【感想・ネタバレ】百年泥(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

南インドのチェンナイで働く日本語教師。行き当たりばったりで胡散臭いけど、不思議と親近感が湧いてくる。
連想ゲームみたいに数珠繋ぎに話が展開されるのが面白くてどんどん読み進める。彼女の物語であって彼女だけのものではないそれらが波のようにうねる。
実話のようなトーンで、有る事無い事ごった煮の世界なんだけれど、悲しい過去も思い出も一切を包み込む懐の深さを感じた。
ガネーシャと招き猫の共通点や、インドの名誉殺人と日本の敵討ちを見比べたりしていたら、そう遠い話でもない気がしてきた。
無口というのを通り越した無言の母と旧友の話は、なんだか美しくて切なくて聞き入ってしまう。「ことば」のない心が繊細に描かれていて、そんな静かな世界をかつて共有してきた主人公の話をもっと聞いていたかった。誰になんと言われようと、「話されなかったことば、あったかもしれないことば」を大事にしてほしいと思った。
無数の人生が埋まった百年泥に私も埋もれているかもしれないと思ったら楽しい。個人でなく誰かの記憶や過去のひとつとして、ただの生命として、地球に飲み込まれたら面白いな。

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2022年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不思議なお話なのだけど、現実的な部分は本当にリアルで、ファンタジーな場面もすべて
「インドなら本当にあるかもしれない」と思ってしまった。そしてあとがきに同じ感想が書かれていた。
大阪の招き猫とインドのガネーシャがすべて交換された街並みは実際にそうなったら面白いと思うし、インド人の登場人物がマクドナルドを「マクド」と言っていて、関西人のインド好きが多いのはとてもリアル。

インドの不思議さや、インド人の純粋さ、おおらかさ、嫌味な賢さ、日本語の間違え方など、本当にリアルで笑った
デーヴァーラージの過去、人となりは胸にグッとくるけど、悲しいとか、可哀想とか、そういう気持ちではなく、それを抱えて生きる彼のたくましさに惹かれた
そして、泥とともに出てくる人々の過去、その過去は後悔が絡んでいるもので、言葉にできなかった気持ちを伝えあう
そんなことがインドでは起こるかもしれない
そして、インドはやっぱり最高なのだ


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2021年02月19日

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