あらすじ
はじめて読んだ本をおぼえていますか?
ページをめくれば溢れだす、しあわせな時間と家族の思い出。さあ本の国へ旅にでよう――。
本書は、文学者の父・池澤夏樹と声優、エッセイストの娘・池澤春菜のふたりが、「読書のよろこび」を語りつくした対話集です。
「本は生きもの」と語る父。「読書の根本は娯楽」と語る娘。児童文学からSF、ミステリーまで、数多くの本を取り上げ、その読みどころと楽しみかたを伝えます。池澤家の読書環境やお互いに薦めあった本、夏樹さんの父母(春菜さんの祖父祖母)である作家・福永武彦や詩人・原條あき子について等、さまざまな話題が登場。さらに巻末にはエッセイ「福永武彦について」(池澤夏樹)、「ぜんぶ父の話」(池澤春菜)も特別収録しています。
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Posted by ブクログ
父と娘の本に関する対談。
羨ましい。
私も、読んだ本について思う存分語り、読んでない本について存分に語られているつもりで、つまり第3の話者のつもりで読みました。
もう本を読みながら心の中で語る、語る。
だって児童文学、少年文学、SF、ミステリ、好きなジャンルの本ばかりなんですもの。
比較的少年文学は読んでいないけれど。
私はイギリスの文化(小説、音楽、映画)が好きなのですが、児童文学というのは圧倒的にイギリスが多いのだそうです。
なるほど、子どもの頃イギリスの児童文学を読みふけった結果、すり込まれたんやな。
物心ついた時から周りには本が当たり前にある環境で育った娘は、留学していた時、段ボール箱1箱分の本を持って行った。
それっぽっちの本、すぐに読み終わってしまう。
そうしたら、そのあと読む者もなく、どうしたらいいのだろうと恐怖だったと。
(実際には体調不良で途中で帰国したようですが)
私は、家に本がふんだんにはなかったので、何度も何度も同じ本を読んで育ちましたから、多分一通り読み終わったら最初から読みなおすね。
何の恐怖もなく。
最強の読書人親子だと思いますが、実は彼らは翻訳物の児童小説で育ったので、日本の者をあまり読んでいない。
それは私もわかる気がする。
昔風の言い回しが今も残る近代の日本文学より、今の言葉で訳してくれている翻訳物の方が断然読みやすかったし、遠い世界の風物を想像する楽しみもあったり、何より日本の小説は(児童文学も)辛気臭くて説教臭くて貧乏ったらしいものが多かったので。
でも、池澤夏樹は「何が面白いの?」と切って捨てた『次郎物語』は、私すごく面白く読めたんだよねえ。
それに出て来る無計画の計画は、今も私の行動指針だ。
だから感想なんてものは人それぞれなんだよね。
読みながら心の中で大いに語っていたので、多分私の血液はふつふつと煮えたぎっていたと思います。
そのくらいエキサイティングな読書でした。
ああ、楽しかった。
でも本当はリアルでこういう話をしたいんだよねえ。
だれか誘ってくれないかなあ。←自分からは出て行けない小心者