あらすじ
■大河ドラマ「青天を衝け」渋沢栄一の不朽の古典
幕末から明治という日本の大転換期に文字通り「一生で二世」を生きた渋沢は、時代の大渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも、青天を衝くかのように高い志を持って未来を切り開き、「日本近代資本主義の父」と呼ばれるまでにいたった。子孫であり作家・経営者でもある渋澤健氏が、「超約」スタイル(現代語抄訳)で、指針なきポストコロナ時代を生きるビジネスリーダーや将来を担うビジネスパーソンにわかりやすく解説していくもの。
[目次]
第一章 処世と信条―利益は正しく稼ぐもの
第二章 立志と学問―大きな志を立てる
第三章 常識と習慣―健全な常識を身につける
第四章 仁義と富貴―利益だけを目指すな
第五章 理想と迷信―主義を通しても心は新たに
第六章 人格と修養―精神の修養に日々努める
第七章 算盤と権利―豊かさを求め人は努力する
第八章 実業と士道―武士道をもって実業道とする
第九章 教育と情誼―学問のための学問をするな
第十章 成敗と運命―道理に従い価値ある生涯とする
<原作者略歴>
渋沢栄一(しぶさわ・えいいち)
明冶・大正期の実業家。天保11(1840)年豪農の長男として生まれ、一橋家に仕える。慶応3(1867)年パリ万国博覧会に出席する徳川昭武に随行し、欧州の産業、制度を見聞。明治2(1869)年新政府に出仕し、5 年大蔵少輔事務取扱となるが、翌年退官して実業界に入る。第一国立銀行の総監役、頭取となった他、王子製紙、大阪紡績、東京瓦斯など多くの近代的企業の創立と発展に尽力した。『論語』を徳育の規範とし、「道徳経済合一説」を唱える。大正5(1916)年実業界から引退するが、その後も社会公共事業や国際親善に力を注ぐ。昭和6(1931)年永眠。
<監訳者略歴>
渋澤 健(しぶさわ・けん)
「日本近代化の父」といわれる渋沢栄一の玄孫。コモンズ投信株式会社取締役会長。JP モルガン、ゴールドマン・サックスなど米系投資銀行でマーケット業務に携わり、1996 年に米大手ヘッジファンドに入社、97 年から東京駐在員事務所の代表を務める。2001 年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。07 年、コモンズ株式会社を創業(08年にコモンズ投信株式会社に社名変更し、会長に就任)。経済同友会幹事。著書に『渋沢栄一100 の訓言』『渋沢栄一100 の金言』(いずれも日経ビジネス人文庫)など多数。
※この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『超約版論語と算盤』(2021年1月16日 第1刷)に基づいて制作されました。
※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
入門書、概念の理解にはとても良い立ち位置の本。
角川ソフィア文庫版の論語と算盤も読んだが、古文漢文が多く十分に理解できていなかったかと思いこちらを読んでみた。
もう一度原文版を読んでみようと思う
Posted by ブクログ
利己精神と利他精神はどちらも欠けてはならない。
利益を求めることと、社会に尽くすことは相反するようだが、二兎を追う必要がある。
受身の思考停止人間への警笛が随所にあり、
刺激を得られた。
①早く成長させるために苗を引っこ抜いてしまった
②孵化しようしている卵の殻を割って雛を殺してしまった
→人の行為は内面の良心でなく、行為(外見)で判断される。
商人にこそ武士道を
「終始自力を本位として、道に背かぬことに専念し、そのうえで豊かになる努力を怠らぬことが人間の意義」
Posted by ブクログ
・著者は渋沢栄一の玄孫(5代目)
・富の追求には道徳が必要。モラルなき経営は続かない
・情熱もビジネスセンスも、論語で養える。道徳抜きのビジネスは成功しないから
・士魂商才:人が世間で活躍するには、まずは武士的精神が必要であるが、それのみに偏って商才というものがなければ、経済の上から自滅する。ゆえに士魂とともにビジネスセンスがなければならぬ。
・できるかできないかよりも、やりたいことを貫く
・己の分をわきまえて決断のタイミングを図る
・精神の向上を、富の蓄積と共に進めることが必要である。
・小事を粗末にするような人物に重大事を成功させることはできない
・とにかく社会の複雑であることを前もって十分に知っておき、いかに用意していても実際には意外なことが多く起きる。
・智情意。強い意志を持ち、その上で聡明な知恵を加え、これを調整する情愛をもってする。この三者を適度に発達させていって、初めて完全な常識が得られる。
・利益を求めることと、仁義道徳の道理を重んずることの2つをうまく並び立てることによって初めて、国家は健全に発展し、個々の人もみな相応しい立場を得て、真実の富が蓄積されていく。片方だけではどちらダメ。
・よく稼ぎ、よく使って、富の循環を促す
・趣味をもって事業に取り組む
・尊敬できる師であっても道理を譲ることはない
・競争が進歩の母というのは事実だが、この競争には善意と悪意があるようだ。よい工夫をして、知恵と勉強をもって他人に勝とうとするのは善の競争だ。他人の評価がいいから、まねてかすめとってやろうとするなら、それは悪の競争である。
・自他相利、相愛忠恕
・あるものとないものを融通し合うのが経済の原則
・仕事に忠実で仁愛をもて。それが幸運のもとになる。
・天命は人間が意識しようがしまいが、四季が順当に巡っていくように、すべての物事の間に降り注いでいくものだということを理解し、これに対する恭、敬、信を持って望むべきものなのだ。そう信じていれば、「人事を尽くして天命を待つ」という語のうちに含まれている真の意義が、初めて完全に理解できる。
・順境も逆境もない。境遇は自分から招く
・失敗を恐れていては、新しい事業などできない
・一時の成功や失敗は、長い人生における泡沫のようなものである。一時の成功にこだわらず、運命を自ら開拓する
・「メイド・イン・ジャパン」→「メイド・バイ・ジャパン」→「メイド・ウィズ・ジャパン」
Posted by ブクログ
『論語と算盤』まとめ(渋沢栄一・渋澤健監訳)
目新しい発見はないですが、どの時代も経営者は同じような思想や哲学を持っていますね。論語と算盤、大事な要素です。
■ 基本思想
「道徳(論語)」と「経済(算盤)」は両立できる。
誠実に働き、社会に貢献することでこそ、真の成功と利益が得られる。
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■ ビジネス・働く姿勢
「自ら箸を取る」
→ 人任せにせず、小さなことでも自発的に動く(例:秀吉の草履取り)。
「丸いとかえって転びやすい」
→ 波風を立てないだけの人間ではダメ。信念という“角”が必要。
「大局観が大事」
→ 全体を見渡す視点を持つことがリーダーの要。
→ 5つの鍛え方:目的意識/複数視点/振り返り/良書に触れる/具体⇄抽象を行き来する訓練。
順境も逆境もない
→ 状況を言い訳にせず、自分に与えられた場を全うする。
失敗を恐れず挑戦する
→ 計画と実行の積み重ねが価値を生む。
→ ルールに縛られすぎると創造が止まる。
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■ 成長・学びの姿勢
イノベーションは習慣化から生まれる
→ 組織が安定していても、常に革新を意識する。
能動的に学ぶ
→ 知識の詰め込みや受け身の姿勢から脱却する。
異なる立場と交流し視野を広げる
→ 多様な価値観と出会うことで、自分の視点も進化する。
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■ キーフレーズで締める
> 「言うは易く、行うは難し」
→ 理想を語るのは簡単。本当に価値があるのは、実践に移す勇気と行動力。
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論語と算盤メモ
・論語は孔子の教えをまとめたもので、道徳などを述べている。
・論語の教訓に従ってビジネスを行う
・自ら箸を取る。行動力を自発する。秀吉が草履取りから始めたように、小さなことからでも自発的に進める。
・丸いとかえって転びやすい。どこかに角が無ければならぬ。
・リーダーには大局観が大事
大局観を身につける5つの方法(chatGPT)
1. 常に目的と全体像を意識する
目の前の作業が「全体の中でどういう意味を持つのか?」を考える習慣をつける。
2. 複数の視点で物事を捉える
自分だけでなく、上司や顧客など他者の立場からも考えるクセをつける。
3. 定期的に振り返る
自分の行動が全体にどう影響したかを振り返り、因果関係を学ぶ。
4. 大局観が鍛えられる本に触れる
歴史・戦略・将棋などの名著から、思考法や視野の広げ方を学ぶ。
5. 具体と抽象を行き来する訓練をする
日常の出来事から抽象的な原則を見つけ出す力を養う。
・まだまだ創設の時代であり、イノベーションは常に必要
組織にイノベーションを起こすには、習慣化が大事。
・自分の立場を全うする
・さまざまな立場の人と出会い、情報を取る。学ぶ。
・知識詰め込みからの脱却。指示を待つのではなく、能動的に学習する。
・順境も逆境もない。境遇は自分から招く。その境遇を受け入れて全力を尽くす。
・失敗を恐れては新しい事業などできない
大いに計画し、成長を遂げ、真の価値あるものにならなければならない。
ルールばかり増やしてしまうと、ルールを守ることだけで満足してしまい、新しい創造をすることができない。
「言うは易く、行うは難し」
(いうはやすく おこなうはかたし)
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『論語と算盤』とは?(Chatgpt)
「論語」=道徳・人としての正しさ
「算盤」=経済・利益・実利
この2つを対立させるのではなく、両立させることこそ真に価値あるビジネスだと説いた本です。
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主なエッセンス5選:
1. 道徳なき経済は犯罪、経済なき道徳は寝言
> 「儲けだけを追えば悪事に走る。道徳だけでは社会は回らない。」
現実に根ざしつつ、人の道から外れないことが大事だというメッセージ。
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2. 利益は公益につながってこそ本物
> 「会社の利益は、社会に役立ってこそ正当化される。」
一部の金持ちではなく、社会全体の幸福に貢献する経済活動を目指すべきだと考えた。
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3. 信用は最大の資本
> 「お金よりも“信頼”を積み重ねることの方が重要。」
口先だけでなく、誠実な行動こそがビジネスの基礎であり、長期的に見れば最もリターンが大きいとした。
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4. 学びは一生続けよ
> 「“学びを止めた瞬間に、人も企業も衰退が始まる”」
年齢や地位に関係なく学び続ける姿勢を持つことが、成長の源であると強調。
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5. リーダーは人格が命
> 「立派なリーダーとは、知識よりも人徳がある人」
人をまとめるには、まず自分自身が尊敬される人間でなければならないと説いています。
Posted by ブクログ
大河ドラマ「渋沢栄一」が発表されたあたりで読んだ一冊。
なぜ商売と論語が関係するの?を次の一説で説明してます。
もともと「資本主義」や「実業」とは,自分が金持ちになりたいとか,利益を増やしたいという欲望をエンジンとして前に向かっていく面がある。しかし,そのエンジンはしばしば暴走し,大きな惨事を引き起こしていく。だからこそ栄一は,「実業」や「資本主義」には,暴走に歯止めをかける枠組みが必要だと考えた。「どのようにして振る舞うのが人として格好良いのか」を学ぼうとするときの教科書が「論語」であると考えた。
論語とは,孔子とその弟子たちの言行録。
ダイハツの問題や政治資金裏金問題など、
渋沢栄一がこのような報道に触れたら何を思うだろう?
Posted by ブクログ
ビジネスだけじゃなくて生き様を説いている。“客観的人生観”、”組織を作る日々の習慣”、“境遇は自ら招く”、”道理と欲望“
渋沢健さんが教えてくれた”四海兄弟“も、グローバルに仕事していくうえで大事なこと。
論語勉強したいなぁ。。
100年前の日本
ずっと読みたいと思っていた論語と算術を今回手に取ってみました。恥ずかしながら、渋沢栄一が江戸時代生まれということを今回初めて知ったのですが、江戸、明治、大正、昭和と4時代を生きた渋沢栄一がどのような考えを持っていたのかを知れるとても貴重な時間でした。監訳者のコメントが、全く別の角度からのものが多いと個人的に感じ、少し困惑するところもありましたが、全体としては非常に勉強になった本でした。
Posted by ブクログ
要約されていたので非常に読みやすかった。
裏返しにいうと内容はなんとなく分かったが、あくまで分かったのは内容だけど渋沢栄一が本当に言いたかったことに触れるには不向き。
これをステップに原本を読むべきか。
しかし、なんとなくだが論語と算盤って、明治から昭和初期時代版の自己啓発書なんじゃないかなと思ってきた。
結局は回り回って、古典の論語の解釈の一つだったりして。
Posted by ブクログ
適切な場所に適切な人材を、適材適所の思想は人材登用の上で参考になります。
また、自分の利益ばかりに追われ、全体での成長、日本が真の意味で豊かになるためにら何が必要なのか、そのような広い視野をこの時代に持っていたという点で渋沢栄一氏は改めて素晴らしい人間だと感じました。
一方で、この本が今世に広く出されていること、評価されていることが遅すぎるのではないか?と感じる点がありました。教育制度の批判や、道徳修身の大切さなど、30年前にもっと注目されているべき書籍であると感じています。