【感想・ネタバレ】遊廓(とんぼの本)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

遊郭をどう評価するかは個人の判断に任せたいと思う。私は単純に知りたいと思った。
時代小説に出てくる、吉原の遊郭(江戸の遊郭は吉原にしかなかったことをこちらの本で初めて知りました)

性愛の世界の深さはいまだによくわかりませんし、遊郭というものに一度きちんと向き合いたくて、最初に写真集から入りました。

手ずれができていても美しい建物もあれば、すでに廃墟と化している場所もある。吉原に働く遊女が奴隷であったという言葉に、そうだ、と初めて気が付く愚かさ。
他の史料も当たって改めていろいろ考えたいと思う。

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2020年07月28日

Posted by ブクログ

遊廓とは、かつて存在した、売春を為政者が許容した街のことである。
遊廓という言葉からは、吉原に代表されるような江戸情緒が連想されがちだが、実は遊廓文化は明治以降の近代化と強く結びつくという。江戸期には、東京の吉原や京都の島原、大阪の新町、長崎の丸山といったごく限られたものしかなかった。だが、明治の近代化を境に、その数は飛躍的に伸びていく。
娼婦を国が管理する目的は、性病の防止だった。18世紀以降、西洋諸国には、娼婦を登録し、性病検診を行う仕組みが導入されていった。明治維新に合わせて、日本政府もこれに倣い、娼婦を公娼として管理することになった。
だが、江戸期までの遊廓は、年季奉公の名目を持つ、事実上、人身売買で買われた遊女で成り立っていた。近代化の手前、そのままにしておくわけにはいかず、娼婦は「自由意志」で働く形になった。つまり、店側は「貸座敷」として娼婦が売春を行う場を提供する。そこで働くのは、(建前上は)娼婦の「自由意志」というわけである。
その後、日本陸海軍の軍拡に伴い、軍都が増えるにしたがって、遊廓も広がっていく。
こうした街は、昭和33年に施行された売春防止法によって名目上は消滅した。
遊廓にあった建物は、あるいは旅館やバーなどとして形を変えて使用され、あるいは持ち主が鬼籍に入って崩落し、かつての華やぎは薄れている。

本書は日本各地に残る遊廓の写真集である。
著者は10年に渡り、失われつつあるかつての遊廓を訪れ、撮影をしている。
撮影の許可を頼みに行く際には、こう言うのだという。
私は遊廓が好きです。だから撮影しています

場所の性質上、怪訝に思われたり、警戒されたりということもなくはないようだが、ストレートに「遊廓が好きだ」という取材者に対して、関係者は概して親切に接してくれるという。

表紙のような美しいステンドグラス、紅に塗られた欄干や階段など、保存状態の優れたものもあるが、崩れかけた廃墟のような建物もある。しかし細部に目を向ければ、そうした中にも、意匠に趣向を凝らしたタイルや細かく細工された格子、デザイン性に富んだ窓、配置が計算された石畳などが見えてくる。消えかけた「OFF LIMITS」の文字、PEPSIの広告、星条旗などからは、戦後の進駐軍の影もちらつく。

華やかな嬌声も聞こえるようでもあるが、その陰には、やはり流された多くの涙もあったろう。
この街を、どれほど多くの人が通り過ぎて行ったのだろうか。

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2020年10月28日

Posted by ブクログ

2000年頃より 取り集め
遊郭内部の写真があれば 希少価値はあった
現在では残っているもの建物は稀である

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2021年04月04日

Posted by ブクログ

外観の写真を記録として残している写真集でした。曇り空での撮影が物悲しさを引き立ています。
個々の建物についての説明書きはなく、全体的な公娼制度の説明と昭和の遊廓を切り取った感じでした。
少ない内部の写真では太鼓橋や窓枠など時代を感じさせます。
以前読んだ「遊廓に泊まろう」に比べると少し物足りない感じでした。

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2020年12月14日

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