あらすじ
感染症の危機、経済の危機の次は、社会保障の危機である。生活保護、医療、介護、年金の現状と対策を、社会保障研究の第一人者が解説・提言。さらに、消費税と社会保障費の切り離しを訴え、ベーシック・インカムの可能性について検討する。 【社会保障の大問題とその解決策の例】●生活保護:「働くと負け」状態→求職者支援制度を活用すべき ●医療:都市と地方の病床数格差→開業医の報酬を減らせ、地方版の「中央社会保険医療協議会」を作れ ●介護:壮絶な人手不足(訪問介護ヘルパーの有効求人倍率は14.75倍)→保険と保険外の混合介護の導入、家族介護に現金給付 ●年金:将来純負担(現在の現役層および将来世代の「支払い損」の金額)1100兆円→マクロ経済スライド(年金カット)をフル稼働させよ ●財源:消費税と社会保障費を切り離せば、消費税減税が可能になり、社会保障改革も進む 大阪市・東京都の特別顧問を経験し、政策実務を熟知している研究者が、現実的な分析・提案を行う。
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Posted by ブクログ
この本を読むと残念ながら政府の行う対策の燃費の悪さがわかります。
もちろん何もやってないわけではなくてそれなりに効果もあるんですけど
供給が足りない時に需要を創出する金融政策をやったりだとか
コロナで物理的に供給を増やせない(緊急事態宣言で店を開けない)時に給付金を全体にばら撒くとか。
もちろん的には当たってるので全く効果がないわけではないのですが経済学的に無駄が多いことはたくさんあるのかもしれません。
「世代間不公平としてのコロナ禍」
コロナに罹患して亡くなってしまう人数と経済を止めて自殺してしまう人数がトレードオフの関係にあるというのは目から鱗でした。
コロナは確かに高齢世代や基礎疾患のある人に死亡者が多かったと思います。
そうなると緊急事態宣言は高齢世代を守るための政策で現役世代の負担の上に成り立っていたのがわかります。
次に定額給付金が全員に配られるという意味では失業や収入減に直面する現役世代に比べて年金が減らない高齢者も同額もらえます。
そういう意味で
「負担は現役世代」
「利益は高齢世代」
という構図になって
「シルバー民主主義」
「世代間不公平」
が生まれていたというのは初めて理解できました。
最後のベーシックインカムのところが少し消化不良でした。
やっぱり専門が社会保障と経済学なのでベーシックインカムは少し畑違いなのかなと思いました。
ただ財源についてはかなり精緻に上げていただいてるのでとてもよくわかります。
負の所得税の方がベーシックインカムより事務手間の面で効率的なんですね。
やはり制度の精度を上げるためにはマイナンバーカードで全ての所得を把握することが必要やと思います。
サラリーマンだけが所得把握されているトーゴーサンはAI時代にはマッチしていません。
社会保障が平等に行き渡るためにもデジタル化は待ったなしやなと思いました。
Posted by ブクログ
コロナ禍における、社会保障の現在の状況を分析して、問題解消のための処方箋が著された一冊です。医療、介護の現状については、知りませんでしたが、まあこんなものだろうという印象が残りましたが、年金については、ある程度知っているつもりだったので、自分の無知が分かり、為になったとともに、これだけ現状が厳しいとは思わず、少しショックを受けました。全体的に問題の処方箋としては大胆な印象を受けました。