あらすじ
南極大陸をふき荒れる,その冬最後の雪嵐のなかでペンギンのたまごが2つかえりました.ルルとキキ兄弟は生まれたばかりだというのに元気いっぱい.両親のるすにこっそり家をぬけだして….楽天的で冒険好きな活力にあふれる主人公たちは,1957年の刊行以来,日本の幼年文学の代表として,幼い読者に受け入れられてきました.
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Posted by ブクログ
ペンギンの兄弟のルルとキキを主人公にした児童文学。
いくつかのパートに分かれたお話しの最初は、お父さんお母さんのもとを離れて冒険に出かけたルルが捕鯨船でかの地にやってきたもり打ちのおじさんにつかまって、つかのまの絆を結ぶも親元に帰ってくるという話。前半はやんちゃざかりの彼らが外の世界に飛び出していく話が続く。そして、最後のお話しは、ルルがトウゾクカモメから仲間を助けようと奮闘し、大人の世界に足を踏み入れる話になっている。ちょっと面白いのは、最初に出てきた捕鯨船が最後の話でもまた出てきて、ルルはその捕鯨船にノスタルジーを感じているところ。子どもが外の世界に飛び出して成長して帰ってくるという物語であれば、外の世界である捕鯨船にノスタルジーを感じるようなこともないように思うが、この物語ではそうではない。
日本から来た捕鯨船というのは、物語の世界、ファンタジーの世界を表しているのかな、と思った。この物語では、最後、大人になったルルたちが、越冬地に向けて旅立つのを、「冒険」と表している。前半のルルたちの冒険よりも、大人になって試練に立ち向かうことが真の冒険だということなのではないか。そういう意味では、もり打ちのおじさんと一緒に日本に行くのかどうかという選択肢を突き付けられて南極に残るというのは、フィクションに耽溺していないで、現実と対決しろ、というメッセージともとれるし、それでも、ルルがもり打ちのおじさんからもらった時計の鎖を携えていくのは、それでも物語の世界が救いになる、ということを示しているのではないかな、と思った。
子どもを主人公とした冒険譚・成長譚というだけではない重層的なメッセージを感じられて面白かった。