あらすじ
若き大学教授とその付き人という関係から一歩踏み出し、新たな生活を送り始めた黒猫と私。ある日「本が降ってくる奇妙な夢を繰り返し見る」という女子学生の相談を受けた私は、黒猫と共にその言葉の真意を探り始める。だが、まもなく当の女子学生が詩集に“降られ”昏倒する事件が……巻頭作ほか芸術展への脅迫事件、覆面画家が残した風刺画の真実など、現代アートをめぐる5つの謎に黒猫と付き人が迫る書き下ろし短篇集
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Posted by ブクログ
短編集
相変わらず楽しませてくれる作品
灰島教授が出てくる作品も含まれているとは…
黒猫シリーズを読むと読書をする際に背筋が伸びる気がします(笑)
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現代芸術をテーマに話が進む。
芸術と言っても、絵画だけでなく、詩や服飾、パフォーマンス…。アートと芸術の違い。
深く考えたことなかった分野だったからそういう考え方があるんだと新鮮な気持ちで読んでた。贋作とオリジナルなんてわたしには見比べることはできない。きっと贋作でもら感動しそう。何が真実なのかなんてわからない。
Posted by ブクログ
現代アートをめぐる謎について、黒猫と付き人が迫る。1つの話で、付き人がシャーロックホームズ・灰島がワトソンとして書かれていた。ワトソンである灰島が、気づかずにヒントを出しすぎていて、シャーロックホームズである付き人に指摘されるところが面白かった。アートに含まれる意味が、大衆に伝わるものもあれば、本人にしか分からないものも多く含まれている事を知っておく必要がある。
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最初のふたりのシーンからにやにやが止まらず、マスクしててよかったと思いました。もやもやしてる付き人もずっとプレゼントするために準備してた黒猫も可愛いです。謎解き面も付き人は成長が見られているし、このまま進めばひとりで解決出来る日もくるのでは。黒猫も追いついてくるのが楽しみであり、でも頼ってほしい部分もあるでしょう。
まだまだふたりを見ていたいので、ずっと続いてほしいです。
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駆け抜けるように読むのは惜しく、少しずつ味わうように読んだ。色や匂い、ドーナツの甘さが小説のスパイスになっているように思う。
誰と過ごしたいか、あるニュースを自分はどう解釈するのかをじっくり考えてみたくなった。ミステリーでもあり少し自己啓発の要素もあると思う。読む人の背中を押してくれるような小説だった。黒猫と彼女の会話だけの見開きがあり、言葉で二人の距離を確かめ合うシーンに美しさを見た。この二人なら大丈夫だと思うし、これからも二人の歩みを見たい。
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黒猫と付き人の美学の物語。
今回は「ポー」の短編に擬えた考察。短編。
それにしても、二人の関係が一歩ずつ近寄って来ていることが微笑ましい。
相変わらず、クセの強い人間は登場するし、心穏やかに対処出来ないことも。
だけど、黒猫が付いていれば大丈夫。なるほど、解決!
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付き人と黒猫の関係が、一方的に頼るのでは無く、付き人の自立が好ましかった反面、前回での結婚が保留のままで寂しい。
相変わらず付き人に甘い黒猫が可愛いです。
黒猫の姉・冷花のデザイナーとしての原点が素敵です。ここで大手に誘われてもなびかないのが冷花らしいかな。
灰島と付き人のコンビも中々板に付いてきた気がしますが、やっぱり黒猫とのコンビで動いて欲しかったです。少しでも黒猫と対等であろうとする付き人の向上心と焦りだったけど、やっぱり隣に居てくれる安心感がほんわかしました。
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発売日当日に買い、ちょっとずつ読み進めてようやく。一言でいうなら「黒猫シリーズはいいぞ~」。
今回もポーの作品が絡んでいるのは嬉しい。しかも「黒猫」は遊歩でも扱ってましたね……。そして今回は割と最近の話題やニュースを取り扱ったものが下敷きになっているので、黒猫シリーズの中では取っ付きやすい1冊。
「本が降る」
奇しくも読んでいるときにTOKIOの元メンバーが捕まるという……。太宰治も同じようなことを書いていたし、どうしても太宰が好きっていうとなんか暗い?自殺しそう?みたいに感じられる(最近はそんなことなくなってきてるけど)と思ってたから、黒猫の言葉は救われた気になった。
誰かの代わりに……は後述の贋作の話にもつながりそう。
「鋏と皮膚」
冷花さん回は黒猫の私生活が分かるのでありがたき(?)。<皮膚>は<被服>の語感の類似を考えたり。まさかね。
「群衆と猥褻」
黒猫がいろんな意味で一番ひやひやした回では?食わず嫌いではないけれど、猥褻という概念の見方が変わってくる。
そして戸影クン頑張って!
「シュラカを探せ」
え、まさかと思ったら……。私も理解できる日が来るのだろうか。
灰島が息吸うようにドーナツ食べるのは一体……。そして補講読むと黒猫やっぱり拗ねてるよね。ナデナデまでなんかいいよな~~と思ふ。
「偽と贋」
模倣の話(遊歩)ともまたつながりそう。そして最後~~!!黒猫はずっと恋ですからねえ。付き人ちゃんはそうでもないみたいだけど(安定)。
「実業家」「鋸山奇譚」「悪魔に首を賭けるな」は未読なので読みたいと思う。
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冷花のはなしが特に好き。
黒猫の「弟」の顔が見られるのも良き。
「結局人生は行動が全て」と黒猫は言う。
「言葉は揮発性」とも言う。
はんぶんは賛成。
黒猫にとって言葉は、大切なことを伝える手段ではないのかな…と思ったり。
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黒猫と付き人の二人が出会う、現代美術にまつわる謎を解き明かします。謎解きは、ポーの研究者である付き人がポーの短編小説の解釈をしながら、進めます…また、恋人になった二人の思いも散りばめられています。
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久々の黒猫シリーズ。昔を思い返しながら読み進めたら、思ったより時間がかかりました。二人の進みそうで進まない関係もデフォルトで、まあ、二人だからなぁと思いつつ、謎解きを楽しみました。
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現実に起きた出来事をイメージさせる出来事が作中で起きていることから、いつもよりも作品に入りやすかった。長さもちょうど良く、これだと蘊蓄も無理なく入ってくる。
相変わらず2人の距離感も良い。
でも今回1番印象的だったのは冷花がメインのお話。
2020.11.16
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Posted by ブクログ
黒猫シリーズの短編集。リアルに話題になっている事象をモチーフにしたであろうストーリーもあり、面白い。黒猫と付き人との関係は以前と変わったようで同じようでもある。きっとこれからもそうやって続いていく関係なのだろうなとあたたかい気持ちになれるのが不思議。
紙の本を買う場合は、初回帯に特典がついているので、帯つきを手に入れたら特典も読めます。
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現代アートとは何なのか。前作での私の感想に一部答えてくれるような本作だった。
▼シュラカを探せ
でも、落書きとアートもしくは芸術との違いは結局分からないまま。日本でも最近、NFTアートと称して小学生の落書きに100万円以上の値がついたそう。個人的には、そういうのは芸術じゃないように感じるけど、じゃあその境界線はなんなんだろう。長い経験や修行の果てのアウトプットかどうかか?新しい視点を齎すものなのかどうかか?人の心をどのくらい深く揺さぶるかなのか?思想や信念の有無?シュラカは「中心などない」という、その意味も結局きちんとは理解出来なかった。気が向いたら参考文献に目を通してみる。
▼贋と偽
贋作と、偽物と、本物の違い。黒猫の主張には激しく同意。そういえば、よく企画美術展で、モネが来るフェルメールが来ると皆浮き足立つけれど、一体その中のどれくらいの方々にとって、本当にその目の前にある作品が本物でなくてはならないのだろうか、と他の鑑賞者の様子を見ていてよく思う。勿論、鑑賞の仕方は人それぞれ。皮肉ではなく素朴な疑問。
▼本が降る
こちらも黒猫の主張には激しく同意。
ところで、詩の鑑賞の仕方が未だに良く分かっていない。黒猫の出世論文のテーマであるマラルメとか難解すぎ。勿論アルチュール・ランボーも良く分からない。外国語による詩はハードル高いよな。といいつつ、日本語の詩だって、島崎藤村の「椰子の実」の切なさとか谷川俊太郎の「卒業証書」の優しい眼差しくらいしか味わえないけど。
▼群衆と猥褻
トリックが無理矢理感強いなあ。
Posted by ブクログ
黒猫シリーズ第8弾。
教授に頼まれ、様子のおかしい学生の相談に乗る助手。学生は本の降る夢を見たという「本が降る」など5編。
今作は身近な時事ネタがたくさん入っていました。
(薬物使用で逮捕された人物の作品に罪はあるか?など。)
黒猫と助手の関係は長年付き合った恋人のような落ち着き…これもまた良き。
Posted by ブクログ
今回は実際の事件をベースにしたものが多くて、ちょっとムズムズした。
美学的解釈が半分くらいしか理解できないのと、不確定なことを確定的に話すのが気になるのはいつものこと。
それでも謎の答えが知りたくて、つい読んでしまうこのシリーズの魅力は不思議だ。
「群衆と猥褻」がわざわざそこまでするか?という真相だったのだけど、それよりも泊まりに来た後輩が味噌汁すすって沢庵をかじった後にクッキーを頬張ってた方が気になった(笑)
Posted by ブクログ
黒猫シリーズの第8弾は、大学教授と付き人という関係から一歩踏み出した「黒猫」と「私」が巡り会った5つの謎。今世の中で話題になっている事件や事柄を彷彿とさせるところが面白くて、いつになくとっつきやすい。
「本が降る」・・・薬物所持で逮捕された天才詩人。彼が違法行為を働いたことで、彼の作品は貶められるのか。「作品に罪はない」という昨今、芸能人が逮捕されるたびに繰り返される言葉に、黒猫が独自の解釈を施す。
「鋏と皮膚」・・・黒猫の姉・冷花さん登場。姉弟の信頼感が感じられる。黒猫って、やっぱり子供の頃から鋭くて、賢かったのね~
「群衆と猥褻」・・・黒猫が担当した「芸術の不発展」のある展示が不敬であると、中止を求められた。これって、あいちトリエンナーレの問題と同じ。「正論で誰かを叩けるほど我々は正解を持ち合わせていない」という黒猫の言葉が重い。
「シュラカを探せ」・・・ゲリラ的に表れて落書き的に作品を残していく覆面アーティスト・シュラカを探す話。これって、やっぱりバンクシーを思い出す。話題性や社会的メッセージばかりが作品の芸術的価値に先んじて語られる現実。それって・・・
「贋と偽」・・・贋作とオリジナルについて。贋作だからといってその作品を見て感じた感動を否定されるものではない。これって、先日読んだ「月と太陽の盤」でも話題になっていたな~。贋作であっても偽物ではない。ん~くらくらする。
そして、最初から最後までツンデレな黒猫と、意外と落ち着いて黒猫愛を育んでいる私の静かで、でもベタ甘な関係に今回もキュンキュンしながら読み終えた。
それにしても、森博嗣の犀川先生と西之園萌絵もそうだけど、どうして若き教授(准教授も)と教え子(付き人も)という関係にこれほど萌えるんだろう~。
このシリーズはまだまだ続いて欲しいな・・・