あらすじ
少年の頃から物語を描いていた。我が青春の四畳半時代。影響を受けた小説、映画、アニメーション。スランプとの付き合い方と自作への想い。京都・東京・奈良をぶらり散策し、雪の鉄道旅を敢行。時には茄子と化したり、酔漢酔女に戸惑ったり。デビュー時の秘蔵日記も公開。仰ぎ見る太陽の塔から愛おしき乙女まで、登美彦氏がこれまで綴ってきた文章をまるごと収録した、決定版エッセイ大全集。
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『四畳半神話大系』『有頂天家族』など、人気作品をポンポン世に放出する、森見登美彦先生のエッセイ集! 書くことを生業にするまでの森見先生の人生からご友人やご家族のお話、はたまた小説のネタ探しのコツまで、ファンにはたまらない贅沢な1冊です。先生の作品に心惹かれて、京都に足を運ぶファンが多いと思いますが(わたしも毎年京都に巡礼しに行きます)、東京にいたサラリーマン時代の話もあって、聖地巡礼の地が1つ増えました!
エッセイ自体は物語に比べてやや文章がお堅く見えますが、どうやら先生はエッセイがあまり得意ではないようで……。意外な先生のお姿も発見できるのも、本作の魅力です。 とはいえ、テンポよく繰り出される言葉遊びは健在! リズムに任せて軽やかに、ズンズン読めてしまうところは、さすがの森見先生だなぁと思います!
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Posted by ブクログ
森見登美彦の2003年から2017までに書かれたエッセイやあとがき、日記等を収録したエッセイ集。どうということがない日常を描いているのになんだか非常に面白かった。
森見さんの小説は、四畳半や京都洛内を舞台に独特の世界観を構築していて、そこに嵌っていけない時はどうにも乗れないのだが、このエッセイ集は四畳半や京都のことも描かれつつも、平常心で普通に読める。悪く言えば小説よりアクが弱いという感じだが、こなれて読み易いのは悪いことではないと思う。
体調を崩した後、故郷の奈良生駒近郊で静養し、現在もそこで執筆をされているようだが、その奈良の描写が実に良い。生駒や矢田丘陵あたりらしきのどかな描写はのびのびと書かれていて読んでる方まで心の緊張がほぐれてくる感じ。
森見氏にとって、京都はフォーマル、奈良はカジュアル、東京はヨソイキって感じなんだろうか?
Posted by ブクログ
まえがきにある、「眠る前に読むべき本」という解説がぴったりくるエッセイ集でした。
森見さんの作品はいくつか読みましたが、好きだと思えるものもあれば、自分には合わなかったものもあり。それらがどんな風に生まれてきたか、いくつかの作品については当時の様子も書かれていて興味深いです。
14年分の文章が集められていて、その主張が一貫しているところがすごいと感じました。
・とりあえず書いてみて、妄想がどう膨らんでいくかに委ねる
・構想の範囲におさまるなら書かなくていい
・物語のかけらは日常の端に転がっている
・奈良
・四畳半
・京都を描いているけれど京都が好きで好きでたまらないわけではない
「四畳半神話体系」が大好きなので、このエッセイ集を踏まえてもう一度読んでみようかと思います。
Posted by ブクログ
【気になった言葉】
「小説を読むということは別世界への「旅」である。」 (P 198)
「俺は恥ずべきことは何もしていない」 (P 221)
【感想】 森見登美彦先生の背景がふんだんに盛り込まれており、今まで読んできた数々の森見登美彦先生の小説の別の見方を教えてくれる。何よりもうらやましいのが先生が処女作(本内では童貞作)『太陽の塔』のモデルとなった友人の姿である。「君の恥ずべき行状が暴露されてしまうがいいのか?」という問いかけに「かまわん」「俺は恥ずべきことは何もしていない」という一言が印象的だ。
こんな素晴らしい友人に出会ってみたい。