【感想・ネタバレ】黙過のレビュー

あらすじ

瞠目の医療ミステリー
下村敦史はあくまでもミステリの枠内に留まり、濃厚な謎解きの味わいと〈どんでん返し〉を盛った上で、死を真正面からテーマにしてみせた。構築の美に感動さえ覚える。作家・有栖川有栖
読み終わったとき、思わず胸に手を当てずにはいられなかった。
東京慈恵会医科大学 教授・嘉糠洋陸。移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。(解説・有栖川有栖)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

下村さんの作品は今のところハズレなし。
本作は特に優れたミステリーでした。
「優先順位」「詐病」「命の天秤」「不正疑惑」「究極の選択」からなる医療ミステリーの短編集。
それぞれ異なる話のはずが「究極の選択」で全てが繋がり、各編で解決したはずの謎がひっくり返されます。見事な構成で不自然さや違和感もありません。
この構成だけでもすごいのに、問題提起もお見事。深く深く考えさせられました。

「命の天秤」では人間が食べるために動物を殺すことの是非を問いかけられ、私もこどもに聞かれたら答えに窮するかもしれないと気付かされました(この点はきちんと学び、自分なりの答えを持たなければ)。
また「究極の選択」はもう本当に究極で、どうかそんな選択をしなければならない状況が私の人生に訪れないでほしいと願うしかなく、そんな自分が情けなくなりました。
客観的に考えれば、作中にある「私たちは、命の過剰な重さに自らを雁字搦めにしてはいないでしょうか」という問いを素直に受け止め、あまりに不自然な状態で生き長らえる必要はないと言えるけれど、それがもし大切な身近な人間だったらと想像すると答えは出ないのです。

日々医療が進歩するのは素晴らしいことです。
けれど進歩と同時に人としての倫理観や、地球上に存在する動物の福祉、共存のあり方も考えておかないと私たち人間は医療の進歩の結果、絶望を味わう可能性もあることを知らされました。

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2023年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編で一つ一つの話でどんでん返しがあったのですが、そこまでの衝撃度はないし、回収されない伏線があったなぁと思っていたら、最後の話で見事な伏線回収とどんでん返しでした。素晴らしい作品でした。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやいやいや、たまげました。60頁前後の短編4つと160頁ほどの中編1つ。久坂部羊っぽいなと思いながら読み始めた短編4つは、完全に独立した読み物でした。いえ、そう思われました。

病院から突然消えた危篤患者。重病人のふりをする元官僚。子豚が忽然と消えた養豚場。科研費の不正受給に関わっていたと見られる研究者の自殺。

それが中編に入ろうというときに、前の4つを必ず先に読むように言われる。えーっっっ、これが全部ひとつにまとまるのか。

正直なところ、その4つはさして心に響くものではなかったのですが、最後にこうなるとは。お見事としか言いようがありません。

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2021年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編から、長編へ繋がって行くところが面白く、視点が変わることによって、真相も変わって行くところが凄いなと思いました。
ただ、登場人物が思い悩むほど、私自身に倫理的な嫌悪感がないところに、温度差があって、緊迫感に入り込めませんでした。
異種移植、そんなに嫌悪感あるかなぁ。内臓変わっても、外見からじゃわかんないし。姿かたちが変わってしまったり、本人では無くなってしまうわけじゃないのなら、そんなに嫌悪感は感じないかな。
そもそも、輸血も臓器移植も、何なら予防接種だって、異物混入には変わりないと思ってしまいます。私としては、自分以外はすべて、人だろうが動物だろうが機械だろうが「他」には変わりないので、嫌悪があるとしたら、「人」と「動物」ではなく、「自分」と「他」だと思います。
まあ、当事者ではないので、現時点での想像ですけどね。部分をもらって生きると覚悟したならば、使えるものを使うのは当たり前に受け入れられると思うんですけど、そうじゃないのかなあ。

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2020年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編かと思いきや、最後の一章"究極の選択"で全てが絡み合う良構成。
命の尊厳、種の優位性などの重いテーマながら、患者喪失の謎や厄介な詐病等々織り込まれるミステリが良い。

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2023年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後に物語を無理やり繋げた感もあるが、異種間移植というものがあるものがあることを初めて知り、勉強になった。

現時点で実際どこまでできるのか分からないが、倫理上の問題が非常に多そうだ。

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2022年06月27日

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