あらすじ
孤独な老人が出会った若く心優しい女。それは女詐欺師に仕組まれた罠だった。女の裏側を描かせれば一級の著者の文庫書下ろし!
沢田隆が晴美と出会ったのは、近所の居酒屋だった。一流企業を定年後、妻を亡くし孤独に暮らす沢田は、親子ほども年の離れた病弱で薄幸な晴美に心奪われ、しだいに彼女のために金を使うようになった。だが、ふとしたことから沢田は、晴美を留美と馴れ馴れしく呼ぶ中年女性の存在を知る。しかも女性はおかしな部屋の話もするのだ。いったい晴美の真実の姿とは? 彼女は何者なのか? それを知る前に沢田に悲劇が訪れる――。明野ワールド全開!
プロローグ
第一章 歳上の男
第二章 歳上の女
第三章 歳下の男
インターミッション
第四章 混沌
第五章 混沌の収束
第六章 破綻
エピローグ解説 内田剛
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Posted by ブクログ
表紙のイラストと、「この女、息をするように嘘をつく」という帯に惹かれて購入。
表紙のイラストは20代後半ぐらいの女性に見えましたが、この作品に出てくる悪女はアラフォー女性でした。
続きが気になり、455ページ一気に読み終えました。後半になるにつれて、どうなるのか?と行く末が気になりページをめくる手が止まらずに夜更かし。とてもハラハラして楽しめました。
まさか、ここまで嘘だとは…とびっくりした所も。
今まで生きてきた中で、あからさまに嘘とわかる「嘘つき」の人はいましたが、こんなに巧みに嘘をつく人と関わったことが無かったので面白かった。
(自分が気づいてないだけかもしれませんが)
何が本当で何が嘘なのか、晴美自身も分からなくなってきていそうな危うい描写もあり。
明野先生の他の作品も読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
三人の共通点は孤独。
そこにスッと入ってくる一人の女性、晴美。
最初は孤独じゃなくなったこと、誰かと食事をし、会話をする、約束をして会う、彼女との日々を大切に、日々を過ごし楽しかったのだが…。
そんななかで、少しずつ彼女の言っていることに齟齬が。そんなはずはないと思いながらも、疑ってしまう気持ちが止められない。それでも孤独よりは…と思う者、真実、本当が知りたいと動きだす者。
晴美の淀みなく出てくる嘘、もう逃げられないんじゃないかと思っても、次から次へと嘘をつく晴美。
彼女が最終的にどう三人と向き合うのか逃げるのか、どうなるのか気になって一気読み。
彼女が瑞枝に語った「本当の話」が最後の方で語られて、彼女がどういう人間だったのかを知る。