あらすじ
◆享楽的で退廃的なムードが漂う第1次大戦後のパリ。高等中学に通うポールは、憧れの男子生徒ダルジュロが投げつけた雪玉で大けがを負ってしまう。◆同級生のジェラールがポールを家まで送っていくと、そこには、美しく奔放な姉エリザベートがいた。ポールとエリザベートは、社会から隔絶されたような「子供部屋」で、ふたり一緒にくらしているのだった。◆エリザベートと「部屋」の魔力に惹かれたジェラールは、その日から、ふたりのもとへ足しげく通うようになる。◆そこへ、ダルジュロにうりふたつの少女アガートがあらわれ、運命に吸いよせられるように4人の共同生活がはじまる。◆同性愛、近親愛、男女の愛。さまざまな感情が交錯するなか、4人はまだ幼く未熟であるがゆえに、たがいに傷つけあうことしかできない。◆やがて、ポールとアガートが強く惹かれあっていることを知ったエリザベートは……!◆20世紀のフランスで天才芸術家の名をほしいままにしたジャン・コクトーの小説を、西洋画家・東郷青児が美しく鋭い筆致で訳しだした名作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最初読んだ時に眠かったのもあってふんわりラストに辿り着いてしまったのですぐに読み直したところ、少し読みにくい文章なのに物凄く自分を惹きつける!描写にうっとりするところも多く驚きました。その後も好きなところを何回も読み直しています。
特に146ページのダルジュロが嘲笑を大成した、あたりなどゾクゾクする!
Posted by ブクログ
美しい姉エリザベートと気の弱い弟ポール。二人は愛し合っている。しかし、姉の親友アガートが弟に恋をし、嫉妬した姉は手紙を破くなど二人の恋を引き裂く。絶望した弟は病み、アヘンを飲んで自殺、さらに絶望した姉はピストル自殺。最後は怒涛の展開。いろいろと勢いのあるまさにフランス文学である。
Posted by ブクログ
子供たち、という言葉からイメージしてたより年齢が高かったけど、でもこの登場人物たち、とくに姉弟は「子供たち」という呼び方がぴったり。モラトリアムにしては長いし、いつまでもこんな関係や生活は続かないだろうと思っていたら崩壊しました。姉弟がこの家や人生から退場することによって。
先に映画『ドリーマーズ』を観ていて、原作がこちらだと知り読んだのですが、近親相姦的な官能というよりは、姉弟はお互いに、相手を愛憎渦巻く己の半身と感じてるのか…みたいに思えました。
弟ポールを側に置いておくためにエリザベートが企てたこと凄い…ジェラールは彼女を崇拝してるから言いなりだろうし。アガートを含めた4人で会う気不味さったらないけど、最終的に取り戻したのだからうーん。。。
姉をエヴァ・グリーン、弟をルイ・ガレルが演じていた『ドリーマーズ』とは随分違うんだなぁ。コクトーが制作した?映画もあるようなので観てみたいです。
Posted by ブクログ
岩波文庫/鈴木力衛訳のほうを読んだ。萩尾望都による漫画化、コクトー本人が脚本、ナレーション、キャスティングを行った映画化もされているようなのでそっちも見てみたい!愛ゆえの恐るべき陰謀、悪魔的で雰囲気は好きだけど全部理解できたわけではない
Posted by ブクログ
同性愛や近親愛など様々な愛し方をするお話が面白いと思い読んでみた。しかし、中学生以下の子には少し早い話であった。正直私はあまり本を読まないタイプなので誰が何を思い、考えているか等を深く読み取ることが出来なかった。でも、自分の中で納得した部分もある。それはポールとエリザベートは『愛』のせいで変わった行動をするということ。
ここからは私の考察である。
それぞれの愛の関係について(2)
ポールとダンジェロ
→最後ポールはダンジェロから間接的に貰った「毒?」のようなものを体に取り込んで死んでしまった。この時ポールはダンジェロを愛していたから贈り物を大切に思い使用したのではないかと考えた。
エリザベートとポール
→最後エリザベートはポールが死んだ後すぐにこめかみにピストルに当てて死んでいった。これも愛していたからこその行動であると思う。
これらを読んで『愛』というものがどれほど深いものなのか学ぶことが出来た。