あらすじ
東日本大震災から10年。福島第一原発では40年かかる廃炉作業が今日も続く。最先端技術と使命感を胸に、数多の困難を乗り越える技術者。それを裏で支える救急医や食堂スタッフ。福島を離れまいと異動を拒むキャリア官僚。「加害者」になることを厭わず、東電を選んだ新入社員――。逆境の中、しんがりを務める彼らの想いを紡ぐ。
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Posted by ブクログ
東日本大地震で事故のあった福島で働く人たちにスポットを当てた本。こんな職業があるんだ、こんな仕事があるんだとびっくりしっぱなし。事故を起こした加害企業、東京電力にここまでの人が参加しに行くのもまた面白い。
Posted by ブクログ
少しながら原子力に関わった人間である私には、過去の負債を背負わせてしまい申し訳ない、という気持ちです。
廃炉技術は何かを生み出すことはないと思ってたけど、これが無いと未来が無い、すなわち未来を生み出しているとも言えるなと思った。
311後に東電に入った技術者の方の話を聞くに、人柄を尊く思いました。誰かがやらねば、で火中の栗を拾える勇気と滅私の精神。ありがたいです。
そして、技術者だけでなく、運転手さん、食堂の方なども登場し、社会が廃炉を支えてるんだなと改めて思いました。役に立たないかもしれないけど、いずれ何らかの形で手伝いができたらなと思いました。
Posted by ブクログ
福島第一原子力発電所、「イチエフ」の現場。ピーク時には7000人もの人たちが働いていた。現在は約4000人が廃炉作業に当たっている。1979年生まれ、稲泉連、ノンフィクション作家「廃炉」、敗北の現場で働く誇り、2021.2発行、253頁。人間が慣れによってリスクを感じなくなっていくのが怖い。目に見えない放射線への意識はどうしても低くなりがち。30ミリSv/hは低線量ではない。常に「注意喚起」を。現場を見ないと何も語れないことだとは思いますが、もっと「廃炉広報」が為されるべきだと感じました。
Posted by ブクログ
廃炉という作業は、この先何年も続いていく。だが、どこか他人事で、時間と共にみんなの記憶から薄れていっている事を感じる。
本書を通じて、あの原発事故から今日まで、どのようなら作業がどんな人達の手によって行われてきたのかの一部を知ることが出来た。
今後もこの原発事故に興味を持ち続け、何がなされているのかを意識して生きていくことが、当事者である東電の責任意識にもつながるのではないだろうかと感じた一冊だった。
Posted by ブクログ
廃炉の「炉」は、原子炉。福島第一原発の4基の原子炉の、主に解体(と単純には言えないが)プロジェクトに関わる数千人の中から数人にインタビューした物がベース。
恥ずかしながら、未だに廃炉作業中であると言う、言われてみれば当然の事実を改めて認識。巨大震災と原子炉事故の組み合わせは世界に例がない。資源も土地も少ない日本では、チェルノブイリのようには行かない…
最新の技術と知恵でトライ&エラーを繰り返す。加害者企業の人間となる事を分かった上で入社を希望する学生や中途採用者。大災害ではあるが、それに尽力する事で自己の存在価値を見いだせるようになる者……
興味深く読みました。