あらすじ
『惡の華』『ハピネス』に続く、押見修造 待望の最新作!!
性と向き合い、身体を取り払い、まざりあう2人のすべて。キミとならいける、遥かなる“向こう側”へ――。セイシュン群像劇、完結!
この作品をどう受け取ればよいのか。性、性欲、性別、セルフイメージ、少女。これらの言葉が頭の中をぐるぐるした。
冴えない亀川洋平と眉目秀麗な室田慧、そして三谷結衣は幼稚園の頃から一緒だった。しかし小6の夏、洋平は校舎の陰で慧と結衣がキスする姿を目撃してしまう。それからというもの、洋平は結衣が近づくだけで鼻血を出し、慧を拒絶した。二学期明け、慧は引っ越し、2人の前から忽然と姿を消した、はずだった。高校で髪を長く伸ばし、女子制服を身にまとう姿で出会うまでは……。
「僕は男を降りただけで女になりたいわけじゃないから」
慧は同級生の女の子たちにそう言い放つ。慧が女性らしい見た目になったのは、社会に蔓延する男らしさが合わなかったからであり、決して女性になりたかったわけではない。それでも、同級生の男子は加害したくなるかわいい女みたいな男として、女の子は加害性を感じない女の子みたいな男として、慧を見なす。慧は、洋平だけではなく読者の性に対する先入観や固定観念までも振り回そうとしてくる。
ここまで性別という枠組みを瓦解しようとするマンガは、後にも先にも出てこないだろう。マンガはここまで表現できるのだ、と押見修造先生の読者への挑戦に似た信頼を丁寧に読み解きたい。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
第一話の展開から完結まで運んだのはすごいと思う。
『惡の華』にセクシャルマイノリティ的要素を追加し、恋愛を複雑化させたような作品であるように感じたが、そう簡単にまとめてしまうのも良くないのだろう。著者は作品のテーマに自己のコンプレックスをおくことが多々あるが、著者も巻末のエッセイで述べていたように、商業的な部分と表現したい部分のバランスが難しいのだろうと思う。
Posted by ブクログ
悪の華といい、麻里は僕の中といい、昔からちょっと気持ち悪くて、エロい作品が多い押見さん。
絵とストーリーが毎回奇想天外で面白い
自作も楽しみ
今から血の轍を見まーす
Posted by ブクログ
性欲があるからフェアじゃなくなるってことなのかな
性別とか意識する前のただ友達と戯れあっていた頃が1番純粋だったってこと?
それならなんで彗ちゃんに性に目覚めさせたのか、
なんでフ⚪︎ラしたの?
なんで三谷さんを煽るのか
もし彗ちゃんが荒立てなかったら洋ちゃんは性についての違和感を感じなかったんじゃない?
彗ちゃんを引きづり込んじゃだめじゃない?
元々違和感を感じているならアドバイスを与えるのはいいと思うけど
結局は洋ちゃんが好きで一緒に居たかったって事でしょ?
三谷さんだってこんなに悪い感じにはならなかったよ。(彼女は潜在的にSっ気があったように思うけど人を陥れるような子ではなかった)
性に惑わされるのは女のせいだって言っているように見えた。
再会した二人はプラトニックな関係なんだよね?
双子のような感じなんだよね?
恋愛の好きじゃなく友愛って事よね。
私が女だからなの?
三谷さんが不憫で何か腑に落ちないんだけど…
こんなのトラウマだよ。
まともに恋愛出来ないでしょ…
性同一性障害のお話だ、ってコメントもどこかでみたけどゲイとかパンセクシャルとかアセクシャルとか、どれにも当てはまらないと思う
だって性欲も恋愛感情も持たない。って話でしょ?
んーなんか後味悪いっす…
Posted by ブクログ
完結……。
「血の轍」と「おかえりアリス」を同時期に終えて、どちらも凄まじい告白であるぶん、押見先生大丈夫かと心配。
もちろん数ヶ月後には新連載の報せをくれるのだろうけれど。
ところであとがきの文章がまた、強烈。
読者としても自分を顧みざるをえない。
性から降りるというテーマ。
雑誌やテレビやからは老いても性にしがみつくことがかっこいいと発信され続けている。
100%押見先生に共鳴するわけではないが、少なくとも「LEON」的な中年にはならないだろうと自分が見えたとき、ちょっと落ち着いた気がした。
まあ中年ってよろめくものだから何とも言えないけれど。