【感想・ネタバレ】カタストロフ・マニア(新潮文庫)のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

2017年の本。完全に偶然なんだけど、「コロナ(この本では太陽フレアのことだけど)」「疫病」「隔離」「ワクチン」という単語が、コロナ前に書かれた本の中で出てくる珍しい本じゃないだろうか。本人は原発、震災文学と書いてるけど、今は違う感じにしか受け取れない。

珍しくそれなりにSF。エオマイア。宮内さんと対談しているけどポストモダンとか幼年期の終わりをオマージュとかそんな難しく評論されるものなんだろうか。少なくとも一冊は他に島田雅彦を読んで雰囲気を掴んだ人でないと楽しめない。達観したおじさんくさいミロク(26)、教訓や伏線があるようなないような奇妙な状況、島田雅彦節が炸裂しててよく分からない適当な結末もある程度予想はついてたけど、スタイリッシュじゃなくて女性に幻想を持ってるという印象を持つと思う。それでも、コロナ前の本だよね?ってドキッとするフレーズがたまに出てくる。

「疫病は貧しい者や幼い者から順番に命を奪いながら、人々を感染者と非感染者に分け、家族をバラバラにし、住み慣れた場所を追い立て、一度、孤立無縁状態にしたのち、小集団の形成に向かわせる。政府などあてにできない現状、疫病に対抗するには個々の知恵と技術を結集するしかないが、菊千代を集落に迎え入れたことで確実に知恵を上積みすることができるだろう。」

0
2022年04月21日

「小説」ランキング