あらすじ
コロナ、AI、異常気象……
押し寄せる変化を「編集力」で味方につける!
「編集」という言葉から、何を思い浮かべるでしょうか?
雑誌・書籍の編集や映像の編集のような、何かしらのメディア情報を取り扱う職業的な技能をイメージされるかもしれません。
ここでは、「編集」という言葉をうんと広い意味で捉えます。
そもそもわたしたちは、ありとあらゆる「情報」に囲まれて生活しています。
起きた時の体の感じ、外の天気、出かけるまでの持ち時間、テレビから流れるニュース、朝食のメニュー、クローゼットの服と今日のコーディネート、
いずれも「情報」であり、そういった雑多な情報をのべつ幕なしに「編集」しながら生きています。
ここで言う「編集」とは、こうした「情報」に関わるあらゆる営みのことを指すものです。
本書で考える「編集力」は、明日の仕事や暮らしに役立つ技能、という範囲にとどまるものではありません。
この世界のいたるところにある編集の営みを思い、新たなものの見方やそこにある方法を発見していくことを通して、ひとりひとりの中に思い思いに引き出されていくまだ見ぬ潜在力こそが、本書で取り扱いたい編集力です。
生命活動のOS(オペレーションシステム)とも言える広義の「編集力」を、「方法」として工学的に読み解くことで、人間が携えるべき基本的な能力の仕組みを明らかにし、改めて装填し直していく。
「編集」を「工学」することによって、あるいは「工学」を「編集」することをもってして、相互作用する複雑な世界の中で、人間に本来備わる力が生き生きと立ち上がっていくことを、「編集工学」は目指しています。
そして、この「人間に本来備わる力」というのは、その現れ方がひとそれぞれに違うはずです。おそらくこれを、「才能」というのだと思います。
才能の「才」は、古くは「ざえ」とも読み、石や木などの素材に備わる資質のことを言いました。それを引き出すはたらきが「能」です。
「才」は素材の側にあり、「能」は職人の腕にある。才能とは、引き出す側と引き出される側の相互作用の中にあらわれてくるものであるようです。
内側にある「才」をいかに引き出せるか。自分個人だけでなく、他者の「才」やチームの「才」、場の「才」ということもあるでしょう。
素材の内側と外側を自由に行き来する「能」としての、しなやかな編集力が必要です。
自分の内側に眠る「才」の声を聞き取り、編集力という「能」をもって表にあらわす。そこに関与するさまざまな方法をエンジニアリングしたものが、「編集工学」であるとも言えます。
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Posted by ブクログ
まず編集という言葉について、自分が持っていた概念とは随分異なっていた。もともと持っていたイメージは、書籍や映像を切り取りまとめる様な編集であったが、ここでの編集はもっと広く、情報全般を包含している。それは生命活動や世界のあらゆる関係も含んでいるという理解。
そういうと、あまりにも壮大な話になるのであるが、本書ではより具体的に編集工学の方法が紹介されており、凝り固まった考え方を解き放って、いかに新しく世界を見るか、その見方について知ることができる。
とにかく知識を頭に入れていかなければ、と思いながら入れても今ひとつ自分自身の身になっていなかったり、そもそもの好奇心が薄れてきていると感じている状況にあって、非常に惹かれる内容であった。
おそらくここで紹介されている10のメソッドは編集工学の入り口であり、超基礎なのだろうが、それだけでもこれまでの視点を変えてくれた気がする。
それ以上は、編集工学研究所と関わりを持つことで得られるのだろうが、まずはここで紹介されている内容をもっと噛み砕いて体感として身につけたい。
Posted by ブクログ
才能とは、引き出す側と引き出される側の相互作用の中にあらわれてくるもの
スキーマ「情報を処理するために使われる知識の基本的なまとまり」+フレーム「ある概念を理解するために必要となるような背景にある知識構造」
BPTモデル=基点となるAの知識(Base)が理解の対象となる(Target)の理解が転用されることを写像(Mapping)と言い、さらにBaseとTargetの間を動くプロフィール(Profile)とし、この3点を動かす方法
Posted by ブクログ
<目次>
特別寄稿 松岡正剛
第1章 編集工学とは?
第2章 世界と自分を結びなおすアプローチ
第3章 才能をひらく「編集思考」10のメソッド
第4章 編集工学研究所の仕事
第5章 世界はつながっている
<内容>
編集工学研究所の専務による、「編集工学」のノウハウと編集工学研究所の仕事を教えてくれる本。松岡正剛が言うところの「編集」とは、すべてを解きほぐし、再度さまざまな形に結びなおすこと。それは哲学的であり、学校の教科を横断したり、社会の常識を見直すことであったり、さまざまな気づきが生まれてくることなのだ。学校でも役に立つ学びが多く盛り込まれている。
Posted by ブクログ
編集工学のエッセンスを記した本。
編集工学とは、情報を扱う学問といえる。外部にある情報を工学的に扱い、内部にある情報を編集していく。情報は知識=記憶。記憶は、編集と密接に結びついている。意味づけにより、短期記憶は、長期記憶に変わる。この長期記憶に変化を与えるのが編集。
編集力は、個人や組織の才能を惜しみなく解放させるもの。
その理解の上に立って、まず、世界と自分を結びなおすアプローチを紹介。
重要概念がきらめくように沢山出てくるが、編集工学としてのHOWの観点から重視されている視点がわかるのがよい。
例えば、3A:アナロジー、アブダクション、アフォーダンス
他にもいろいろあるが、実は、本書の著者オリジナル部分は最後の方にあるホワイトヘッドの哲学を著者の視点で解釈している点にある。