あらすじ
通勤途中の駅で見かけた二和美咲は、あのころの、僕が恋をした18歳の姿のまま佇んでいた。それはまぼろしでも他人の空似でもなく、僕が高校を卒業したあとも、彼女は当時の姿のままでずっと高校に通い続けているという。周囲の人々は不思議に感じないようだが、僕だけはいつまでたっても違和感がなくならない。なぜ彼女は高校生の18歳のままの姿なのか。その原因は最初の高校3年生のころにあるはずだと、当時の級友や恩師のもとを訪ね、彼女の身に何が起こっているのか調べ始める。気鋭の作家が描く、心締めつけられる青春と追想のミステリ。/解説=若林踏
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Posted by ブクログ
ある日向かいのホームにいたのは、高校時代に好きだった彼女。
しかし、自分はもう卒業から何年も経っていて社会人となっているのに、彼女はまだ高校の制服を着たまま……。
年齢を患った彼女の、思い残したこととは?
とても綺麗でしたし、ミステリーとしてもどういう結末を迎えるのかわくわくしました。人が死なないミステリーもいいですよね。
大人になるって怖いかもしれないけど、私は学生時代よりよほど大人になってからの方がいろんな道を選べて楽だなって思っているので、そんなに怖いことじゃないよって伝えてくれる作品は好きです。
最後に主人公の謎も明らかになって、なるほど!と思いました。確かに、大人になってからはそういうこともあるかも。
Posted by ブクログ
一行目から私を引きこんでくれる作品でした。
主人公は年老いているのに、彼の目の前に現れたヒロインはどう見ても十八歳の頃の姿をしていた。というストーリーから始まる展開に、「どういうこと?」という疑問が吸引力となって、どんどん読み進めてしまう作品でした。
私の動揺と同じように、主人公も驚いているので、シンクロしたような気持ちで読めたのも良かったです。読者が今、どういった気持ちで読んでいるのかを想像しながら書いている作者さんだと思いました。
そして、青春時代の後悔やちょっとしたやらかしが妙にリアルで、読んでいて胸が痛くなるような箇所も多かったですが、そこも良かったです。青臭さがしっかりと描かれていて、とても人間味に溢れたキャラ造形ができているなと感じました。
大人になったことへの哀愁と優越感。色々な感情に折り合いをつけながら、前を向いて歩いていく主人公の姿に、胸を打たれる思いがしました。とても素晴らしい小説だと思います。
Posted by ブクログ
題名からも年齢をテーマにした、現実では起こり得ないミステリー。歳をとらない同級生との恋愛話と思いきや、いやいや我々中年にもガッツリ勇気をくれるものでした。
そんな世代には投げかけているのではないのかもしれませんが、教頭先生の言葉、「大事なのは現状からの跳躍力」。
その後間瀬さんから二和さんにも伝えていましたが、何かとくたびれてしまっている自分にも響きました。まだまだだと。
展開も二和さんの問題が一段落し、異色ながら爽やかに恋愛物として終わるのかと思ったら……
重ねてチカラをもらえた終わり方でした。
Posted by ブクログ
学生ならではの葛藤や空回りにすごく共感しました。
最近高校時代のことを思い返す機会が増えましたが、そのたびにもっとこうしておけば良かったと思うことが多く、過去を振り返る形式の本書はすごく自分に刺さりました。
自分が大人になっても、常にその時の最善の跳躍を決めたいと思うようになりました。
Posted by ブクログ
1日で読んだので面白かったと思う
年齢が重要といっている割には、自分の年齢を30歳手前などと曖昧にされていたのが腑に落ちた
何者でもない自分が「何かに没頭している人間になることができている」というのはとても共感できた。実際、私が今までほぼしてこなかった読書を始めたのもこれに近いものがある
また、「ギターケースを背負っているような人間に音楽という分野で認められたという事実が大切」など主人公に共感できる部分が散りばめられており、わかる…とにやにやしてしまった
Posted by ブクログ
最初の頃のラノベノリからかなり落ち着いた作風になった作品。
18歳のまま成長していないかつての同級生と再会した主人公が、なぜ彼女は18歳を繰り返すのかその原因を自身の過去を紐解きながら、他の同級生と再会しながら、突き止めていく。
さすがの浅倉秋成で、回想エピソードの中にさりげなく出てきた会話や描写がきっちり伏線になっていたり、違和感のあった表現が綺麗に謎解きされたりで終盤は毎度のことだけど止まらない。
ヒロインの子の「大人になるのが怖い、夢が叶わないことが怖いんじゃない、それを許容する大人になるのが怖い」というセリフ、かつて自分が19歳の頃に抱えていたまさにそのままの思いで胸が苦しくなった。若いの一言ですまされたくない切実さと必死な気持ちが確かにあって、でもそれすらきっと忘れていく自分に恐怖を感じていた。
あれから10年以上たって、まさにあの時自分がなりたく無かった、全てを忘れた大人になってしまったけど、なりたかった自分になれている人はほんの一握りだろう(そもそも私に夢なんか無かったような気もするし)。
「どんな地点からも最善の跳躍を決めることだ」
だからこそ、教頭のこの言葉は、それこそ老若男女問わず心に刻みつけて座右の銘にすれば良いと思う。救われる。頑張れる。
しかし、個性の前に年齢が立ちはだかる。言われてみたらその通りで、年齢抜きでその人の本質そのものをみれている人なんてどれくらいいるんだろうか。。。と、色々感銘を受けました。
Posted by ブクログ
高校時代に片思いしていた同級生が、18歳当時の姿のまま高校生として駅のホームにいるところを見つけた主人公がその原因を探る、青春と恋と人間ドラマ。 何故か高校生の姿を保っており、かつその状態が受け入れられたまま高校に通い続けていること以外は普通の世界であることがいい意味でファンタジー要素を薄めており、 ミステリー感もありつつ、先に上げた青春や恋物語などを堪能。強いて言えばラストがあっさりしすぎかな、と思いつつも読後の心は爽やかに。
Posted by ブクログ
最初のストーリーはとっても良くて、見ていて想像するのが楽しかったけど、最後のオチがあまり分からず。
あまりスッキリしない展開だった。
Posted by ブクログ
SFミステリー。SF物はほとんど読みませんがこれは面白かったです。
思いっきりネタバレ↓
二和が18歳を繰り返す理由が判明し、伏線も回収されてスッキリと思ったらまさかの間瀬、、、
間瀬がなぜ自分の年を勘違いし続けていたのか分からなかったですが、どこかに伏線あった?
そして年齢を3歳間違えてたぐらいで吐血するのも納得いかなかった。
「彩雲」に入れた夢のせいかと思ったけど、何と書いたか明かされなかったですね。
その辺りがモヤモヤしました。
教頭先生のキャラが最高でした。