あらすじ
会社社長の毒殺事件が発生。なぜか遺体のポケットにはライ麦が。それは恐るべき連続見立て殺人の端緒だった……名家で起きた三つの殺人事件。かつて仕込んだメイドを殺されたミス・マープルが正義の鉄槌を下す!/解説:霜月蒼
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Posted by ブクログ
ミス・マープルシリーズ。
会社社長宅で起こった謎の連続殺人事件の真相に挑む物語。
関係者である家族をはじめ家政婦、執事、メイドたち使用人もみな殺人動機がありそうで、とにかく全員が胡散臭い。
事件の真相に関しては、想定外の人物が真犯人で驚いた。怪しい人物がたくさん登場してすっかり翻弄されてしまった。
最後のマープル宛の手紙には切なくなった。もっと早くマープルの元へ手紙が届いていればどうにかなっただろうか。マープルの怒りと悲しみがじわじわ伝わってきた。
そしてそんな怒り悲しみの次に起こるのは相反する感情"歓喜"。難解な事件の真相に辿り着けた喜びがマープルの体にみなぎる。それは探偵としての性なのか。最後の一文にゾクリとさせられた。面白かった。
単なる品の良い老婦人ではないマープルの姿がとても印象的な作品だった。
それにしても、マープルは何故事件が解決する前に一人帰郷してしまったのか。
今回、事件現場に登場するのもかなり遅かったし。ミス・マープルシリーズということを忘れそうになった。
Posted by ブクログ
初のミスマープルシリーズ。
すごく面白かった。ポアロシリーズはなんというか歌劇的というか戯曲的な感じがあるけども、それとはまた違った感じで、人間関係中心に焦点が当てられ穏やかな中で進んでいく感じがある。
最後の手紙が悲しくなった。
Posted by ブクログ
ある会社で人が殺され、周囲の人物に聞き取りを行っていくと、お家騒動が発端の事件であることが分かる話。
話中に何度か発生する事件は童話をもとに進められているものとみられ、題名のライ麦もその一環として死体のポケットに入れられることになる。
情報収集はニール警部、問題解決はミス・マープルが担当する2主人公制。
ミステリーだと解決役の方が良く書かれがちだが、的確な作業分担という感じだった。
登場人物が多く、同じことを何度も人物らに聞いていく地道な捜査が書かれ、だんだんと話が分かってきたり、人物間の話の食い違いで新しいことが発覚していく辺りが面白い。最後に送られてきた手紙がなかなか悲しい感じがした。
Posted by ブクログ
ミス・マープル シリーズ ⑥
「ポケットにライ麦を詰めて歌うは街の唄───」
会社で毒殺された社長のポケットにはライ麦が詰まっていた。
そして、マザーグースになぞられ連続殺人が起こる。被害者の一人であるメイドは以前ミス・マープルがしこみ、マープルのもとで働いていた。現場となる館にやってきたマープルの推理は。
それぞれにクセがある登場人物達の怪しさ。鉱山をめぐる過去の因縁。そして、マザーグースになぞられる殺人の不気味さ。
誰もが犯人のようで、誰もが違うような。事件に引き込まれました。
今回、犯人を言い当て、すべての謎を解き明かしたマープルが力強くかっこいい。特に最後!
そして、マープルに届いた手紙が哀れで切なかった。
「でも、ほら、素敵な人でしょう」
Posted by ブクログ
マープルシリーズの中でも間違いなく名前が上がる本作。
「でもマザーグースものか、馴染みないからな〜……」とあまり乗り気ではありませんでしたが、オススメされるのも納得。さすがの面白さでした!
投資信託会社の社長が毒殺され、いつも通り疑いがかかる親族たち。
それにしても、クリスティー作品を読むたびに「いい子だけど闇を抱えた長男、人に好かれる放蕩息子の次男、しっかりものの長女」というきょうだい構成は万国共通なのかなとしみじみ思います。私の兄たちがまさにそうなので……。
閑話休題。
今回はニール警部が捜査の指揮を取るということで、ミス・マープルの登場は中盤近くになってから。セント・メアリ・ミードからは遠く離れたお屋敷が舞台なので、うまく捜査に入れるか不安でしたが、そこはさすがの”おばあちゃん力”ですんなりと溶け込みます。コナン君と同じですね笑
肝心の謎解きの方は相変わらず誰も彼も怪しく見える手法で、犯人にもビックリでしたが、もっと衝撃だったのはラスト一文。
今回は育てたメイドが犠牲に……ということで事件に関わったミス・マープル。ただ、彼女を突き動かすのは正義感だけではないのだとまざまざ思い知らされました。
”何があったのか知りたい”そんな探究心の強さが、彼女をただのおばあちゃんではなく”ミス・マープル”ならしめているのですね。魅力的なのに少し怖い。そんな主人公に我々読者は惹かれてしまうんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
圧巻のクリスティ作品なのだけど、個人的には腑に落ちない点がいくつかありました。
1、
『そして誰もいなくなった』の出来過ぎとも言えるくらい爽快に決まる見立て殺人と比べると、やや不完全に感じる。見立てが二人の人物によって行われていたという点を差し引いても。クロツグミは24羽も出てこないし、題名にもなっているポケット一杯のライ麦は、必ずしも王様に係る訳ではない。
2、
ランスが見立て殺人を行うような猟奇的ロマンティストに思えないのは私だけ? 『そして〜』の犯人はいかにも見立て殺人を行う理想主義者としてしっくり来たけれど、享楽的人生を送っており、単なる金目当てで殺人を犯すランスが行うには違和感がある。手間を掛けてでも見立て殺人に仕立てる意味はあったのか? マザーグースの童謡も、ミス・マープルが言っているように30代の若い人には馴染みがないものだったようだから、年齢的にもしっくり来ない。
3、
気の毒にも殺された小間使いグラディスは、本当にランスが自分に惚れていると思っていたんだろうか。グラディスはそこまで賢くないという描写が何度も出てくるけれど、登場するなり秘書室全員の注目を集めるほど色気ある美男子ランスが、自分と釣り合う訳がないと思えないほど愚かだったのだろうか。特に若い女性はそういったことに敏感だし。自分が利用されていると露ほども思わなかったのか疑問。
4、
ミス・マープルものは大好きだけど、このお話にマープルが出てくる必要性はあったのだろうか。エフィおばさまとキャラが被っているし。ニール警部も優秀だから、あのまま捜査を進めればいつか真相に辿り着いていたのではなかろうか。ただ、グラディスが殺された(しかも洗濯バサミで鼻をつままれるという侮辱!)ことに憤るマープルを見られたのはよかった。そしてマープルに宛てた手紙が決定的証拠になる最後の場面もとてもよかった。鳥肌が立ちました。
Posted by ブクログ
ミスマープルが活躍する有名なアガサ・クリスティの小説。クリスティーはやはり普遍的だと思わせてくれる。
マザーグースの見立て連続殺人も相変わらずそそるし、登場人物ひとりひとりの性格やら立ち位置やらも。
ただ、今、21世紀の読み物としてはどう?
上流階級の方たちがメイドに指図して、料理人、執事は文句も言わず(陰口はさんざん言う)家政婦の存在価値もイマイチピンとこないし。例えば遺産で学校を造りたいというその大きさもわからない。株の暴落、高騰など腑に落ちる点もあるけれどお金持ちたちの生活全体も分からない。
殺人の動機も感覚がズレているとしか思えない。その頃の60代70代がけっこうなお年取り扱いされていること自体、今と違うんじゃないかなと。
普遍的な小説とは言えても、しかも楽しんで読み終えたけれどもなぜか言葉にすると欠点ばかりあげつらってしまう。