あらすじ
関東最大の暴力団・東鞘会の跡目争いは熾烈を極めていた。現会長の実子・氏家勝一は、子分の織内に台頭著しい会長代理の暗殺を命じる。一方、ヤクザを憎む警視庁の我妻は東鞘会壊滅に乗り出していた……。
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Posted by ブクログ
『ヘルドッグス』を読み終えて、続編があり三部作であると知った。あらすじは読まずに『煉獄の獅子たち』を読み始めた為、主人公が兼高ではなく我妻という警察官視点で語られるストーリーにあれ?っと拍子抜けした。決意を固めた兼高がどうなっていくかを期待していたのに…
また、前作で登場し死んだはずの人物が生きていたり、時系列がおかしい。なんだこれ?
そこで初めてストーリー展開が分からない程度に薄目であらすじを読む…続編でありながらも前日譚、なんだそりゃ?!
前日譚はいわゆるストーリー0的な後付けなイメージで、人気が出たから裏話を書くついでに出したんでしょ?と購入した事を後悔した。前作の面白さに水を差すようなストーリーだったら残念だから。
先に結論を言うと、前作の良さを損なう心配は全くなかった。我妻と織内がどう出会って前作に繋がっていくのか、ヤクザ組織の分裂・抗争の沿革、地獄の描き方がとても良い。
結末は誰が予想できただろうか?前作でも漫画でもさらっと描かれていたあいつが…まさかまさか…
合わせて購入した三作目も続けて読みます。面白すぎて前作の小説も漫画も読み返したいと思いました。
Posted by ブクログ
関東最大の暴力団・東鞘会の跡目争いは熾烈を極めていた。現会長の実子・氏家勝一は、子分の織内に台頭著しい会長代理の暗殺を命じる。一方、ヤクザを憎む警視庁の我妻は東鞘会壊滅に乗り出していた……。
前作『ヘルズ・ドッグ』の前日譚に当たる今作。前作以上に業が深い登場人物ばっかりであった。煉獄の獅子と題名にあるように、己の信念や正義を貫くために、生きていく彼らや彼女ら、輝いているが、その輝きが失われたり霞んだりする瞬間に死んでいく様は鮮やかであった。
前作に出てこない人や、死亡が伝えられていた登場人物たちも、壮絶な死に方をしており読み応えがあった。ソトクの我妻への対応は苛烈ではあったが、脇が甘い警察官というところでは、仕方ないところもあったのか。
玲緒奈が中国からの産業スパイであったところが1番予想外ではあった。彼女だけはこの作品の救いであって欲しかった、というのもあったのに。
また、前作の氏家正勝が、織内が成り代わった姿であったというのも驚いた。ただ、阿内と繋がっている描写が度々あったので、この過程があったからこその前作なのか、と繋がりの深さにも驚いた。
Posted by ブクログ
ヘルドッグス映画→ヘルドッグス原作と見て、シリーズ2作目の本作を読んだ。
前作で話にだけ出てきた人物や戦いが描かれている。
前作を読んでいれば、十朱が本作で死なないことも、その正体も分かっている。なので、十朱に関する驚きはほぼない。
本作の2人の主人公、我妻と織内がどう交差するのかが注目。
我妻の結末は「まあそうなるよな」といった印象。前作に出てきてないし。
織内の結末には大変驚いた。前作を読んだ人ならみんな驚くはず。
Posted by ブクログ
感想
救いようのない騙し合いの連続で物語を読んでいると、何が善で何が悪なのか?暴力団と警察の境目がどんどん分からなくなってくる。
こうやって、ヘルドックスに繋がって行ったんだなぁ。
あらすじ
関東最大の暴力団である東鞘会は会長の氏家必勝が東南アジアへの進出を果たして勢力を拡大していた。必勝の死により、会長代理の神津と息子の勝一で組が割れる。
勝一は、関西の華岡組と組んで神津を暗殺するも、東鞘会は十朱をトップとして三羽烏体制で、乱れがみられなかった。
組対四課の我妻は、神津組を追い詰めるべく捜査をする。その過程で、借金で嵌められた玲於奈という女を救う。警察内のゴタゴタに巻き込まれながらも、捜査を続ける。東鞘会のトップである十朱が、警察官で潜入捜査を行っている事実を知る。その後、玲於奈との日々に満足していた我妻だったが、身内から玲於奈がスパイであることを告げられ、愕然とする。
ジリ貧の和鞘連合は、織内がなんとしてでも十朱を討つ機会を狙っていた。喜納と織内は、警察の木羽と阿南、我妻と組んで十朱の抹殺作戦に動く。しかし、十朱に裏をかかれて返り討ちに合う。生き残った織内は、勝一のもとに行き、勝一が十朱に情報を流していたことを知る。怖気付いて引退を選ぼうとした勝一を暗殺し、自分が勝一に成り変わることを誓う。
Posted by ブクログ
ヘルドッグスシリーズ第二作目で『地獄の犬たち』の前日譚に当たる。
兼高が出てこないので物語に入り込めるか心配だったが、それは杞憂だった。また新たな魅力的なキャラクターが登場して、読者を極道の世界に引き摺り込んでいく。
ヤクザを憎む危ういマル暴・我妻の最期、すごく悲しかった。もう一人の主人公、ヤクザの織内も悲しい道を歩んでおり、この似たもの同士の二人が死ぬところは見たくないとさえ思った。二人それぞれの地獄を見て追っていて、知らず知らずのうちに情が移ってきてしまう。
闇を抱えた・抱えさせられた人々の絶望は計り知れないけれど、暴力でしか解決できない世界もあるのだろうと思う。
誰が一番怖いのか、考えたけれど阿内だろうか。この人も後に引けなくなっていて、これが一作目に繋がっていくのだと思うと感慨深い。また一作目を読み直したくなってくるし、三作目も期待して読もうと思う。