あらすじ
邪悪との最終決戦。恐るべき惨劇がはじまる!
メルセデス・キラーが何かを画策している。だが病室を出ることもできない彼に、
いったい何ができるというのか? 主治医や病院職員らの奇怪な行動の目的は?
何の確証も得られぬまま、謎の連続自殺事件の調査を開始したホッジスとホリーだったが、
ついに彼らの愛する者の身にまで死の触手は伸びてくる。
唯一の手がかりは携帯ゲーム機<ザピット>。素朴な音楽とともに色とりどりの魚たちが泳ぐ
他愛ないゲームに、いったいどんな秘密が隠されているのか。
一歩一歩、惨劇を実行する計画を進めるメルセデス・キラー。一歩一歩、真相へ迫るホッジスと仲間たち。
ついに<恐怖の帝王>が封印を解き、ミステリーとホラーが渾然となったサスペンスが沸騰する!
キングにしか書けない最強のミステリー、完結。
※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
バビノーの身体に乗り移ったブレイディが起こすゲームマシンを使った自殺煽動。物語は完全にホラーへと転調し、クライマックスの絶体絶命の状況と一発逆転のカタルシスはまさにキングのお家芸である。ホッジズの脾臓癌はより深刻なレベルに達しており、その痛みは作中を貫いて行動に制限をかけているが、その痛みに堪えて進むあたりが第一作のハードボイルド路線の名残を感じさせる。メルセデスキラーで多数の人間を轢殺した男が、最後雪上車で胴体を踏み潰されるというのも皮肉的なオチであり、手堅く纏めた印象こそあるものの、とにかくキング濃度が高い作品だった。
それと同時に本作は探偵ホリー・ギブニーのオリジンを締め括る話であり、葬儀で見出された駆け出しの探偵が、最終的にホッジズの葬儀で一人前になるというのはとても良かった。精神疾患を抱え、年齢にしては精神は幼く、外の世界への恐怖はあれど、正義感は忘れない。持ち前の強迫神経症を推理に転用する設定といい、ホッジズ三部作はホリー・ギブニーの物語と言っても過言ではないと思う。
余談だが、巻末に現実の自殺事件について書かれたキングの言葉が素晴らしい。
「なぜなら、物事には好転する可能性があり、あなたが機会さえ与えるなら、それはかならず好転するからだ」
これが一番胸を打ったセリフである。任務の終わり——エンドオブウォッチ。三部作ラストに相応しい作品だった。