気になってしょうがなかった。本作は、車も銃火器もない小屋に何人かの男女がヒグマの脅威から逃げるために閉じこもるところから話が始まるのだが、その中で研究者がヒグマや北海道の自然について雑学を披露したりするところが散見される。
いや、ヒグマに襲われて食料もほとんどない小屋に閉じ込められて、尚且つ何人か人が死んでいる状態でする話かそれは。
その雑学のほぼ全ては2パターンで構成されており、一つ目は『ヒグマは怖くてやべー生き物だ! ライフルもない状況でタイマン張って勝てるわけねぇよ』、二つ目は『人間の身勝手で生態系が壊れる…!くそー人間めー!』である。私は正直言って、もう少しだけパターンを用意してほしかった。
個人的に本作で一番面白かったのは、薫(主人公)が昭(薫の兄で研究者)に向かって説教を垂れているところだった。昭は北海道の自然を守ろうと奔走しており、その結果、人の死を隠蔽したり過激なことをしていたのだが、それを知った薫が『いや、自然の前に自分のこと考えろよ』と、昭の自然の理解者ぶった傲慢さを暴いたところが気に入った。
Posted by ブクログ
ツッコミどころ満載だった!
噛みつかれてる最中、言葉もわからない熊に「お願いだからやめて!」と、冷静に言えるものなのかなーとか…
チェーンソーは操作できないのにブルドーザーは操作できるのか…と思ったり。
匿名
第二の羆嵐
漫画を昔読んで、小説版があると知って最近購入。「羆嵐」はヒグマ自体の恐怖が主体的だけどこの作品はヒグマに襲われることで発生する事象への恐怖を強く感じる作品。生きたまま食われるシーンの悍ましさがよく伝わる素晴らしい描写だと思った。
Posted by ブクログ
怖いには怖かったのですが、それ以上に面白かったというか…。
「ふっ」と笑ってしまうというか、
「ぷ」と吹き出してしまったというか。
凄惨さも度を越すと笑えるんだなと思いました。笑
巨大ヒグマの攻撃は破壊力に長けていて、
人間が人形のように扱われてしまうわけですが、
それでも必死に戦う人々の姿に時折ユーモアが混ぜてあるとしか
思えない文章というか…
(私だけがそう感じるのかもしれませんが 汗)
例えば…
「立ち上がって右手で左肩を触り、そこから先がないのに気づいて舌打ちした。」
とか。
例えば…
熊の爪が頬を貫通したと分かった瞬間「何するのよ!」と叫んでしまう人とか。
人々の思考や挙動が冷静すぎるというか、
非日常の中にいるのに思考や挙動だけは日常的というか。
ミステリーというよりホラー&ユーモア…
Posted by ブクログ
なぜか最近「熊もの」が読みたくなり、「ファントム・ピークス」を再読し、次にこれです。
「シャトゥーン」て何のことかと思ったら、冬眠に失敗した熊、「穴持たず」のことだったんですね。
穴持たず(お腹空いてる)で子連れで怪我してる。
そんなヒグマのギンコが、何度も何度も執拗に襲ってきます。
「いやしつこいだろ!」と思うむきもあるでしょうが、でも今まで「羆嵐」とか「ファントム・ピークス」とかで、ヒグマは自分の獲物に異常な執着を示す、というのを読んでいるので、それがヒグマなんだろうなぁと。
とにかく狙われたら最後。
この本に関しては、ギンコが襲ってくるシーンは迫力がありましたが、なんかアッサリ最初の犠牲者が出るし、
薫と美々母娘に関してはラッキー過ぎるし(なぜ美々だけは何度もくわえて森へ入ろうとするばかりで、その場で食べないの?)、密猟者の西に関しては最終的にただのロリコンだったしで、登場人物がなんだかなぁでした。
最初の犠牲者がフィンランドだかスウェーデンだかの人だった意味もよくわからない……。
「シャトゥーン」を言わせたかっただけ?
その妻が妊娠中だった意味もあまりなかったような。
過去に拒食症だった、というのもなんか関連があるのかな? と思いきや何もなかったし。
なんかあるのかな~?なんて思ってた方が間違い?
パニックもので映画になったとしたら、迫力はあるかも。
でも、私は観には行かないかな……。