あらすじ
とある事情で仕事を辞めた志野は、ある日『千撰萬葉集』という古い本を見つける。
しかし、本を開くと小さな和装の女が挟まっているではないか。
悲鳴を上げた瞬間、ざわわーっと同じく小さな生き物たちが本から飛び出していく。
突然神様や妖(あやかし)が見えるようになって困り果てた志野は、この体質を治してもらう代わりに義切が営むブックカフェで働きながら逃げた詠人(よみびと)を集めることに。
ところが詠人を本に戻すには、歌に沿った悩みを解決しなければならない。
彼らに寄り添う内に志野は自身の過去にも向き合い始め……?
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Posted by ブクログ
『万葉集』が関わってくる話と聞いて。
ある方が選歌した『万葉集』の歌集に宿った付喪神たちを集める話だが、その付喪神たちが逐一可愛い。
酔っぱらっている旅人すら可愛い。
歌に宿った付喪神たちだから、歌人そのものの姿や性格ではないところも面白い。
額田王を「ぬーちゃん」と呼んで親友になるとか、何と恐れ多いという。
ぬーちゃん……(他にいいネーミングはなかったのかという顔)
本から離れた付喪神たちは姿を保つために他の人に憑いてしまい、しかも感情移入すると本に戻りたがらなくなるため、その人の悩み解決までしなければならなくなった主人公。
最終的には自分の親子問題にも踏み込むことに。
親の心はなかなか子供には伝わらないものである。
何事もやはり言葉で伝えるのは大切だなと考えさせられた。
主人公の頑張りとぬーちゃんのキャラが立ちまくっているせいか、読み終えた時に「そういや義切の存在が薄くないか?」と思ってしまったのが勿体ない点。
彼は人らしいけれど限りなくあやかり寄りだが、正体が分からないままだし、主人公を助けているけど不在が多いから、色々設定盛られている割に影が薄い……
今後も付喪神たちを集める作業は進みそうだから、その際彼の正体も見えてくるのだろうか。
読み終えた時に、彼が使っていた子鬼たちの方が印象強かったからなあ。
何故だ。
(要は人外たちが可愛すぎた。怖いのもいたけれど)