あらすじ
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ドラえもんをテーマに募集された傑作短歌集。
57577のリズムに乗せて、「ドラえもん」のなかまたちや、ひみつ道具を読み込んだ短歌。それが「ドラえもん短歌」です。
自転車で君を家まで送ってた どこでもドアがなくてよかった
失恋をグウで殴ってもう決めた 私今日からジャイアンになる
僕たちが今進んでいる方向の 未来にドラえもんはいますか
かんたんな日本語だけでつくられていますが、その内容は、だれもがうなずけたり、ぐっと来たりする、意味の深さを持っています。
また、文字数を数えてみると、見事に57577と、紛れもない日本の伝統的な短歌の一首として完成しています。
本書は「かんたん短歌」の提唱者として知られ、若者に圧倒的支持を受ける歌人・枡野浩一がネットを中心にでおこなった呼びかけに、全国から続々と寄せられた「ドラえもん短歌」の傑作選です。
日本人ならだれもが笑えて共感できる、新・短歌ジャンル「ドラえもん短歌」。
単行本版93首に、刊行記念コンテストの入選作から7首を加えた、待望の文庫版。
「ドラえもん」× 「短歌」という言葉のひみつ道具を使い、ぼくたちの今の想いを詰め込んだ、22世紀に届けたい決定版です。
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Posted by ブクログ
短歌の先生が初めて買った歌集は枡野浩一さんの本だったとのこと。
角川短歌賞を最高得点だったのに受賞できなかったことで結社が中心となっている短歌界に対する屈折した想いがあるらしい。YouTubeでもそのあたりを語っている。
こちらはみんながご存じドラえもんをテーマにした短歌。かんたん短歌blogか雑誌『ぼく、ドラえもん』に投稿された約3600首を掲載。
冒頭に1ページずつイラストを添えて112首の紹介、ドラえもん短歌の秘密を枡野さんがQ&A方式で解説されている。
青空の入道雲はそれはもう配色としてドラえもんです
(うわあ、青空を眺めたらドラえもん!空を見るたび思いだしちゃうね)
いつのまに私をのび太にしてしまうあなたは罪なドラえもんです
(あまーい!と言いたくなる素敵なラブラブカップルの間柄ですね)
スネ夫って粋な髪型してるよな感じで言うと「司」に似てる
(ははは、イラストがまた良い!着眼点が凄い、本当にスネ夫が司に見えてくる)
目の前にどこでもドアがあったならそれを理由に会いに行きたい
(会いたい思いをどこでもドアに託す切なさが伝わって好き)
もう少し素直になれと言う上司スネオになれと聞こえる私
(このちぐはぐさがお互いの職場内でのズレを象徴していて素晴らしい)
好きだった貴方は今の貴方じゃない タイムマシンで過去に行きたい
(フォークソングにでもなりそうな恋愛の歌)
Posted by ブクログ
我が家の鉄板ドラえもん。
今でも毎週録画している。
小二の息子どころか中一の娘まで、食事時になるとその録画を見ながら食事しようとするほど好きな模様。
自分も『ドラえもん』は好き。
のび太の度重なる浅はかさにはほとほと飽きれかえるのだが、変な方向に頭の回る道具の使い方だったり、弱々しさの芯にある優しさはもはやハードボイルドと行っても良いほどの生き様で、ドラえもんじゃあないけど、やっぱり放っては置けない嫌いになれない存在。
そんなのび太を中心とする、ひみつ道具の魅力、ドラえもんとの信頼関係、ジャイアン・スネ夫・しずかちゃんたちとの友情で溢れる世界観にリスペクトを寄せた短歌達。
現実世界の一場面にそっと『ドラえもん』の世界を重ねることで、いい具合に真意がぼかされたり、おかしみが加わったり、言葉の深さが増したり、逆に大人感が出たり。
これほどまでに影響力のある漫画だったのか。
短歌はその真意を読み取るのが難しいものも多く、歌集や雑誌を読もうにも自分的には結構パワーが必要で、尻込みして最近読めていなかったのだが、すっと頭に入ってくる上におもしろさやひねりを備えたこの作品集はとても良かった。
次は『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』あたりを読んでみようか。
○テスト期間終わってみるとなぜだろうドラえもんの絵うまくなってる
○ドラえもんよりも好きだといっただけなんでそんなにうれしそうなの
○君とした「ひみつ道具でどれが好き?」みたいな話ばかり思いだす
○奥さんがどこでもドアを持ってたらあたしたちもう会えなくなるね
○どこでもないここにいたいと気付くだけ何度どこでもドアを開けても
○あやまちはムードもりあげ楽団が変にムードをもりあげたせい
○空港でチェックにかかりポケットの中身を全部出すドラえもん
○ドラえもんビッグライトで胸だけを大きくするってことはできるの?
○ドラえもん話を聞いてそばにいてひみつ道具は出さなくていい
○大丈夫タイムマシンがなくってもあの日のことは忘れないから
○「ドラえもんがどこかにいる!」と子供らのさざめく車内に大山のぶ代
「さよなら、ドラえもん」の名シーンもなんか短歌っぽく感じてしまった。
ぼくだけの力で、きみにかたないと・・・ドラえもんが(安心して)帰れないんだ!
Posted by ブクログ
いくつになっても忘れないドラえもん。少し前に小1の息子に漫画のドラえもんを買い与えた。持ってる巻を何度も読んでは飽きずに感想を言う。それに真剣に付き合える自分もテレビを観て何度も漫画を読んで育ったから。
本書はドラえもんを題材にした短歌のみがずらりと並ぶ。短歌の事はあまり分からないがドラえもんの事となるとなるほどと感動があるし、情景や心情を思い浮かべて楽しめる。
ひみつ道具ある未来、ない現実のどちらも良し悪しがある。どこでもドアで一瞬で行ける良さ、楽しみの余韻に浸る時間がなく一瞬で終わる帰り道…などなど。
ドラえもんを違った角度から楽しめる本だと思いました。
Posted by ブクログ
2022.10.06
言葉が五七や七五にまたがっている短歌にはあまり惹かれないかも。すぱっと五七五七七でリズムが決まる短歌は気持ちいい。
これだけ様々な切り口で短歌が集まるドラえもんの懐の深さよ…個人的に「ねぇドラえもん」の章が好き。最後の河原涼太郎氏の解説も面白かった。
◎「タケコプターは力学的にありえない」野暮な男と朝焼けを見る 〼あー、夕焼けだったら、とりかえしがついたのに……。
※枡野さんの解説込みですげー好き
◎ドラえもん 話を聞いて そばにいて ひみつ道具は 出さなくていい
◎大丈夫 タイムマシンが なくっても あの日のことは 忘れないから