あらすじ
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北海道新聞文化面での連載(16年8月~20年2月)に加筆修正し、単行本化しました。笑ったり、考えたり、思い出したり、忘れたり。奇妙な星(地球)、おかしな街(東京)でのほのぼのとした癒されるエッセイ集です。ベスト・エッセイ(日本文芸家協会)にも毎年選出。
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Posted by ブクログ
毎日1話ずつ読んだ。全篇滋味深く心に沁みわたるようなエッセイだった。一番最後の「見えないもの」は2020年1月に書かれており、「見えない敵をどれだけ可視化できるかが、人間の営みの重要な課題で、敵を可視化することで、命という曖昧なものに輪郭を与えてきた。」という一文にうなった。
あとがきの、見えないものと共存するためには、見えるものをより注意深く凝視する必要があるという言葉も現状を的確に射抜いていて心に残った。
Posted by ブクログ
吉田さんのエッセイはこれが初めて。
吉田さんの経験された実体験よりも妄想話が面白かった。
吉田さんの描く物語そのもののようで、その発想がいかにも吉田さんらしい。
自分を「いまの自分」と「未来の自分」に分けて二人の自分を演じる話、「天国」は自分の記憶によって創られた世界で「天国」に到着したら探偵を雇って再会したい人(故人)を捜索する話、持ち運べる「夜の鞄」の話、体の中の状態を瞬時に読み取って病気等の警告をしてくれる「ミラー」の話等々、本当にあったら面白いだろうと思わせる、ちょっと不思議でユニークな吉田ワールドに惹き込まれた。
いつかこれらの妄想話から新たな物語を創ってほしい。
『あとがき』に新型コロナのことについて書かれていた。
「見えないもの」に対峙し、共存を余儀なくされている今、「見えるもの」をしっかり把握し注意深く凝視する必要がある、とあった。
肝に銘じよう。
Posted by ブクログ
小説家、吉田篤弘氏が新聞に連載していたエッセイ集。一遍一遍が短いのですっと読める。
本を開いてまず目に入るのが、緑色の罫線である。
文章の幅に合わせており、まるで原稿用紙に書かれた文章を読んでいるかのようだ。
一遍一遍に味のある手書きイラストと、アルファベットがついている。もしかしたら、26文字が重複することなくついているのかもしれない。
短いエッセイだが、一つの漢字であったり、「時計がずれた」というささやかな日常の事柄から、どんどん想像が膨らんでいく作家の脳の一部を垣間見れるような気がする。
好きな一遍は「幸福な時限爆弾」である。
この中で、筆者は「なぜ小説を書くのか」という問いかけに対し、自分を楽しませるために、いつでも自分が読んでみたい小説を書きたいと答えている。
このように、未来の自分を楽しませるために行う行いを、「幸福な時限爆弾」と呼んでいる。自分もこのように生き、幸福な時限爆弾を作っていきたいものだと思った。