【感想・ネタバレ】闇の脳科学 「完全な人間」をつくるのレビュー

あらすじ

「脳に電気ショックを与えて、『完璧な人間』へとつくり変える」

現在の米脳科学界における一大トレンドであり、DARPA(米国防高等研究計画局)も莫大な予算のもと参戦する「脳深部刺激療法」。
「サイコパス」「依存症」「うつ病」「てんかん」「パーキンソン病」、そして「小児性愛」「性犯罪者」さえも矯正可能であるという夢のような治療法だ。
軍事転用すれば、冷酷な兵士を人工的に生み出せる。

しかし、闇に葬り去ったはずの禁断の治療法がふたたび甦ってしまった、と戦慄する人も多い。
というのも1950~60年代、マッドサイエンティスト疑惑のある天才脳神経外科医が、
倫理観の希薄な南部(ニューオリンズ)の大学で、思う存分に人体実験を敢行していたからだ。
患者の頭蓋骨に穴を空け、電極を差し込むことによって。しかも彼は、人類の進歩に貢献する英雄として、もてはやされていたのだという。

恐るべきことに彼は、同性愛者を異性愛者へつくり変えることに成功。
暴力行為が一瞬で消えた患者、上限のない幸福感に満たされる患者、メンタル疾患が消えた患者なども。過激化する人体実験。
その一方で、手術失敗で発生した廃人たちを隠し切れなくなりーー。
人間の本質=「脳」という臓器に変更を加えることは許されるのか?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

精神症状における脳深部刺激術の歴史と、その中で消された存在となったヒースの半生をまとめたルポです。題名から胡散臭そうな印象を与えてしまいようですが、真っ当な内容です。脳深部刺激術はパーキンソン病などの治療で現在普通に行われる手術ですが、精神症状の治療のために1950年代から試行錯誤されていて、その歴史が忘れられたものであるは驚きでした。精神症状が脳から生じるという共通認識がない時代にはタブーであったのでしょうか?それぞれの時代の治療を後から批判するのは簡単でしょうが、多くの研究者はその時のベストを尽くしていたと信じています。

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2020年11月06日

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