【感想・ネタバレ】彼方の友へのレビュー

あらすじ

友よ、最上のものを。
戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――

老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、小さな箱が手渡された。
「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。
そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――
戦前、戦中、戦後という激動の時代に情熱を胸に歩む人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描ききった感動傑作。
巻末に、文庫のための書き下ろしスピンオフ「ポラリス号の冒険」を収録。
第158回直木賞候補作。
解説/瀧井朝世
装画/早川世詩男

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Posted by ブクログ

ネタバレ

女性が率先して活躍することに偏見が社会だったうえに、戦中という生きていくだけで大変だった時代。
主人公・波津子は貧弱な印象だったが、意外と度胸があるのと、有賀を筆頭に様々な人に揉まれながらも成長していく姿が頼もしかった。

「泣いてはいけませぬ」
どんなときでもその言葉と共に、歯を食いしばりながら立ち向かっていった波津子。その力強さ、たくましさ、ブレない信念、かっこいいなぁと思った。

「乙女の友」という1冊の雑誌を通じて、離れていても、顔が分からなくても繋がっている仲間がいる。読者のことを「友」と表現した伊吹さんの感性が素敵だなと思った。

そして外せないのが、波津子と有賀の恋模様。
自分の気持ちに鈍感な有賀に、想いを言葉にできない波津子にやきもきしたが、70年以上の時を経てようやく気持ちが通じ合えた。
「永遠なんてものはどこにもない」そう言っていた有賀が、波津子へ遺したあの言葉に涙がとまらなかった。
こんな時代に生まれてこなければ幸せになれていたのかな。切ないな。
確かに「永遠」なんてものはない。
だけど波津子と有賀はきっとまたどこかで巡り合って、恋に落ちるのだろう。
どれだけ時代が変わろうとも、再び会うことが叶わない運命だったとしても、遺せるものがある。ふたりがお互いを想う気持ちは永遠に生き続けていく。

ひとつだけ欲をいうとしたら、望月辰也とジェイドと波津子の母、父の関係性、有賀の任務は何だったのか、智樹の曾祖父は誰なのか...。伏線回収してほしかったことかな。

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2023年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

Twitterで海に眠るダイヤモンドが好きな人におすすめされていて読んだ。よかった。こういうの読むと今自分が悩んでいることがすごく小さく感じる。主人公のおじさんと有賀主筆は公安?的なやつだったのか気になる。

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2025年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

乙女の友。その一冊に携わった多くの人が戦禍に巻き込まれながらも、彼方の友へと日々の美しさや楽しさを届けるために奮闘する物語。ハツコが幼くして夢破れた後、ほんの働き口として訪れた出版社。しかし、有賀主筆をはじめとした個性豊かな面々に支えられて、作家そして主筆へと成長する。

美しくて、面白くて、楽しいものを届けるという情熱がたまらない。様々な作家先生と編集部員が織りなすてんやわんやの日常の中で、少しずつ成長する主人公に胸が熱くなる。次第に戦争が影を落とす中で、有賀とハツコが離れ離れになった時、そして時を超えてまた通じ合えた時、人の想いや情熱は簡単には途絶えることはないと思えて感動した。

ちなみに私の推しキャラは史絵里さん。最後の満洲引き上げのエピソードでもまた泣いた。

霧島美蘭のかなしい人シーンも名場面。

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2023年12月20日

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