あらすじ
【世界的ベストセラー小説「君の名前で僕を呼んで」続編‼】
息子のエリオに会うため、ローマへと向かう列車に乗っていたサミュエル。
途中の駅で乗車して来た息子と同年代の女性・ミランダと出会う。
彼女の積極的で歯に衣着せぬ物言いに、戸惑いつつも……。
一方、ローマからパリに移り、クラシックのピアニストとしての才能を開花させていたエリオ。
音楽と向う日々を送っていたが、とある演奏会でふた回りも歳の離れた弁護士のミシェルと出会うことに。
ユーモアたっぷりで優しいミシェルに、惹かれ始めていく…。
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Posted by ブクログ
Call me by your name の続編
「ボロボロに傷付けたのは俺の方、そしてむしろ俺の方が立ち直れていない」
全体の比率として、エリオパパの恋愛の章のボリュームが多く、戸惑いました。やっと最後でエリオが出てきて私の読む気力が急上昇しま
した笑。しかし、パパとミランダとの間にできた息子に「オリバー」(エリオに弟が!!!!!)と名付け、エリオとオリバーの組み合わせだとどうしたって血のつながった子供は授からないのですから、その点でエリオパパの恋愛の章の必要性を感じました。エリオとオリバーはお互いのことを、完全に忘れるでもなく、そのことで頭がいっぱいでもなく、目の前にある恋愛を楽しんだりもしています。
エリオにとってはオリバーとのこと、「大失恋」だったけど、お金持ちのサミュエルに大事に大事にされて、読んでいて少し救われました。なのですが、エリオはふとした瞬間に「やっぱり自分が1番大切な人はあの人」と気づくのですね。そうオリバーも、お互いに。「君の名前で僕を読んで」の最初から、「Find me」のオリバーの章の手前までは、エリオ目線でずっと書かれています。なのでエリオだけがオリバーを懐かしんでいるとどうしても感じます。ですが、オリバーの章ではオリバーもまたエリオのことをどれだけ好きだったか、ということがわかります。あの映画を観れば「あの二人がまたいつか出会ってほしい」とほとんどの方が思われたと思います。永久に別れたままなんで絶対嫌だと。ラストはとても素敵な終わり方になっています。私はこの結末に本当に救われたし、心から読んで良かったと思いました。映画を観た方にはぜひ読んでいただきたいです。
Posted by ブクログ
相変わらずほろ苦いけれど爽やかな物語だ。お父さんとミランダのくだりは少し冗長だったかなと感じたが、読んで数日経つと、あとからじわじわ旨みのようなものが湧き上がってくる。
この人とはお互いに深いところで分かり合える、と思える相手とはいつ出会えるんだろうか。出会えたとしても、人生を共にすることは出来るんだろうか。
自分は昔、自分の価値観とこの人の価値観は同じだ!とびびっとくる人に出会ったことが一度あるけれど、片想いで終わってしまった。相手も少なからずそう感じていたんじゃ?とも思ったけれど、自分にすでに相手がいたのでどうしようもなかった。
前作で、エリオがオリヴァーに会いに行く前に、エリオが出会っていたミシェルという存在。普通の恋愛小説だと、当て馬的な登場人物になってしまうのに、そうはさせないミシェルの背景描写に唸った。そして、エリオとの年齢差から、ともすれば父性的なものが大きくなりそうなのに、恋人としてのエロスがしっかりあり、エリオに彼が忘れていた情熱を思い出させるきっかけになる。ミシェルがしっかりした恋人として描かれているからこそ、そこからオリヴァーに帰ることに、説得力が出てくる。つまり、エリオにとっての唯一はオリヴァーだったということに。
この小説に出てくる人物たちは、世間の夫婦とは恋人とはどうあるべきかということに悩みはするけれど、それでも自分の欲望に素直に従い、自分にとっての唯一を求めていく。
しかし、その唯一と出会ってさらに人生を共にするには、きっとそれを探す時間や、唯一とずっと共にあるために経験値を積まないといけないのだ。だから、エリオの父親もミランダに出会うのに時間がかかったし、エリオとオリヴァーも結局20年もかけなきゃいけなかった。
この物語のいいところは、唯一に出会うまでの時間を、全肯定も全否定もしないところだ。ただ、そうあった自分、無色だけれどその時間を過ごした自分達がいると描写する。
この空白の時間があるから、2人の関係性を殊更素直に受け取ることができる。自分が生きるこの世界でも、こんなふうに自分の魂と呼応する相手が見つかるのかもしれないと、希望を抱かせてくれるのだ。
今の自分、夫と子供のいる自分も、素敵だと思う。でも今後数十年経ったときに、もしかしたらびびっと来る人にまた出会えるんだろうか?それはそれで素敵な話だと思うし、生きるのが楽しくなってくる。
Posted by ブクログ
お父さんのエピソードが良すぎてエリオのことを忘れかけた。でもエリオとミシェルの話も良かったです。オリヴァーとの話は言うまでもなく。
オリヴァーが予期せぬピアノに不意を食うシーンが好きです。音楽ってそれまで忘れていたことや、思い出さないようにしていたことを問答無用で蘇らせる力があると思う。エリオとオリヴァーが失った時間は長く大きかったけれど、ふたりが再会してくれて本当に嬉しかった。
ヴィジリアは自分もやっているなあと思った。一文一文が心に沁みわたる箇所がいくつもあってたまらなかった。
Posted by ブクログ
エリオパパの恋愛パートが長め
ミランダとの列車での出会いからの、一夜のゆきずりの恋かと思いきや後ほど子供もできる関係までになってるなんて。
エリオ、エリオパパ、ミランダとのヴィジリアは、「君の名前で僕を呼んで」の父との会話と呼応している重要なところだと思う。
「父親としてじゃなく、恋をしている男として。とてもうらやましい」
と言うエリオ。
エリオとミシェルとのパートでは、過去を遡っていくとヨーロッパはユダヤ人、収容所などにつながっていくのはつらい。
2部のエリオ、3部のオリヴァーでどちらともお互いを心の中でずっと求めていることを20年の年月を経てからの4部はよかった。
まずは「君の名前で僕を呼んで」映画を観よう。
続編の映画がどんな切り取り方をするんだろう。
Posted by ブクログ
読んでよかった。
あの別れの日から、2人の人生が止まっていたこと、ヴィジリアでお互いを思い出していたこと、やっぱりエリオはオリヴァーでオリヴァーはエリオだから一緒になるべきだってこと。
CMBYNシリーズの「君の名前で僕を呼んで」精神がすごく好き。
1冊の中で何度もロマンティックノックアウトされた。心臓がぎゅんぎゅんした。
「最愛の兄の旅立ちに寄せて」とか、エリオを「オリヴァー」って呼んだところとか。
17歳の夏に読めてよかった。