あらすじ
「大事にしてやらなくちゃ、赤ん坊は。いくら用心したって、しすぎることはない」。公衆浴場の脱衣場ではたらく小母さんは、身なりに構わず、おまけに不愛想。けれど他の誰にも真似できない多彩な口笛で、赤ん坊には愛された――。表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く。一筋の歩みがもたらす奇跡と恩寵が胸を打つ、全8話。
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Posted by ブクログ
とても綺麗で素敵な物語でした。
特に、『先回りローバ』、『亡き王女のための刺繍』が印象に残りました。全体的にふんわりとした雰囲気で、穏やかな気持ちになれます。
Posted by ブクログ
表題作を含む8編からなる短編集。
子どもの目線で書かれている話は、あー、子どもってそういう見方をするかも、と思わせられるし、子どもを偏愛する大人が描かれている作品は少しせつない感じがする。
個人的には、想像のなかでローバと話すことで吃音が直った男の子の話を描いた"先回りローバ"にほっこりさせられた。また、"かわいそうなこと"では、自分がかわいそうだと思ったことをノートに書き始めた少年を描いているが、中でも博物館に展示されているシロナガスクジラに対する感想が好き。
Posted by ブクログ
自分の世界で丁寧に繊細に生きる人々の8話の短編集
短編はあまり好みではないと思っていたけど、
十分に惹き込まれ充たされた
中でも印象に残ったのは、
仮名の作家
途中から、主人公はまるでストーカーじゃないかと気づきドキドキさせられ
空想と現実が見事に折り混ぜられまるで映画を観てるような気持ちになった
狂気の中にも、儚く美しい描写シーンがありきらきらと光ってる
タイトルにもなっている、口笛の上手な白雪姫のお話もとても好き
小母さんと赤ん坊が愛おしい
Posted by ブクログ
偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く、8編の短編小説。
「一つの歌を分け合う」が一番印象的だった。
従兄弟が亡くなってしばらくしてから、伯母が舞台俳優を亡くなった我が子だと思い込み、主人公と一緒に観劇に行く話。
「劇場では誰も泣いている彼女を不思議がったり、奇異な目で見たりしなかった。理由を取り繕う必要はないのだ。伯母は好きなだけ泣くことができた。」
という、帰り道のシーンがよかった。
夫の祖母の葬式のときに、子供を亡くした叔母さんの話を聞いてから、それと重なって思いを馳せてしまった。
「かわいそうなこと」「盲腸線の秘密」も、子供ながらの世界を表していてよかった。