少女マンガ家の上野真波は自己肯定感が低く、すぐに他人を優先してしまう女性。そんな彼女にも甘え上手で彼女を癒してくれる年下の彼氏ができ、堅物で苦手に感じていた担当編集・斎（いつき）からもマンガのネームを褒められ、仕事もプライベートも満たされていた。しかし、一緒に生活をしていく中で彼氏の態度に徐々にイライラが募り、両親ともうまくいかず苛立ちをぶつけてしまう。そんな彼女の唯一心から安らげる居場所は、祖父の自宅兼工房だった。真波の祖父は高名な陶芸家で、いわゆる「視える人」だ。そんな祖父のことが彼女は昔から大好きで、祖父とマンガだけが彼女を自由にしてくれたのだった。
自分のことばかりで人を思いやらない彼氏と、苦手だと思っていたのにいつも真波の心とマンガに寄り添ってくれる担当編集。「誰にも譲らない自分の人生」を生きると決めた彼女の選択とは…！
真波は人一倍周りの人の気持ちを考えてしまい、なかなか自分の本当の想いを口に出せない女性。自分に対してどこか情けないとかマイナスな感情を持っていた気がします。そんな彼女が考え方を変えたきっかけは、「いつだって相手有りきで人と誠実に向き合っている」という担当編集・斎の言葉だったと思います。
本作は、少女マンガのようにじれったい2人の恋模様にドキドキするだけでなく、自分らしく生きていくことの難しさと大切さを実感する作品です。自分にとって本当に大切なもの・大切な人を見極め、いい意味で「我」を持って自分の本心に嘘をつかない生き方がしたい、と強く感じました。今、どちらの道に進むか悩んでいる人や、自分に自信が持てない人に特にオススメです。ぜひ、ご一読ください。
感情タグBEST3
読むヒーリングですよね。まなちゃん、おじいさまは、本当に清らかで善の象徴。いつきさんと小笠原くんは、まっすぐで正直な凛とした人たち。そこに、邪悪、醜悪な人物がからんでくる。でも、きれいな心で跳ね返している感じ。
二巻目
匿名 2023年08月29日
主人公の上野真波は少女漫画家をしている30歳の女性。
同業者の間で開かれた合コンで知り合った6歳年下の相田尊と付き合って3カ月、同棲して2カ月になるが家事をしないヒモな上に真波がいない時に女の人を連れ込んで浮気をするような男に寄生されているのだった。
そんな真波の相談に真摯に乗ってくれる彼女の担当編...続きを読む集である斎湊斗にはげまされながら執筆を続ける。
ある日陶芸家をしている祖父、善司と弟子の小笠原一生が展示会帰りに真波の自宅を訪ねてきた。
尊の心のなかを見透かすような善司の目に薄ら寒さをおぼえた彼は真波の前で彼を侮辱してしまう。
その後善司から酒器をもらった真波は、一生には我があるが真波にはないから自分を守るために自分に対して正直でいなさいと言われる。
後日同僚が善司に取材をするので同行した斎は真波が一生と話し込んでいるのを見て微妙な気分になるが彼女から祖父の弟子になったことで一生によって安らげる居場所を奪われた気分と言われたことで気を取り直す。
善司は真波が世話になっているからと酒器を贈呈するというが斎が選んだのは真波が選んだものと同じで……。
浮気の証拠を尊に突きつけた時の真波が凛としていてかっこよかった。
おじいちゃんの言葉が自分にも突き刺さるようだった。先祖が見える力や人の心を寄せるものがみえる力については良くわからないが、自分を大切にすることが周りの人を大切にできるようになることだというのが、難しいけど理解できる。ラストシーンは一気にショックだったが、これから主人公がどう自分を体現していくのか見守...続きを読むりたい。
