【感想・ネタバレ】セイレーンの懺悔のレビュー

あらすじ

マスコミは人の不幸を娯楽にする怪物なのか。

葛飾区で女子高生誘拐事件が発生し、不祥事により番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。
しかし、多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。綾香が“いじめられていた”という証言から浮かび上がる、少年少女のグループ。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった……。
マスコミは、被害者の哀しみを娯楽にし、不幸を拡大再生産する怪物なのか。
多香美が辿り着く、警察が公表できない、法律が裁けない真実とは――
「報道」のタブーに切り込む、怒濤のノンストップ・ミステリ。

※この作品は単行本版『セイレーンの懺悔』として配信した作品の文庫版となります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

作品の序盤から中盤にかけての朝倉多香美の態度はいくら本人の背景が黒くとも受け入れることはできない。だが、終盤はどこか受け入れている自分もいた。リポーターとして成長していく姿は嬉しかった。
個人的な感想ではあるが、やはりマスコミというのは人の不幸に群がる存在だ、というイメージは変わらない。
タイトルの“サイレーンの懺悔”か意味するのは朝倉さん達マスコミに対するメッセージであるのは間違いないが、あの母親に対してのメッセージでもあると感じた。

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オーディブルにて。

今回は報道の仕事に携わる立場からの物語。
本当に中山七里さんは医療、弁護士、検事、報道、警察など色んな仕事での問題を切り込んで書けるのが凄い。
10年前ぐらいに発行されている本だけど、今でもマスコミのあり方というか問題って変わらないよなーと思いながら。
真っ直ぐな主人公の人柄と周りで支えてくれる人が魅力の物語でした。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある女子高生の殺人事件を舞台にマスコミ(報道番組)視点でストーリーが展開される。
主人公の朝倉は報道番組に携わるテレビ局入社2年目の女性で、この事件を取材する上で自分の仕事の存在意義が問われる。
警察の宮藤には
・「警察は被害者とその家族の無念を晴らすために働いている。マスコミは不特定多数の鬱憤を晴らすために働いている。」
・「警察が追っているのは人ではなく犯罪つまり、法を犯したのは誰かを特定している。マスコミが追っているのは憎悪の対象だ。」
・「マスコミはセイレーンのようだ。視聴者を耳触りの良い言葉で誘い、不信と嘲笑の渦に引き込もうとしている。」
など厳しい言葉をかけられる。また、その中で朝倉は誤報で冤罪を引き起こしてしまう。その時に先輩の里谷は責任を取って異動させられてしまう。
「マスコミは謝罪しない。普段政治家や官僚を非難し、誤りを正す立場にある。その立場にいる人間が謝罪なんかしたら沽券に係わる。権力者を追求する資格を失ってしまう。反権力を気取りながら自らの権力は手放したくないだけだ」
報道の現場に残った朝倉は謝罪をすることも許されず、誤報の原因究明を進め、事件の真相に辿り着く。
マスコミの在り方についても、
「誤った報道は直ちに訂正され、誤報は直ちに訂正するべきです。権力を手にしていても権力に阿ることがないように自らを律していく。」
と決意を誓った。

私も2年目の社会人で同じような立場だが、自らの仕事の意義を深く知ろうとし、プロフェッショナルであろうとする彼女の姿勢が格好良く感じた。
また、先輩の里谷は宮藤にマスコミという職業に対して厳しいことを言われたときに、
「その道に進もうと思ったきっかけを思い出してみろ。いったいなぜ自分がその仕事をしているのか。この世界で何を実現したかったのか。それを思いだせ。」
という言葉をかけてもらっている。後輩をここまで思いやれる先輩になりたいと思う。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

経験の浅い若手記者、朝倉多香美の行動から報道があるべき姿を訴えるストーリー。
ある女子高生誘拐事件が日を追うごとに様々な真実が浮き彫りにされ、最後は殺害された女子高生:綾香が不憫に思えてしまう結末。
全編において人間の弱さが描かれ、ちょっとしたボタンの掛け違いが人生を狂わせてしまうことが若干のどんでん返しと共に表現されている。
特に報道のあり方については一石を投じており、個人的にはすっきりした終わり方であった。

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2022年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マスコミがマスゴミたる所以がよく分かる。報道の内外の闇が恐ろしかった。平気で誤報をして責任はろくに取らず。相手の気持ちは考えずにどんどん傷を抉るようなことばかりして、それでいて報道の自由だ、世間に伝える責任がとか言っていて、タチの悪いことこの上なし。報道だけは仕事にできないななんて思った。
父親が犯人で、母親も一枚噛んでるだろうなまでは予想できたが、(そんなつもりではなかったにせよ)母親が黒幕だったのは辛いな〜。ろくな男と結婚できないと大変なことにになるな…
主人公の朝倉さんは、あの歳の女性としてリアルで、共感できる部分もあるのは良かったが、中山作品の登場人物としては少々おつむ弱めな感じが否めなかったな〜。

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2023年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後に上司戻ってきて欲しかったな。
報道じゃなくて警察の誤認逮捕かと思ったらまさか親が殺してるなんて思わなかった。
手を加えた再婚夫も悪いけども自分の子供なのに子どものためにクソ男と別れることも出来ずに娘に冷たい母親ももはや共犯者のようだった。

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2023年05月19日

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