あらすじ
世界の今の見え方が変わる!
地政学とは何か--?
ナチスも利用した「悪魔の学問」ではない。
ビジネスにも不可欠な「弱者の生きのびる知恵」である。
出口治明が語り下ろす、目からウロコのエッセンス
≫地政学はなぜ必要か?
平たくいえば「国は引っ越しできない」から。
≫「陸は閉じ、水は開く」
--シュメール人のことわざに地政学の萌芽があった。
≫「どうすれば、サンドイッチの具にならずに済むか、という問題」をめぐって、世界史の権謀術数は繰り広げられてきた。
≫海上の覇権争奪戦に関係するシーレーン(海上交通路)において、「鍵をにぎるのが半島や海峡」である。
≫「人間の真の勇気はたったひとつである。現実を直視して、それを受け入れる勇気である」 --ロマン・ロランの名言から、日本の今を紐解く。
【目次】
第1章 地政学とは?
1.地政学の一般的な定義について
2.地政学の最初の一歩
3.日本で文明の第一歩は北部九州で始まった 他
第2章 陸の地政学とは?
1.どうすれば自分の住む国や地域がサンドイッチの具にならずに済むか、という問題
2.ローマ教皇領を巡る攻防史
3.フランス王家とハプスブルク家のサンドイッチ攻防史 他
第3章 海の地政学とは?
1.半島や海峡の重要性
2.最も古くから発達し、近世まで世界の中心にあった地中海のシーレーン 他
第4章 日本の地政学とは?
1.日本が置かれている地政学的な現実
2.これからの日本はどこと同盟を結べるのか、それとも「日本ファースト」か 他
第5章 地政学の二冊の古典について
1.マハンが着目した「シー・パワー」が与えた影響
2.マッキンダーはなぜ「地政学の祖」と呼ばれるのか
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Posted by ブクログ
欧州の歴史を振り返りながら説く陸の地政学。大航海時代からの海の地政学。地政学という名は冠されているが、基本的には歴史解説の書のように感じた。
最後の日本の地政学の解説は、歴史に詳しい著者らしい鋭さで、非常に勉強になった。
Posted by ブクログ
ある程度の世界史と地理の知識がないと全くチンプンカンプンだと思われるので、万人向け入門書ではないが、地政学を考える上で羅針盤となるような優良書。著者の博覧強記とわかりやすい教授力は驚嘆もの。このような本が読みたかった。
Posted by ブクログ
・地政学が存在する大前提=「国家は移動できない」。どうすれば自分の国や地域がサンドウィッチの具にならずに済むか。移動ができないことを前提に各国や地域の権謀術数を繰り返す。地政学を自国のエゴのために曲解するのは容易いが、著書を通読して、隣国との共存共栄に活用するという視点が地政学の根底にあるという視点に共感した。
・ヨーロッパにおけるフランク王国圏と現代のEU構想の共通点。著書は2021年初版であるが、EUの連携強固がロシアにとって大きな脅威となることを示唆した先見性に驚愕。
・第4章の日本を取り巻く地政学の現状分析は現代の近視眼的な世論に警鐘を鳴らす内容。
「現実を直視し、受け入れる勇気が必要」というフレーズは、当時APUの学長という立場にあった出口氏の覚悟と重みを感じる。
感情論を克服するのは非常に困難だが、冷静で広い視野と中長期的な時間軸のもとグローバル戦略を考えることが必要。
・第5章 マハンの海の地政学に現れるシーパワーという概念は現代の中国海洋政策に色濃く影響。
マッキンダーの陸の地政学は、ww1終結後に提唱されたが、再度の大衝突への警鐘、それを防ぐための地域のコミュニティと国際的な平和維持活動との両立の重要性を提唱。優れた古典はどの時代でも色褪せず通用することを証明。
Posted by ブクログ
安定の出口先生。サンドイッチの多用で無理矢理タイトルに近づけていると感じた。地政学てタイトルにすると売れるんだろう。しかもサンドイッチ多用の歴史話のほうが後半の地政学話より面白い。
Posted by ブクログ
【一部分概要のみ】
・海の地政学と陸の地政学
・日本の地政学の歴史を考えたとき、世界が欲しがる商品はない 。だからこそ鎖国は上手くいった(鎖国自体評価しない)
・あるとすれば大国中露の太平洋進出への入口としての立場。しかし冷戦後にそれの重要性は低下しつつある。つまり、海外から興味を向けられることが少ない。今後の国内の発展には、グローバリゼーションへの積極的貢献が不可欠。米中などへ学びに行くこと、交流を広げていくことが日本の可能性を広げる
Posted by ブクログ
1.一向に改善されない世界情勢のルーツが気になったので読みました。
2.本書は陸、海、日本といいた線引きで地政学を述べており、歴史的な部分が要素が強くなっております。そもそも地理学とは学問として新しいですが、昨今の世界情勢を知る上では非常に強力なツールとなってきます。今対立している国々はそもそも何が発端でこのようになってしまったのかを国との争いという視点で区切って説明しているわけではなく、大陸や海ごとの説明となっており、マクロ的な話がメインとなってきます。
3.最期の章に日本のことが書かれており、どうすれば今後の日本はよくなっていくかということ、もしこのようにやってきたらもう少し違う未来があった的なことが書かれています。他国からみると、日本は「核を所有してもよい」という声も上がっているらしいです。ただ、日本が核を所有したところで、確実に国を守れるかというとそんなことはありません。むしろ、人口減少、国土が小さいなどの問題から、攻め込まれて終わりだと思います。
本書を読み、政治家の判断がより重要になってきているのだと思いました。
Posted by ブクログ
ー それではその住民自身が案出した平等と幸福を管理する方法で、博愛という名前の自己抑制を具体化できるのでしょうか。博愛を自然に自覚するような感覚は、幼い時から一緒に暮らしていないと、なかなか育ちません。民族的な統一という理念だけで、自然な博愛の感情は育つのか?それは困難な課題なのではないか?マッキンダーは世間一般でナショナリズムと呼ばれるものは、幸福の権利を要求する際に個人の力によるのではなく、単に共同の力で要求しているに過ぎないと指摘します。そこでは博愛の精神が捨象されがちであることを、暗に指摘したかったのでしょう。
個人の自由から民族の自由へと、自由に対する要求は発展してきました。そしてついに国際連盟が実現しそうな時代になって、マッキンダーは次のように考えます。国際連盟を実現きさせることは、フランス革命の自由・平等・博愛の三大原則を国際社会に持ち込むことである。そのことを諸国家で実現させるためには、各国に対して連盟がある程度の管理を行わねばならない。そうすることによって、諸国家が均整のとれた発達を遂げることが、国際連盟の理想となる。そのようにマッキンダーは考えました。さらに次のように言葉を続けます。
「各国家が均整のとれた発達をとげるという理想のなかに、われわれは博愛の理念にふくまれた自己抑制の原理を見るおもいがする。均整のとれた発達をしない国家は、やがて必ず独特な飢えの状態に見舞われる。これは不注意の結果でもあり、また時としてわざと犯罪的にされることもある。が、いずれにしても、その飢えは他国民の犠牲においてしか満たされない。」
この暗示的な文章は、例えばナポレオンの政治の根本が軍事独裁政権であったこと、第一次世界大戦に向かって暴走機関車のように突入していったドイツが選んだ経済政策が、略奪型の保護主義だったことを想起すれば納得できると思います。マッキンダーはこのような「飢えの状態」にある国家の暴走を無くすには、その国内における管理と同時に外からの管理を加えることが必要なのだ、と述べます。それが国際連盟の役割なのだと。 ー
思っていたより基本的で、歴史的な部分に注力されていて、現代における地政学にはあまり触れられていなかった。
だったら、マハンとマッキンダーを読めば良かったなと。特にマッキンダーの『デモクラシーの理想と現実』は読んでみたいな。
次は『貿易戦争の政治経済学 資本主義を再構築する』にしようかな。
それにしても、某国の「独特な飢えの状態」を「他国民の犠牲」で満たそうとするのは辞めてもらいたいものだ。だからと言って某国がそれに介入するのも不信感しかない。
Posted by ブクログ
海と陸からの見方で、国がなぜ興亡してきたか、を面白く読めた。今の日本の立ち位置、今後についても考えさせられる。筆者の考えとは違うところもあるが、今後中国がキーになるのは間違いないと思う。10年先、30年先にどうなっているか、よく考えて行動していかないといけないと、再認識した。
Posted by ブクログ
世界地図を南半球を上にして、ユーラシア大陸と日本列島、そして太平洋を眺めてみる、という視点は、日本の地政学的な特徴を説明するのにこれほど適切なことがあろうか。目からうろことはまさにこのこと、と思う。
また氏は、いまだに日本の社会では戦後の成功体験をひきずった「根拠なき精神論」が横行していると指摘している。「日本ファーストはかっこいい」、「中国は嫌い」などの言は、なんの根拠もない放言に過ぎない。世界の常識は「エビデンス、サイエンス、専門家の知見」に基づく意思決定にあるという。深くうなずくばかりである。
Posted by ブクログ
引っ越しできない状況の中で、平穏な生活を脅かすような「隣人」が現れて、両側を挟まれてしまったらどうするか? 私たちが普段の生活において直面してきた問題であろう。個人なら自分が逃げられればよいが、国だとそうはいかない。まさに悩みどころである。
本書は、地政学をその「国が引っ越しできない」状況になぞらえてわかりやすく説明している。通読すると、古今東西、世界の様々な地域にこうした悩みが発生し、そのたびに政(まつりごと)を取り仕切る為政者はあらゆる策を講じてきたことが見えてくる。
世界の歴史に関する多くの本を著してきた著者だけに、本書の筆致はやさしく、わかりやすい。予備知識がなくても地政学を感覚的にとらえることができる。また世界史の知識がある人なら、それを思い出すことで、歴史的背景と地政学の組み合わせで立体的に理解できる効果がある。人は産まれる場所を選ぶことができない。そして、その地域や時代によって、その人の人生に大きな差ができてくる。その歴史のダイナミズムも垣間見ることができるだろう。
もう1つ興味深いのは、科学技術の進歩によって地政学も少しずつ変わっていっている点だ。著者は「原子力空母の存在が海の地政学を変えた」と指摘し、具体例としてアメリカ海軍の機動部隊「空母打撃群」を挙げる。21世紀の地政学は今後、技術の進化に足並みをそろえてさらなる変化を遂げるのかもしれない。そうした未来を想像するのにも役立つ一冊だ。
Posted by ブクログ
地政学の入門書として、その定義から考え方の基本となる「陸」と「海」の地政学を歴史的考察を基に丁寧に解説している。
その後、地政学の観点から日本の現状、外交、安全保障の在り方、沖縄基地問題まで言及し、日本の進むべき方向を提言している。
平易な言葉で書かれており、これから地政学を学びたいと考えている私には多くの示唆を与える良書でした。
Posted by ブクログ
地政学の視点から世界史を振り返る。稀代の読書家の1冊はさすがに読みやすい。
最近著作の多い出口治明氏の作品。分かりやすい語り口で、地政学的な視点から世界史を語る。
日本の置かれている地政学的な現実に関する提言が、筆者のポリシーが確固としており大いに共感できる。
Posted by ブクログ
地政学を「ランド・パワー」「シー・パワー」に分けて論述しているものの、どちらかというと地政学を切り口にした歴史の考察、というべきものである。
地理的関係が歴史にどういった影響を与えてきたか、という点については詳細に書かれている。
歴史を題材にしている考察が中心にされているため、現状の地政に関する記述は少ないが、十分に好奇心を満たしてくれる書籍となっている。
Posted by ブクログ
面白く読めた。ヨーロッパの歴史と地政学は複雑でちょっとついていけなかったが、詳しくなるともっと楽しく読めると思った。日本についての考えも納得できる。日本ファーストではなくグローバリゼーションを進めて行くべきだというパートは、今とこれからの課題と相まって考えさせられた。嫌味のない分かりやすい文調でとても読みやすい。
Posted by ブクログ
今年(2024)のGWの大掃除で発掘された本のレビューは大方終わりましたが、その前に娘夫婦が宿泊した時に大慌てでスースケースにしまい込んだ本があり、それらの本のレビュー書きを終了させたく思っています。
記録によれば今(2024.6)から3年ほど前に読み終わった本ですから、ウクライナ紛争については触れられていません。しかしこの10年以上「地政学」について興味を持ってきた私にとっては、この本の筆者である出口氏による「地政学」の解説は大変興味深かったものと記憶しています。レビューを書きながら、それらを思い起こしたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・奈良盆地に徐々に日本的な王権が確立していったという地政学的な見方は、近畿地方の巨大な古墳は、ほとんど全てが大和川沿いに存在しているという事実で立証できる(p30)
・文明が起こって道路が作られて、初めて車輪が考えだされて、西アジアで戦車(チャリオット)が発明された。それゆえに、鉄砲が開発されるまで、凹凸のある大地を高速で移動できる遊牧民の騎馬軍団が地上では最強であった(p39)
・ローマ教会は、751年にピピン3世がカロリング朝を開いたこと、そして新王朝の初代であるピピン3世が、その権威を認められず苦労していることを知っていた。ローマ教皇は、ピピン3世に対して、国王であることを認める特別な宗教儀式「聖別」を授けられた。大きな宗教的権威を得たピピン3世は、大軍を率いてイラリアに乗り込み、ランゴバルト族を駆逐し、占拠した土地の一部をローマ教皇庁に寄進(754,756)した、これが有名な「ピピンの寄進」である(p48)
・1054年、大シスマ(東西教会の分裂)、ローマ教皇とコンスタンティノープル教会の総主教が、南イタリアの教会の帰属などを巡って対立、相互に破門しあった。この時以降、両者は自らの正統性を主張、コンスタンティノープル教会は「東方正教会」と自称し、ローマ教会は「カトリック教会」と自称、カトリックとは「普遍=あまねく行き渡る事」の意味で、その分裂は、1965年まで続く(p57)
・カノッサでは譲歩した(カノッサの屈辱=1077)ハインリヒ4世は1084年、グレゴリウス7世を迫害しローマから追い出す、そしてクレメンス3世をローマ教皇に据えて、彼からローマ皇帝として戴冠される。グレゴリウス7世は、追われて南イタリアのサレルノにイタリ、その地で憤死した(1085)(p59)
・オスマン朝の母体はモンゴル高原に生まれた「突厥(チュルク)」である。突厥は552年にそれまでモンゴル高原を支配していた最強の遊牧国家「柔然」を倒して草原の覇者になった。その後に、突厥は東と西に分裂して、再びウイグルという統一国家を樹立する。そのウイグルがキルギスに倒されると、彼らは西走してイスラム教を授与して、トゥルクマンと呼ばれるようになった。彼らの一部がやがて、現在のトルコ半島に小さな国を作った、それがオスマン朝である。このように国民国家ができるまでは国も自由に引っ越しができた(p84)
・ローマ教会の信者でもあったカール5世は、1519年ローマ皇帝として戴冠するとルターを断罪するために、ヴォルムスの地にドイツ諸侯を集め帝国議会を買い足、1521年の帝国議会でルターは有罪判決を受け、市民権を剥奪された。ルターはカール5世に批判的なザクセン選帝侯に匿われ、聖書をラテン語からドイツ語に訳した。これで誰もが聖書を読めるようになった。これにより宗教改革のノロシが上がり、ドイツ国内は、ローマ協会派とルター派(後にプロテスタントと呼ばれる)に分かれて揺れ動いた(p85)
・ローマ帝国の時代、ライン川とドナウ川はリーメスと呼ばれた国境の役割を果たしていた、その両河川から北方に広がる森林地帯のことを「ラテン語を話さない人々のすむ場所」と読んだ、その呼称が、ドイツの語源となった。フランク王国が東西に分裂したときに、東フランク王国が現在のドイツとオーストリアを含み領域、西フランク王国がフランスの領域を占めるようになる、ドイツという概念にはもともと、オーストリアが含まれていた(p106)
・東ローマ帝国は滅んだのちもドイツ王はローマ皇帝として戴冠していた、しかしドイツ王も時間とお金を浪費してまでローマまで戴冠に行かなくなる、そして登場してきた呼称が「ドイツ国民の神聖ローマ帝国」である(p106)
・ローマ帝国はローマという都市は捨てた(コンスタンティノープルへの遷都)が、ローマ帝国はいまだ地中海のシーレーンの覇権は握っていた、それが失われたのは、イスラム帝国が台頭してきてから(p149)南地中海の制海権をイスラム帝国が掌握した時、地中海の北半分は「ヤハウェ」南半分は「アッラー」という一神教を信じる形となった。両者は対立したが、多神教を否定することについては、お互いに異論はないので、ヴィーナス、ゼウスも消えてしまった、これを一神教革命と呼ぶ。多神教八百万の神々の復活は、イタリア・ルネッサンスまで待たなければならない(p150)
・イスラム帝国が分裂し勢力が弱まってくると、地中海のほぼ真ん中にあるイタリア半島で、その地理的な有利さを活かして、4つの海の共和国が登場する。アマルフィ、ピサ、ジェノバ、ベネチア、の順に大活躍した(p151)
・都市が自治権を持ち、都市国家として生き残る最適な環境は、群雄割拠で強大な大国が登場しないということ。商売はいかにして利鞘を得るかである。相手が巨大な国家になると、高いマージンを得るビジネスは成り立たなくなる。日本でも堺が隆盛を極めたのも鉄砲を売りつける戦国大名がたくさんいたから。織田信長や豊臣秀吉が境を支配するようになって商業都市の堺は衰退していく。ハンザも大国の登場(東:モスクワ大公国、西:ブルゴーニュ公)によって衰退していった(p164)
・鄭和艦隊は東南アジアからアラビア半島、そしてアフリカ東海岸まで進出し、インド洋の国々に明への朝貢を求めた、朝貢すれば中国の特産品の絹・お茶・陶磁器を交易品として入手できた。しかも破格に安い価格で。また訪れた国に内乱や謀反があると、それを陸戦隊によって鎮圧した。鄭和艦隊は、インド洋の大用心棒になっていた、海賊集団も一掃された。1405年頃から活躍したが、1433年に姿を消した。ポルトガルのバスコ・ダ・ガマがインド洋に入ってきたのが、1498年であった。廃止した理由は、万里の長城建設のため(p174)
・ポルトガルは、インド洋に進出。ソコトラ島、ホルムズ海峡、ゴア、マラッカを抑えた。香辛料の一大産地・モルッカ諸島、中国への海上ルートとなるマラッカ海峡の中心都市を得たことは、ポルトガルの中継貿易の利潤を著しく高めた、明にも西欧諸国に先駆けて、マカオを作っている(p178)ポルトガルは1580年からスペインとの同君連合に甘んじていたが、1640年頃に独立戦争を起こし、1668年に独立承認された。ポルトガルの植民地経営の中心がブラジルに移動するのも、この頃から。イングランドの政治的・経済的な影響を受けるようになる、1373年に結ばれたイングランド・ポルトガル永久同盟は、現在まで続く世界最古の同盟として知られている(p180)
・イベリア半島を統一した時、熱心なローマ教会の信者であった、イサベル1世・フェルナンド2世は、ユダヤ人を追放した。彼らは、イスタンブール(東ローマ帝国を滅ぼしたオスマン朝の都)に行った(p183)スペインから多くのインテリゲンチャが消えて、労働力も激減した(p186)
・二回行われた、ネーデルランド戦争でも決着はつかなかった。インフランドはネーデルランドから、北アメリカのハドソン川河口のマンハッタン島を得た、ここの港湾都市・ニューアムステルダムを、イングランドは、ニューヨークと改名した(p194)
2021年5月8日読破
2024年6月18日作成
Posted by ブクログ
最近流行りの地政学。経済でも地政学リスクといった言葉が飛び交ってる今日この頃。歴史を振り返ると先人たちは領土問題、商売問題において地政学的な考えのもと行動している。世界史においてどんな地政学的な要素があるのか分かりやすく楽しみながら読めた。領土拡張を考えるさいのベースにどこに陣取るべきかってことを考えるのは根本的には昨今の製造業のどこに生産拠点を置くのかに通づるところはたくさんあるなと読んでいて思った。
Posted by ブクログ
日本の地政学について、どう捉えるべきか?この点については、とても理解できた。地政学の重要性を改めて感じる。一方で、陸や海の地政学は、丁寧に解説されているが、正直、頭に入ってこない。自分事に置き換えて、俯瞰して読むことがうまく出来なかったからだと思う。
Posted by ブクログ
世界史あるあるだけど特にヨーロッパと中東と記述で人名や地名が初見ばかりでなかなか頭に入ってこなくて難儀したけど流れは何となく理解できて面白かった。
ある条件さえ整えば、人も土地も栄えるんだね。
記述の中に日本に関する考察があったけど地政学の専門家から見た内容は恐ろしいほど説得力があった。
ここだけでも読む価値が十分ある。
Posted by ブクログ
地政学について語った本。前半が世界史を地政学の観点から切り取ったもの、後半で日本の地政学や地政学自体について著者の考えも交えながら述べている。
前半部分に関して言えば、世界史に関して非常に興味深い事実が山のように散りばめられており、世界史Bを学んだ上で不完全燃焼だった部分をかなり解消してくれた。知的な営みの楽しさを存分に味わえる。
一方、個人的には後半、特に日本の部分は蛇足だったように思う。世界史について非常に面白い解釈や説明が前半であった分、後半で著者の意見が入ってしまったのが少し残念だった。材料だけで自分で考えたいタイプには1〜3章で十分だろう。