あらすじ
大阪地検一級検事の不破俊太郎はどんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で〈能面〉と呼ばれている。新米事務官の総領美晴と西成ストーカー殺人事件の調べを進めるなかで、容疑者のアリバイを証明し、捜査資料が一部なくなっていることに気付いた。これが大阪府警を揺るがす一大スキャンダルに発展して――。一気読み必至の検察ミステリー!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「能面検事」と揶揄される不破検事が、独自の流儀で事件を解決していく話。
捜査に同行する事務官の美晴視点で物語が進んでいく。
【幼女絞殺事件】
不破検事の人となりが見える話。
ロリコンの八木沢孝仁が犯人と思いきや、妹の史華が真犯人という内容。
被害者の留美の歯形が決め手で犯人が確定したけど、途中でヒントが隠れているわけでもなさそう。読者も推理しながら読むタイプの話ではないのかな?
【谷田貝事件】
アパートでカップルが殺害された事件。
被害者の菜摘をストーキングしていた谷田貝が逮捕され書類送検されたが、谷田貝は別の場所で暴行事件を起こしており無罪だった。
見込み捜査や証拠品の杜撰な管理が原因であり、それを不破に明るみにされた大阪府警は大打撃。76名懲戒処分になる。
一から捜査を進めていく不破は何者かに狙撃される。
一命を取り留めた不破が更に捜査を進めると、狙われていたのは菜摘ではなく、女性関係にだらしない楠葉だった。
妊娠中絶の果てに自殺した娘の無念を晴らそうと、西成署の大矢が犯人だった。
楠葉を殺害した際に一緒にいた菜摘は巻き添え。
不破は押収品のトカレフで撃たれたのだった。
一連の証拠品や押収品の杜撰な管理に便乗して及んだ犯行だった。
周りを巻き込んだ身勝手な犯行に不破の感情が揺れ、大矢に怒りの言葉を発する。
ーーーーーーーーーーーーーーー
全部で5章構成で、1章が短話完結だったので油断してたら2~5章はひと続きだったので、やめどころが難しかった。
思いの外規模の大きい話で、一事件だけでなく警察の汚職がテーマの内容だった。保身からの隠蔽や弁解、不破に向けられる筋違いの怒りは考えさせられる内容だった。そりゃあ不破みたいに生きられればいいけど、という気持ちもあるが「理想は追い続けないと」という仁科課長の言葉も身につまされる。
自分のそういう保身的な考えもあり「大阪府警の闇を暴く目論見があるんじゃないのか?こんなに書いちゃって大丈夫か?」と心配になった。実在の地名がバンバン出ているので余計に深読みしてしまう。
また不破と美晴が正義とは何かを議論するシーンが度々あり、美晴側の正義感がメジャーなんだけど、それによって目が曇り真実に辿り着けないことがあるという内容も深い内容だなぁと思った。
複雑な謎が解明されていく様は飽きずに読めた。ミステリーは面白いな。