あらすじ
新変格の無人の荒野を突き進む、シリーズ第二作!
吸血鬼が棲む館で血塗られた惨劇が。怪奇幻想ミステリー
東京・雑司が谷の墓地裏に教会を構える神霊壽血教は吸血鬼・ストリゴイを崇拝する異端の新興宗教。
「教主の様子がおかしい」との妻からの相談を受け、心理学を学ぶ大学院生・夷戸武比古(いどたけひこ)は教会を訪れる。
あらゆる用事を放り出して、ひたすら近所にできた観覧車に見入る教主・印南尊血に戸惑う夷戸。
やがて教主の娘が密室で死に(自死か殺人か?)、惨劇の幕が開く。
果たしてそれは教会に棲む吸血鬼の仕業なのか?
本格ミステリと怪奇幻想ホラーがせめぎ合う、賛否両論の異色作。
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Posted by ブクログ
吸血鬼・ストリゴイを信奉する異端の宗教、というだけでいかにもおどろおどろしたホラー的な雰囲気が漂うホラーミステリ。怪奇趣味や心理学の薀蓄もいろいろあって、好きな人にはとっても楽しめます。ちょくちょくホラー映画ネタが登場するのも、好きな人にとっては嬉しいところ。
怪奇趣味のわりに、事件は案外地味? そもそも他殺なのか自殺なのか、というような事件なので、派手派手しい現場ではないのですが。それでも全編に漂う陰惨な雰囲気は印象的。
ミステリとしても、考えさせられます。ラストで真相の解釈が人によって分かれる点も、はっきりしていないといえばいえないのだけど。ホラー好きな人はホラーの、ミステリ好きの人はミステリとしての、好きな真相を選べる気がします。私は……やはりホラー的だったのが好きかも。だけどホラーじゃないと解釈したほうが、より恐ろしく思えてしまうのですけどね。