あらすじ
現代日本から突如異世界に迷い込んでしまった女子大生の水瀬雫。剣と魔法が常識の世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女だったが、魔法文字を研究する風変わりな魔法士の青年・エリクと偶然出会う。
「――お願いします、私を助けてください」
「いいよ。でも代わりに一つお願いがある。
僕に、君の国の文字を教えてくれ」
日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。その旅路は、不条理で不可思議な謎に満ちていて。――そうして、運命は回りだした。
これは、言葉にまつわる物語。二人の旅立ちによって胎動をはじめたばかりの、世界の希望と変革の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白い、異世界召喚?もの。エンジョイしました。Unnamed Memoryシリーズ、オスカーとティナーシャの物語から約300年後、日本の女子大生、雫がファルサスのある大陸に飛ばされてスタート。異世界とはいえ、チートな能力がなんにもないというところが逆に新鮮に感じてしまいましたわ。なんとなく、雫は『天は赤い河のほとり』のユーリを思い出させました。登場人物もまだまだ含みがあるし、何にもわからないまま、一つイベントが終わったような。続き楽しみです。
シリーズ前提で評価しづらい
突然異世界へ飛ばされた少女が巡る冒険譚。
恐らく昨今この手のラノベを読んでいる人には手垢がついた展開。
話す言葉を重要視している世界観で、異世界ならではの独特の不思議な感覚を演出出来てはいるが、斬新かと言うとそれほどでもない。
主人公を取り巻く謎の大きさがぼんやりと表示されるだけに終始しているというのも、前後編どころではない長期シリーズを前提にしていて、読み進めていて混乱するかもしれない。
今作は作者の別作品と設定を共有しているらしく、作者のファン、もしくは異世界ファンタジー(神話類型)に興味がある方が好きになる作品だ。もし両方でもなく、小説世界観設定のうんちくが嫌いという方にはオススメできないだろう。
キャラの思考や台詞もそうだが、好き嫌いがはっきり分けられるシリーズ。私個人は楽しめたが、万人向けでないことは確かだと思う。
Posted by ブクログ
イラストも挟まれる小説。
ラノベと表現されないのは、そのサイズとボリューム故か。
単行本サイズで、とても分厚い。
文庫本と比較すると2~3冊分はある。
そんな大ボリュームで描かれる本作。
異世界ものだが、主人公(雫)は俺TUEEEでもないし、ハーレムでもない。
文字を駆使して問題解決無双するのかと思いきや、そうでもない。
チートといえばチートかもしれないが、いわゆる「なろう」のそれともちょっと異なる。
ここもテーマのひとつになるのだろうと思う。
容量を活かしてか、描写のひとつひとつはとても丁寧。
ファンタジーながらも、情景が頭に思い浮かびやすかった。
アニメ映えしそうだなと思いながら読み進めた。
雫とエリクの小気味良いやりとりはラノベ風で、見ていて楽しい。
どちらのツッコミも面白い。
物語はというと、いまいちテーマが掴みきれない。
本にまつわる物語というところには理解が及ぶが、それ以外は「?」が多い。
肝心の「言葉」についても、まだほとんど鳴りを潜めている。
どうやら、奥に壮大な展開が待っているよう。
で、この1巻はまだまだその序章のよう(この厚さで…)
先は気になるし、読んでみたくはある(既刊3巻)が、如何せんボリューミー。
ある程度、時間を使う覚悟が必要。
なお、筆者の癖なのであろう、同じ言い回しが多用されているのがやや目に付いた。
・逆接の接続詞を文中に使いがち(~~という雫はしかし、~~)
・目を丸くする
・目を瞠る