【感想・ネタバレ】夜明けのすべてのレビュー

あらすじ

「知ってる? 夜明けの直前が、一番暗いって。」

人生は思っていたよりも厳しい。でも、救いとなる光だってそこら中にある。
ささやかだけれど特別な、生きるのが少し楽になる、全く新しい物語。

映画「夜明けのすべて」
2024年2月公開!

W主演:松村北斗 上白石萌音
監督:三宅唱

PMS(月経前症候群)で感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。
友達でも恋人でもないけれど、互いの事情と孤独を知り同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになり、少しずつ希望を見出していくーー。
人生は苦しいけれど、救いだってある。
そんな二人の奮闘を、温かく、リアルに、ときにユーモラスに描き出し、誰もが抱える暗闇に一筋の光を照らすような心温まる物語。

2019年に『そして、バトンが渡された』で本屋大賞を受賞し、映画の大ヒットも記憶に新しい瀬尾まいこの、本屋大賞受賞後第一作。水鈴社創立初の単行本。

●『夜明けのすべて』刊行にあたって
人生は想像より厳しくて、暗闇はそこら中に転がっていて、するりと舞い込んできたりします。でも、夜明けの向こうにある光を引っ張ってきてくれるものも、そこら中にきっとあるはずだと思いたいです。
いつも本が完成して思うことは、「楽しく読んでもらえることが一番だ」です。その思いは今回も変わりませんが、『夜明けのすべて』を読んでくださった方が、ほっとできる一瞬を味わってくださるのなら、明日を待ち遠しいと思っていただけるなら、幸いです。
瀬尾まいこ

【著者プロフィール】
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。他の作品に『図書館の神様』『強運の持ち主』『優しい音楽』『あと少し、もう少し』『傑作はまだ』『私たちの世代は』など多数。

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ふとした瞬間に自分をコントロールできなくなって、
「自分が自分じゃないみたいだ」と、焦りや不安に襲われた経験はありませんか?
この作品を読めば、行き場のない焦燥にも希望を見出せるようになるはずです。

本作は、月にたった一度のPMS(月経前症候群)で人生と人間関係がうまくいかない美紗と、パニック障害で順風満帆な人生を手放すことになった山添の、「夜明け」までのお話です。
同僚のふたりは親しくもない関係でしたが、あるものをきっかけに、それぞれがPMS・パニック障害と戦っていることを知ります。
山添は当初、PMSよりパニック障害の方が大変だと、自分を気遣う美紗を軽蔑していました。
しかし、美紗が彼を楽しませようと突飛な行動を起こし続けたことで、山添も徐々に心を開き、彼女を見つめ返すようになっていきます。

病名は違っても、同じ不安を抱える仲間として助け合い、生きようとする姿の力強さに、気づけば涙が止まりませんでした。

友人でも恋人でもない、人間たちのちいさな反抗の物語。
ふたりの夜明けを、ぜひ見届けてください。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

映画は未視聴。「天国はまだ遠く。」が気に入りこちらの本を手に取りました。

本からは、あることができなくなって、全て諦めてるだけでは進まないということ。もちろん、今の私にできないことは山のようにある。だから、諦めるのではなく手段を変える。考え方を変えること。考え方が少し変わるだけでとても世界は広く感じることができるということ。

ガッツリ恋愛要素はなく、それぞれの生き方に着眼点を置いたお話にすごくハマりました。嫌な人がいなく、モヤモヤすることもなく、すんなりと文字が入ってきて、とても素敵なお話でした。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私は病名がないが、5年前から原因不明の体調不良に悩まされているため、共感できる部分が多かった。

この体調じゃなければ、と、何度考えたか。

結末が2人とも完治するわけではないが病気はあるものの、良い方向へ向かっているのがわかる。いつ治るか分からない体をもっている者として、ふたりの姿に勇気をもらえた

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

PMSは初耳、パニック症状も可哀想、少し距離を置こうと自分の中でそんな印象しかなかったことに心から落胆した。自分の醜さに。自分自身、藤沢ほどでは無いがカッとなりやすい性格で自分を基準にしてその人をはかる事で生まれる差に対してイライラしてた。元々差なんてないのだけれど。私はその人の事を知ろうともしないで、自分勝手に苛立っていたことに気付かされた。無知や経験の無さが苛立ちの原因だと思う。相手がPMSやパニック障害で悩まされていたら?という思考もできず、ましてやその病がどんなものなのかすら知らないで。そういった知識や沢山の経験、周りを見て興味を示すことにより自分が寄り添う気持ちを持つことが出来るかもしれない。怒りたいのは相手の方だろうし。悲しいのは相手の方だろう。
「病気にもランクがあったんだね」という藤沢の言葉、胸に沁みる。自分の方が辛いと無駄に意固地になる。相手も辛いに決まってるのに。山添は、常に病と向き合ってきていなくて健康体から突然パニック障害になってしまったから過去の自分と比較してしまうのだろう。想像するだけで絶え難い。孤立したくもなる。それでも仕事を始める。自分自身で対策を取る。みんなに迷惑にならないようにと、殻に籠る。それでもすごく勇気がいったと思う。でもその痛みを理解してくれる人に出会い、ましてや病を受け入れてくれる仲間がいることがどれだけ救われるのかこの小説で知れた。救う側にも救われる側にもなるかも知れないし、病で無くてもその状況には変わりはない。「完全な孤独などこの世の中には存在しないはずだ」
全てが嫌になって塞ぎ込むよりも病から現実逃避しようとも生きていく時間は変わらないのなら少しでも考え方を変えた方がいい。病を受け入れるという先生の言葉はこういう意味だったのかも知れない。
「社会に出て、関わる人も広がって、本当に言いたいことを言って、なんの曇りもなく自由に思い通りに生きている人などそういないことを知った。ありのまま生きているように見える人も、そんな強い自分であるために、どこかで無理をしている。他人がどう思うかを考慮せず、自分の心だけに従って動ける人はめったにいないはずだ。」この言葉でどれだけの人が救われたか。この考えがもっと沢山の人に知れ渡って常識になったのならどれだけ生きやすいか。気を遣って勘違いをされて隠している人が隠れて泣いているのを分かって欲しい。私はこの言葉が深く刺さった。
他にも、「簡単に手に入れられる情報なんて、声が大きい人のものがほとんどですよ。」「いつ来るかわからないものに怯えて、この場から動けずにいるのはもっと恐ろしいことなのかもしれない」瀬尾まいこさんは私に力をくれる、発見をくれる、優しさをくれる。理解してもらえる、受け入れてもらえることがどれだけ救われるのかが伝わってきた。これからの人生で病を持っている人に出会うと思うし、自分がなってしまう可能性もある。でもその時、私はこの小説を思い出し一歩踏み出そうと思う。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気に読んでしまった。。
藤沢さんのおせっかい、とっても素敵な人だなあ。
最後の山添くんとても元気で軽くて楽しそうだったな。

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

病気を抱える者同士が助け合っていく物語。
自分も靴に炭をしのばせるように誰かにそっと手を差し伸べられる人になりたいと思った。
山添君が少しずつゆっくり自分を作っていくところがじんわり沁みた。
ついネガティブな方向に進んでしまいがちなことも前向きに物事を捉えて、代替ではなくそれ自体にしかない楽しさがあると教えてもらった。
同情ではなく、寄り添う気持ち。
人に優しくしようと思える、大丈夫だよって背中を推してくれるような小説。

映画も見た
推し、山添くんを演じてくれてありがとう( ; ; )

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物がみんな素敵で読んでて心が温まる。「完全な孤独など、この世の中には存在しないはずだ」山添くんがこう思えるようになってよかった。PMSもパニック障害も病名は知ってたけど、なにがしんどくてどれだけ大変なのか全然分かってなかったなと思った。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二人のやりとりはお互いに遠慮がなく、いい関係だなと思いました。
最近は相手に遠慮してしまったり、気を使ったりなど当たり障りのない言動ばかりで、気楽に付き合える関係を築くのができなくなっていたなーと気付かされました。
二人のような一歩踏み出した行動をやってみようかなと思います。

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2025年11月29日

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