あらすじ
「5Gは何が新しいのでしょうか?
いまどきCPUの世代が変わったからパソコンを買い換えようと思う人はけっこうなマニアで、仕事に支障が出なければ壊れるまで使い続ける人も多いでしょう。
スマートフォンでも、多くの人は“伝送速度が速くなっても関係ない”と同じ機種を今の回線のまま使い続けるようになるのでしょうか」(本書より)
【伝送速度→下りで20Gbps、上りで10Gbps】
【待ち時間→1ミリ秒】
【接続密度→1平方キロメートルあたり、1000000台】
このように規格を定められた「5G」。いよいよ本格的にサービスが開始されるが、その本領は「伝送速度」にあるのではない。
残りの2つ「待ち時間」「接続密度」にある。
5Gが4Gと根本的に異なるのは、タイムロスなく無数の端末に接続できることで、「移動通信システムをスマートフォン以外のものへ解放する役割」を持っているということなのだ。
スマートフォンを超え、自動運転システムをはじめとするあらゆる設備に、遅延なく大容量の通信ができる――。
どうしてそのようなことが可能になったのか。
「そもそも携帯電話がつながる理由」からはじめ、通信技術の本質がわかるよう、平易に解説する決定版。
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Posted by ブクログ
無線による通信の仕組みや携帯電話のネットワークについて、概要がよく分かる
電波は波長が短い(周波数が高い)ほど情報量は多く、直進性が強く(色々なものに邪魔されやすい)減衰しやすい(遠くまで届きにくい)。潜水艦などは波長が数十キロにもなる超長波通信を使っている。波長より小さい障害物を乗り越えたり、回折性も強くなる。
携帯はなるべく遠く、障害物に邪魔されずに通信したい(周波数が低い方が良い)ということと、高速通信(周波数が高い)という矛盾した要求のちょうどバランスをとった所(センチ波)を使ってきたが、これからはミリ波などの周波数帯を活用しようとしているところ。
3GHzで波長10cm。ミリ波→サブミリ波→光(赤外線〜紫外線)→放射線(X線〜ガンマ線)
光ファイバは近赤外線を使っており、数百テラヘルツの領域。
あまり利用者が多くなると割り当てられた周波数帯を使い果たして通話できなくなってしまので、人の多いところではキャリアが無料WiFiを設置していることも多い。
センサなどで通信できるよう、LowPowerWideArea通信の規格が5Gでは策定されている。帯域が狭く、速度も遅いが、センサは電池容量も小さいのでこれでよい。週に一度、1キロバイト程度のデータを送信するだけなら単3乾電池2本で10年稼働できる
スペックとしては6Gでこれ以上のものを実装する必要はあまりない。が、技術の進歩はLAN、マウス、プリンタなどの線を廃してきたという歴史があり、6Gでは無線給電によって電力線をなくす方向にいくのではないか