あらすじ
■「対称性の破れ」が生んだ新物質!■
超伝導、スピン流、量子ホール効果、
ベリー位相、マヨラナ粒子……。
物質科学の気になるキーワードが
数式なしで、しっかりわかる。
■物質科学を一変させた、量子の不思議。何がそんなにスゴイのか?■
人類の物質観を革新する物質群、
「トポロジカル物質」のしくみに詳しく迫る。
そのカギは「対称性の破れ」にあり。
物質の根源となる基礎的な量子現象を
数学や物理学の基礎知識を前提とせずに解説。
超伝導、スピントロニクス、マヨラナ粒子、
そして量子コンピュータにつながる
驚くべき無数の応用が将来に待っている!
■おもな目次■
序章 バーチャル空間で物質を観る
〈第I部 ノーベル賞に見る物質科学 トポロジカル物質への前奏曲〉
第1章 原子から量子物理学へ
第2章 原子から物質へ
第3章 物質は量子効果の舞台
〈第II部 バーチャル空間で物質を観る 量子物理学での表現法〉
第4章 運動量空間とは
第5章 バンド構造 物性科学の基礎
〈第III部 トポロジカル物質とは何か〉
第6章 仮想磁場 電場が磁場に見える
第7章 トポロジカル絶縁体とは
第8章 電子波の位相
第9章 トポロジカル物質ファミリーと応用
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Posted by ブクログ
年の瀬も押し迫るこの時期に今年最高レベルの刺激に出会えた。あまりに面白くて一気読み。歯応えたっぷりの最新学術知識をわかりやすく解説する、まさにブルーバックスの面目躍如と言える一冊だ。「表面物理学」なるサブジャンルが存在するとはついぞ知らなかったが、本書を読むことで量子コンピュータや超伝導といった今日的・近未来的なテーマはもとより、半導体や太陽光発電などのすでに実用化された技術の原理も理解でき、通読すれば全てが一つの線で繋がったような快感を得られると思う。
本書がやや読み手を選ぶ本であるのは確かだ。まず、題名となっている「トポロジカル物質」なるものに具体的に言及が始まるのは終盤、ようやく第7章になってからである。その特殊性を理解するためにはまず「物質一般の性質は電子の振る舞いによって量子力学的に記述される」という一般原則を理解する必要があるのだが、当然この分野の量子物理学的パラダイムの説明にはそれなりの記述量を要する。畢竟、本題への到達がどうしても遅くなってしまい読者は忍耐を求められることとなる。ただ、量子物理学については啓蒙書はあまたあり、それらに触れた経験のある読者ならば痛痒なく読み進められるかもしれない。しかしようやく本題が始まったかと思えば、そこからは具体的な物理的現象の観察結果を記述する「実空間」と並行して、個々の電子の運動量に着目したバーチャル空間である「運動量空間」における考察が進められていくことになる。この運動量空間は物理現象の直観とはいささかかけ離れた抽象的な概念であるため、僕のような文系門外漢が理解するのはやや骨が折れるのだが、この実空間と運動量空間をいかに頭の中で行き来できるかが本書を面白いと思えるか否かの分水嶺になるのではないかと思う。
一般的な絶縁体では、安定的な低エネルギー状態を表す「価電子バンド」と、電流を生じうる高エネルギー状態の「伝導バンド」の間にギャップがあり、ここに電子の最高エネルギーレベルを示す「フェルミ準位」が存するため、バンドギャップ以上のエネルギーが外部からもたらされないかぎり電流を生じない。しかし、電子の活動スピードの速い(角運動量の大きい)ある種の物質では仮想磁場が強く働くこととなるため、「スピン軌道相互作用(磁場に対する電子スピン自身の反応により、スピン縮退が解ける現象。通常はスピンの向きでエネルギーに差は生じないが、磁場存在下ではスピンの向きによりエネルギー準位が分裂する)」が強く生じる結果、価電子バンドと伝達バンドの上下関係が「捻られる」ことがある。つまり、このバンド反転が起きやすい物質こそが「トポロジカル物質(トポロジカル絶縁体)」であるということになる。
ではこの物質の何が特徴的かといえば、通常の物質ではその性質がバンドの「形状」の変化により決定づけられるのに対し、トポロジカル絶縁体では形状ではなくバンドそのものが変質してしまっているため、そもそも量子物理的な性格が異質なものになってしまっている、ということらしい。すると、トポロジカル絶縁体(バンド反転)と通常の物質(バンドギャップ存在)の接触面においては、バンドギャップがゼロとなり(バンド交差)、フェルミ準位をその交差範囲内に含むため、低エネルギーから高エネルギーへの移行(励起、電流発生)が容易な金属一般と同様の状態(トポロジカル表面状態)が生ずる。これは他の外部条件によらず物質そのものの内部の状態のみから生じる性質であり、電子の振る舞いにより規定される一般的物質とは異なる、トポロジカル物質特有の非常に「頑強な」性質だということになる。
そのトポロジカル絶縁体では実際に磁場があるわけではないが、電子の原子に対する相対的運動の結果、電子が主観的に感じる「仮想磁場」が生じている。電子のスピンはこの仮想磁場の影響を受け、常に電子運動量ベクトルに対し左方に直角の向きを持つことになる(スピン・運動量ロッキング)。トポロジカル表面状態では、電子の運動量はそれぞれバラバラで相殺されるため合計ではゼロとなるが、電流が流れると一定方向の運動量が優勢となり、これに対応して一定方向のスピンも増加するため「スピン偏極電流」が流れることになる。このスピン偏極電流はスピン方向がロックされているがゆえに、通常の物質内ならば生ずる不純物との衝突による「180度後方散乱」が起こり得ない。これに仮想磁場の時間反転対称性を勘案すると、トポロジカル表面状態ではあるスピン偏極電流に対し必ず180度逆方向の同じエネルギーの電流が同時に流れることになり、総計では電流は相殺されてゼロになるが、その一方で逆方向のスピンが逆方向に流れていることになる。これは電子の移動を伴わないスピン情報のみの「純スピン流」であり、ジュール熱発生のようなエネルギーロスを伴わないため、新たな省エネの手段として用いられないか研究が進められているという。また、以上のプロセスを逆にして走査トンネル顕微鏡で一定のスピン方向を持った電子をトポロジカル絶縁体の表面に注入すると、電場なしで電流を生じさせることができるということになる。これは従来の太陽光発電よりもロスの少ない発電装置に利用できる可能性があるということだ。
本書をなんとか理解し読み進めるには、通常の物質の性質を説明する第Ⅱ部以前の解説に何度も戻らなければならず、確かに苦労はする。しかしそれは逆にいえば、本書がきちんと理解の前提となる知識を準備してくれているということでもあり、非常に親切に構成された本だと言えるとも思う。図表も多く、抽象的な概念を直観的に理解する助けになる。カバーする範囲が広い割にコンパクトにまとまった内容となっており、物理一般に興味のある方にぜひお勧めしたい。
Posted by ブクログ
久しぶりの挫折本。内容としては面白かったのだが、やはり途中からついていくことができなくなりまひた。
文系の壁を感じました。
ただ、物理学を履修されたことのある人なら、大変わかりやすく読むことができるかと思われます。
Posted by ブクログ
2016年のノーベル物理学賞は、物質のトポロジカル性質解明の先駆けとなる発見をなしとげた3人の研究者に送られた。本書は、人類の物質観を革新するといわれる「トポロジカル物質」の本格的な入門書である。
「はじめに」に、「逃げることなく、(略)真正面から解説し」とあるように、本書は物理の理論的な内容をできる限り誤魔化しなく説明することを目指して書かれている。そのためには当然、かなりの量の前提知識について説明することが必要である。実際、第Ⅰ部と第Ⅱ部はすべてそれに費やされている。これらの部では人類の物質観が時代と共にどのように変遷してきたかが述べられており、個人的にはここだけで本書を読んだ価値があると思った。トポロジカル物質の解説に入る前の準備段階な訳だが、ただ知識の羅列に留まることなく、ノーベル物理学賞を補助線として解説される、新たな物理現象が発見されるとそれを説明する理論が提案され、それを元にしてまた新たな現象が発見され・・・という連綿と続く物理学者の格闘の歴史は、読んでいてとてもワクワクさせられた。ただ、僕は大学で物理を勉強していてある程度の予備知識があったが、いかんせん一番のお楽しみの本題に入るまで随分長いので、(他の方も書いておられるように)まったく量子力学を知らなかったりすると読むのを少し苦痛に感じる人もいるかも知れない。スピン軌道相互作用を電磁場のローレンツ変換との関連から説明するのは勉強になった(僕は聞いたことのない説明だったが、調べたらWikipediaには書いてあった)。
第Ⅲ部はいよいよトポロジカル物質の解説である。キーワードは「対称性」、「スピン軌道相互作用」、「バンド反転」、「波動関数のパリティ」、「スピン・運動量ロッキング」、「幾何学的位相」といったところだろうか。詳しい内容については(興味のある方は)本書を読んでもらうとして、トポロジカル物質は、電子のエネルギーバンドが「ねじれ」ていることに起因して、通常の物質には見られない特異な性質を示す。また、それら新しい性質を活かして新しいデバイスが生み出せないかということで、量子コンピュータを含め様々な応用の可能性も紹介されている。
かなり読み応えのある本格派な本だが、図も要所要所に挿入されており、また扱われている内容の高度さの割には説明がとても分かりやすい。基礎から一歩ずつ、物質科学の最先端に誘ってくれる一冊と思う。
1ヶ所だけ、他の方も指摘しておられるが、p.199の図6.5(d)の格子右上手前の頂点に位置するのはBa^2+の誤植だと思う(O^2-だと組成が合わない)。
序章 バーチャル空間で物質を観る
第Ⅰ部 ノーベル賞に見る物質科学 トポロジカル物質への前奏曲
第1章 原子から量子物理学へ
第2章 原子から物質へ
第3章 物質は量子効果の舞台
第Ⅱ部 バーチャル空間で物質を観る 量子物理学での表現法
第4章 運動量空間とは
第5章 バンド構造 物性科学の基礎
第Ⅲ部 トポロジカル物質とは何か
第6章 仮想磁場 電場が磁場に見える
第7章 トポロジカル絶縁体とは
第8章 電子波の位相
第9章 トポロジカル物質ファミリーと応用
Posted by ブクログ
イメージしていたのとは違った。前半は物理の歴史が書かれていた。新しい視点から見えた。
トポロジカル物質はロバストであるのが特徴。
量子コンピュータにも応用可能。
人間の記憶もこのロバストのおかげとある。
電荷でなくスピンが流れるのが面白い。
境界と内部の違いが面白い。
磁場がリアルか仮想であるかによって変化するのが面白い。
Posted by ブクログ
そもそも、トポロジカル。
何これ、である。素材や冶金的な分野はたまに仕事と関係するから読むのだが、トポロジカル??こういうのは哲学分野と似ていて、何階層にも専門用語を重ねるから分かりにくいので調べぬいて理解していく。トポロジカルとは「位相幾何学(トポロジー)の」「位相幾何学に基づく」という意味の英語の形容詞、とある。幾何学とは、空間や図形の話。位相とは波の話。余計わかりにくくなってしまった。ので、一旦離れる。
トポロジカル絶縁体とは、内部が絶縁体なのに表面は金属。多分、この方が理解できる。原理ではなく、特性で覚える。で、何が凄いのか。トポロジカル絶縁体の表面に流れる電流は、エネルギー損失がほとんどないという特徴がある。これ。バッテリー持ちが無茶苦茶良くなるとか、量子コンピュータに応用できるとか。
この原理は本著でも少し難しめなのだが、本著の白眉は他の部分。分かりやすくて、面白い。例え方が秀逸。共有結合、超伝導、トランジスター、ジュール熱の話。勉強になった。
ー ダイヤモンド結晶のなかのC原子間の結合や、水素分子のなかのH原子間の結合のように、隣どうしの原子の価竃子の波が2つの原子の間だけにとどまってしまう場合を「共有結合」といいます。共有結合のときには、隣どうしの原子から出てきた価電子の波が重なることによって、エネルギーが著しく低くなって安定化します。なので、電子は、2つの原子の間にだけとどまって、そこに引きこもって「安住」してしまい、「隣近所」の原子にまで拡がることはないのです。一方、金属結合を作る電子は、隣どうしの原子の間にとどまっていても、それほど安定にならないので、そこには「安住」せず、むしろ「自由を謳歌」したほうがいいというタイプで、広い範囲に拡がることでむしろ安定化しているのです。人間でも、「獲物」を求めて自由にさまよい歩く「狩猟民族」タイプの人もいれば、一カ所に「定住」して暮らすことを好む「農耕民族」タイプの人もいます。研究者でも、いろいろな分野を渡り歩いて成果を出すタイプと、一つの分野にとどまって深く研究して成果を出すタイプに分けることができます。それぞれ、何を「心地よい」と思うかで、最も「安定」した生き方が違うのです。電子の場合には、正確に言うと、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの2つのうち、どちらが健勢かという違いで金展結合の物質になるか、共有結合の物質になるかの違いが生まれます。
ー 共有結合の物質では、隣り合う2つの原子の間だけに価電子の波がとどまってしっかりと安定化してしまうので、結晶の両端に電圧をかけても、その電子の波は、その場所から動きません。
つまり電流が流れない、絶縁体になります。これが、ダイヤモンドが絶縁体となる理由です。
ー 500万気圧というとてつもない高い圧力をかけると、水素原子と水素原子の距離が近くなり、その結果、2つの水素原子の間で共有結合を作っていた価電子が、隣の水素分子まで包み込むように拡がるといいます。つまり、価電子の波がたくさんの水素原子核を包み込むようになるので、これはまさに金属状態になったわけです。この超高圧力は地球中心部での圧力よりも高いそうですが、木星や土星の中心部ではこの圧力が実現されているとのことで、そこには金属水素が閉じ込められていると予想されています。
ー 半導体では、温度が上がるほど、その熱エネルギーでたくさんの電子が共有結合状態から解放され、金属のなかでのように自由に動けるようになるので、電流として流れやすくなります。
逆に低温になるほど、共有結合状態になって局在する電子が多くなり、自由電子状態の電子の数が少なくなるので絶縁体のように電流が流れにくくなります。逆に、このような現象を利用すると半導体を使った温度計を作ることができます。温度が上がると電気がよく流れ、温度が下がると電気が流れにくくなるということは、温度によって半導体の龍気抵抗が著しく変わるということを意味します。そこで、半導体の電気抵抗を測ることで、温度を測れる温度計(温度センサー)が作れるのです。電子体温計は、まさにこの半導体を利用したものです。
ー 絶縁体の場合、共有結合を作っている価電子があまりにも安定化しているので、室温程度の熱エネルギーぐらいでは、共有結合状態から自由電子の状態に励起することができないのです。絶緑体の共有結合での電子の安定化エネルギーはそれほど大きく、電子はそこに局在して安住しているのです。逆に金属の場合には、もともと自由電子状態の価電子がたくさんいますので、温度を多少変えても電流として流れる電子の数はほとんど変化しません。
ー 半導体において、共有結合状態の価電子を自由電子の状態に励起するのは、熱エネルギーだけでなく光エネルギーを使っても可能です。半導体の多くは、可視光を照射すると、価電子が、共有結合の局在状態から自由電子状態に励起されて、電流として流れるようになります。これが、半導体が各種の光検出器や太陽電池として利用される理由です。ここでもダイヤモンドなど絶縁体では、可視光を当てても自由電子が励起されないので、電流が流れないままです。金属では光を当てなくとも自由電子が多数いるので、光を当てても電気抵抗はほとんど変化しません。
昔のスチールカメラでは写真を記録するのにフィルムを使っていましたが、最近のデジタルカメラやスマートフォンのカメラでは、固体撮像素子と呼ばれる、まさに半導体デバイスで光を検出して画像を記録しています。一つ一つの画素(ピクセル)に入ってきた光によって半導体の共有結合状態にいる価電子が励起されて自由に動ける電子になります。その電子の個数の違いによって一つ一つのピクセルに入ってくる光の強さを検出して記録します。最近のデジカメでは数百万から1000万個におよぶ多数の画素によって画像が構成され、高新品写真になっています。
ー トランジスターとは、電圧や電流の微弱な変化を、大きな変化に「拡大」するデバイスです。
この機能を「増幅」作用といいます。小さな声を大きな声にするマイクのようなはたらきです。
それを電気信号に対して行うのがトランジスターです。エミッターと呼ばれる針電極から半導体に電流を注入し、コレクターというもう1本の針電極から電流を引き出します。このとき、半導体結晶の裏側にベースと呼ばれる第3の電極をつけ、そこに電圧をかけます。そうすると、ベース電極にかかる電圧がほんのわずか変化すると、エミッターからコレクターに流れる電流の量が大きく増減するのです。
ー そこで、トランジスターを信じられないくらい小さくする技術が必要です。その技術は、テキサス・インスツルメンツ社のジャック・キルビーという研究者が開発しました。いわゆる集積回路(IC)というものを発明したのです。写真技術を応用して電子回路の設計図をぐんと縮小し、半導体結晶の上に焼き付けて電子回路を作るという方法です。その方法で1億個のトランジスターを半導体に作り込みます。3000メートルを超す富士山を1センチメートル四方のフィルムに記録できる写真技術を思い出せばいいでしょう。ただ、集積回路で使われる写真技術は、普通の写真よりはるかに高精細な写真なのです。例えて言うのなら、富士山全体の写真を撮ったとき、登山道を登っている登山者一人ひとりの顔まで写っているほど、高精細な写真技術を利用して、その写真に集積回路を縮小して写し込みます。それによって、現代では、トランジスター1個がインフルエンザウイルスより小さくなり、10ナノメートル程度の大きさになっています。
ー 宇宙の年齢以上に長い期間流れ続けるということですが、実質的に「永久」と言ってもいいでしょう。鈴(Pb)やアルミニウム(Al)などいくつかの金属や、さまざまな化合物を低温に冷却すると、普通の金属状態が超伝導状態に転移して超伝導体になります。その「超伝導転移温度」を室温に近づけようと、今でも多くの研究者たちが世界中で努力を続けています。室温に近い温度で、電気抵抗ゼロで電流を流せるなら、さまざまな応用が広がることは容易に想像できるでしょう。実際、病院で使われているMRI(磁気共鳴イメージング)やリニアモーターカーの強力電磁石のコイル電線に超伝導体がすでに使われています。
ー 金属や半導体では、そのなかを電流が流れるとその物体は熱くなります。「ジュール熱」と呼ばれる熱が発生するためです。物質の両端に電圧をかけて電流を流すと、電気抵抗がゼロでない物質では必ずジュール熱が発生します。パソコンやスマートフォンを使っていると熱くなるのに気づきますが、あれがジュール熱です。バッテリーからの電気エネルギーが熱エネルギーとして無駄に使われているのです。ですので、省エネのパソコンを作るには、このジュール熱の発生を抑えなければなりません。つまり電気抵抗を小さくする必要があります。
ー また、発電所から各家庭までつながっている送電線には、電気抵抗の小さい金属である銅(C) 線が使われていますが、そこでもジュール熱が発生して、5%程度の電気エネルギーが送電中にロスされているそうです。5%というと大した量ではないと思うかもしれませんが、日本国中で使われている総電力の5%を作るために、原子力発電所が数基必要なほど莫大なエネルギーなのです。電線が長くなればなるほどジュール熱によるエネルギー損失が増えます。ですので、日本各地に多数の発電所があり、それぞれ近隣の地域だけに送電線で電気を配っているのです。送電線でのジュール熱損失のため、送電線は短いほどいいのです。その意味で、電気エネルギーは「地産地消」が宿命なのです。
ー 超伝導体で作れば、長距離の送電でもエネルギーをロスすることもありません。そこに着目して、「サハラ・ソーラー・ブリーダー計画」と呼ばれる計画が日本から提案されています。アフリカのサハラ砂漠に巨大な太陽光発電設備を作り、そこで発生した電気を超伝導線で、日本をはじめとして世界各地に送ろうという夢の計画です。計算すると、サハラ砂漠の4分の1程度をソーラーパネルで覆って発電すれば、世界中で使われる電力を賄えるとのことです。しかし、この計画はまだ具体化されていません。
Posted by ブクログ
ブルーバックスもここまで行ったのかと思えるほど技術的に難解な本。
トポロジカル物質という特殊な性質を持つ物質についての本なのだが、ほとんど付いていけなかった...。
Posted by ブクログ
トポロジカル物質とは何か,漠然と理解できたように思う.将来の応用が期待できると思った.専門用語が多いので,内容は難しい本である.1回読んだだけでは,完全には理解できていない.
Posted by ブクログ
あっちこっちの図を参照するので、その度にページをめくって。ものすごく読みにくい。最後はめんどくさくなって図は無視して読んだら、よくわからなくなった。