あらすじ
名探偵エラリイが導き出した、十二年前の毒殺事件の真相とはいったい? 巨匠クイーンの〈ライツヴィル〉ものの秀作、新訳版刊行
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
十二年前の殺人事件に挑むエラリーのお話。どうあがいても不利になっていく状況を、冷静な視点と判断力で有利に変えていくエラリーが凄すぎた。ページ数の多さの割にサクサク読めるし、そこまで不快な妨害行為も無かったので面白かった。まあ遺書を盗んでエラリーに怪我させたヤツもいたんだけども。まあそれくらいはミステリのお約束ということで。無実だけを求めるだけなら良かったものの、真実を追求してしまったために悲しい結末を迎えてしまうのにびっくりしたけど、親の愛は偉大だなあと思わせるエンドだった。
Posted by ブクログ
『災厄の町』のライツヴィルという町に、
大戦の英雄が帰ってくる!というところからストーリーは始まる。彼、ディヴィーも、迎える家族同様に過去に受けた心の傷のため、今も心を病んでいる。
そのためにほじくり返そうという過去の殺人事件が今回の大きな軸。
ほじくり返されたら、出てくるのは悲しい真実の他にも沢山あった…
登場人物に向けられるエラリー・クイーンの一種、冷ややかな視線など結構楽しみながら読むことができ、最後の最後まで真犯人はわからない…ということなど充分に満足出来る一冊だった。
Posted by ブクログ
ライツヴィルシリーズのエラリーは、感情豊かで心優しい青年。エラリーの心の動きも言葉ではっきりと書かれているので、それがしっかりと読者にも伝わってくる。そのため、前作に引き続きこの作品もどこか憂いや悲しみが漂っている。
ほんの些細な好奇心が、大切な人の命を奪い、大切な人の人生を奪ってしまった。それを何とか隠し通そうとするエラリー。残酷な事実を覆い隠すために吐く優しい嘘。それでも、真実を希求するものにはきちんと伝える信念を持っている。
推理小説としての要素の部分で言えば、「毒は誰が、どこに仕込んだのか」という点が最後まで残る謎となっている。エラリーは事件現場を舞台に、当時の状況を詳細に再現していく。水差しに残されたぶどうジュースのすじをめぐる実験などが特に興味深かった。
この作品の中で一番胸にきたのは、戦争を終え心に傷を負って帰還したデイヴィーの苦しみだった。PTSDやサバイバーズ・ギルトなどの概念がまだ確立されておらず、他人にはなかなか理解してもらえないのがもどかしくて苦しい。妻のリンダやその家族は理解しようと力を尽くすが、どうしてあげたらいいのかわからないというまた別の葛藤を抱くことになる。そういった中での一縷の望みがデイヴィーの父の無実を証明することだったので、エラリーは真実を捻じ曲げたのだろう。デイヴィーが抱えたこの苦しみは、フィクションと言えど間違いなく実在した誰かのもの。ベトナム戦争から帰還した兵士もそうだったはず。デイヴィーがリンダを手に掛けようとしてしまったのは父のことがあったからではなく、実は潜在的な部分で自分が母を死なせてしまったことを自覚しているのでは、と空寒くなった。
若い夫婦を含むフォックス家の今後が、町のお節介連中にかき乱されることなく穏やかなものであってほしい。
国名シリーズファンとしては、父親を便利使いするエラリーが見られて安心。
Posted by ブクログ
トリックそのものは小ぶりだが、薬屋の台帳や水差しに残った跡から見せる推理は鮮やかで、らしい。そして、「ヨードチンキ」ならぬ、アスピリンの謎が、最後に悲劇的な真相を導くのにはニヤリ。
Posted by ブクログ
一時、離れていました。
久しぶりのクイーンです。
新訳という事で思った以上に読みやすかったです。
肝心の本編も面白かった!
12年前の殺人の再調査。聞いただけでもワクワクするじゃありませんか?
過去を振り返りながら調査を進めるエラリィ。
楽しませて頂きました。
面白かった‼️
Posted by ブクログ
海外作品を増やしたくて読破
結構古い作品なので、展開やトリックが当時は斬新だったのかと予想されるが今となっては、という感想
作者の名前=探偵の名前、というのは面白い
Posted by ブクログ
母を殺して有罪判決を受けた父に対して、自分は容姿も父に似ているし父・殺人者の血も入っているから自分もいずれ人殺しをしてしまうんじゃないかと悩む息子。戦争でその考え方が強まり、帰国してからは妻をいずれ殺すのではないかと苛まれる。
キーとなるぶどうジュースだが、水差しのネタとは、日常的でわかりやすくて面白い。
落ちは虚無感。本人も分からずやったとはいえ、なんてこった。