【感想・ネタバレ】あのこは貴族のレビュー

あらすじ

東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが20代後半で恋人に振られ、焦ってお見合いを重ねた末にハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。結婚をめぐる女たちの葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。

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女同士の戦い?格差?この作品は、そんな言葉では表せません。

東京育ちで何不自由なく育てられた箱入り娘の華子と、富山から名門大学に入学し上京してきた美紀。世襲され固定された社会階層のなかで、幸一郎という1人の男性をめぐって彼女たちが自分の人生と向き合う、映画化もされた話題作です。

生まれや育ちに少なからず影響を受ける現代社会の私たち。異なる環境で育ってきた人と自分を比較して、何か違う…と感じたことはありますか?しかし、その「何か」を言葉にすることはできない。そんな、「誰も言葉にできないけれど目の前に確実にある普通」を作者は巧みに描いています。
1度読み始めたらページを捲る手が止まりませんので、ご注意くださいませ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2025.8.8
ああ、日本は格差社会なんかじゃなくて、昔からずっと変わらず、階級社会だったんだ。
上京してきた人と東京出身の人は、良くも悪くも生まれながら持ってるものが違うと思う。自分も華子と同じような環境で生きているので、知らず知らずのうちに自分の常識を誰かに押し付けていたり、誰かを押し潰していたのかもしれないと思うと怖かった。
育ちの良さと幅広い経験を裏打ちされた、堂々たる振る舞い。無傷な感じは、人を蹴落とそうとする気持ちなど抱く子必要のない世界で生きた証のよう。
客観的に見た華子はあまり美しくないのかもしれない。本能に生きる人間らしさ、自由に飛び立てる強い女性がとても美しいものだと強く感じた。お互い持っているものは違うけど、それを自己肯定感に変えていくことが大切。ステータスや、階級を持った男を追いかけていくのではなく、自分が自分を肯定できる世界を見つけていく。最後の最後までとても素敵だった。とても考えさせられる一冊、また再読したい。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホンマもんのお金持ちってこうなんだ。
ナチュラルにおばあちゃま呼び、、

私は華子でも美紀でもないけど、理解できたのは美紀のほう。
学校の日吉も住んでる新丸子も「東京」ではないんだけどさ。それは置いといて。
慶應行けたのに家の事情でバイト詰めになって、結局はそっちに流れ着いてしまう、
たくさん努力してきたのに、お金によって未来が変えられてしまった、、夢もあったのに。違う未来があったのかなと思うと切ない。

そんな子がいる一方で、生まれた時からお金持ちで、狭い世界で生きすぎてて悪気もなく視野が狭い、仕事を辞めてもなんの不自由もないような子には正直イライラしか感じなかったけど、
これはこれで苦労があるよなあ。周りの人めんどくさい人ばっかだわ。
離婚なんて勇気がいることができたのは意外。新しい人生歩めてよかった。

元祖お金持ちだけど美紀寄りの考えもある相楽さんが終始グッドでした。

女というめんどくさい生き物をすごく言語化してくれた感じ。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は誰しも狭い世界で、自分の価値観を「ふつう」と捉えて生きているのかもしれない。
(特に日本という階層社会では、上にいる人ほど下が全く見えていないらしい)
そんな中で、お互いの価値観を理解しあうことで、新しい生き方が見出せる。そんな答えまで見出せた。
単純に小説として面白く、迸るリアリティに舌を巻いた。
登場する全女子が、私のすぐそばにいるようで、でもまるきり違う世界のひとたちなのが、いっそう面白さを加速させた!

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2025年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、私はどちらかと言わなくても美紀側の人間です。
閉塞感のある田舎が嫌になり、東京に憧れて出てきたのが何年前か…。
なんとか東京にしがみついていたい、そんな気持ちがわかる、わかる。
華子たちの何気ない言葉にグサリときたり。

華子や幸一郎のような恵まれた家に生まれた人はいいな〜と思う反面、読み進めていくうちに息苦しさみたいなものも感じていたので
終盤で美紀が自分が部外者であることに自由を感じているのが、なんだかすごくしっくりきた。

といっても、東京で実際に生活してみないとわからなかったことだとは思うけど。

華子に対しては、大事にされるのが当たり前で自主性のないところが何だかなぁと思っていたからこそ、最後はよかった。

華子と美紀、極端な2人ではあるんだけど、すべての女性が共感できるような普遍性もあると思う。

某慶應における内部生・外部生の話は貫井さんの「愚行録」を思い出した。

映画も見てみよう!

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第3章からがとても好き!

閉塞的な世界でぬくぬくと生きてきた華子が自分の意思で一歩を踏み出す物語。
一定の世界に留まることはその環境が恵まれていようがいなかろうが、感覚を鈍らせてしまうんだなと
思わされた。
よく政治家が一般庶民の感覚を全くわかっていない発言をして批判の的とされるが、こういったことが背景にあるんだろうな、と。
周りの人間が自分と同じような価値観だからこそ、思考停止してその場に安住してしまう。だからこそ違う世界の人間は受け入れられない。日本は格差社会ではなく、階級社会という作中での言及はとてもしっくりきた。

しかし、逆に言えば違う価値観を受け入れて一歩踏み出すだけで見える世界が変わる可能性もあるということ。それを華子自身が体現して締めるラストがとても良かった。

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

プロローグは私の価値観でどう見えるのか図る場所なんだなあ
いつの話?と思ってつい出版された年を確認したわ
これは、お金持ちの人は今もこうってことなの?

「結婚し家庭を持っているというだけで、女はここまで堂々とした生き物になれるのかと華子は思うのだが、そういったかすかな傲慢さを鋭く嗅ぎ分けてしまえるということは、自分がまだそれを手にしていないなによりの証拠なのであった。」ギャッ

すれっからし!そんな男いっぱいいたよ

私は夫の価値観のそばにいられて幸せなのかもなあ

やっぱ好かれてると思った女が急に潔く離れたらいくらスッキリした男でも追いかけるのか

貧乏人の方が自由ってことですか?絶対違うな

自分はお金は持ってないけど性格は華子と一緒なんだよなあ
自己肯定感かあ、そんな選択したことないな
その感じだと社会に出てなんで愛されないんだろうって思ってしまいそうだから今のうちに自分は一人の人間って自覚しといた方がいいよって言ってくれた友達のめっちゃ助かる助言思い出した

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2025年11月20日

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