あらすじ
かつては全国大会金賞、マスコミにも頻繁に取り上げられた、名門高校吹奏楽部。
幼馴染の基(もとき)と玲於奈(れおな)は入部したものの、現在の部にかつての
栄光は見る影もない。
そこへ、黄金時代の部長だったレジェンド・瑛太郎がコーチとして戻ってきて、
あろうことか3年生たちを差し置いて、1年の基を部長に指名する。
選抜オーディション、受験との両立。嫉妬とプライド渦巻く部で
孤立する新入生男子の部長は果たして、全国大会開催地・名古屋国際へ
行くことができるのかー―
かつての輝きを懐かしむすべての大人たち、
部活動に青春をささげるすべての中高生の胸に、
リアルな言葉が突き刺さる王道青春エンタメ小説!
人気作を連発する額賀澪が、松本清張賞受賞作『屋上のウインドノーツ』
から10作目に原点である吹奏楽を舞台に挑んだ渾身の大感動エンタメ!
解説・あさのあつこ
※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
この作品本当に大好き
未来ももちろん大切だけど、今自分が何をしたいか考え行動するみんながきらきらして眩しい すごくすごくかっこいい
私は瑛太郎先生の年代だから彼に感情移入することが多かったな
もう大人だけどまだ迷っていいし、今からだって目指すものがあったっていいんだ
「えーたろーせんせー!愛してるー!」
Posted by ブクログ
凄くよかった!
瑛太郎先生が高校生を眩しいと言ったけれど、本から眩しさが溢れていた。
そして、真っ直ぐな高校生たちに、真っ直ぐに突き動かされる瑛太郎先生も眩しく感じた。
たくさん涙のシーンもあったけど、終始気持ちよく読めて、スッキリ読み終えることができた。
親や先生からの気持ちにどう応えていくか、悩みを抱える高校生たちに、自分のために演奏しよう、楽しもうという瑛太郎先生はとても素敵だと思った。
瑛太郎先生にはいい先生になってほしいと思った。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ良かった。何度も涙腺にきたし最後はほっこりしました。
基よりも瑛太郎先生の方が主人公に見えてしまうのは驚くほど歳が近くて1度社会をリタイアしている等共感する点が多いせいかもしれません。学生たち目線だけの物語だったらキラッキラで最後まで読めなかったかも。でも玲於奈や越谷先輩、池辺先輩をはじめとした部員たち全員に人生があるという重みを感じました。
コンクールメンバーやソロのオーディションの緊張感を思いだしました。吹奏楽以外にもオーディションの経験があるのですが、あの特有の、独特な感情が入り乱れるのは吹奏楽部での経験ぐらいだと思っています。
吹奏楽の密着ドキュメンタリー懐かしい!吹奏楽の旅見てたな~スウィングガールズやのだめも流行ったりして吹奏楽の人気が高まった時期でもありましたよね。
章題等もそうですが実在する曲名がでてきたり、実在の強豪校を文字った学校がでてくるのでその点も読んでいて楽しいです。
楽器によって合う気質があると思っているのですが「超格好良く超目立ちたい、めっちゃ目立って全国の吹奏楽部に『千学のトランペットが凄い』って噂させてやる」と基に言った堂林は清々しいくらいにトランペットで笑いました。
現役吹奏楽部員は勿論、
・20代で元吹奏楽部
・ブラック企業問題を含む、働き方に疑問を持つようになった社会人
に凄く響きそうな気がします。
今からでも、12分間とそこに至る数年間があっという間になるほどに幸せな人生を築いていこうと思えました。
Posted by ブクログ
元吹奏楽部員ということもあり、すごく楽しめた。
席を変えて、暗闇で、そんな合奏やってみたいな。そこまで打ち込めてはいなかったけど。
単純に熱血部活もの!ではなく、拘束時間、将来、オーディション、大会……。取り巻く環境や問題についても触れているところがよかったです。
基と瑛太郎の二人の主人公、どちらの葛藤もいい。特に、瑛太郎がいい。大切だったあの時間を悔やんでしまうことがないなんて言えない。だからこそ、そうなってほしくない。最後に決めるのは自分だけど、無責任なことを言わず一つ一つ選びながら声を掛けるのがいい。
1年生を部長に大抜擢、その奮闘ぶりがもっと見たかったな。
Posted by ブクログ
吹奏楽は高校ではやらない。
かつて憧れていた名門吹奏楽部のある高校に入学した基は、すっかり衰退していた部に見切りをつけて、そう言っていた。
しかし、その最盛期の吹奏楽部を作った憧れの部長がコーチとして部にやってくると聞き、入部を決意した。
物語は基とコーチとして戻ってきた瑛太郎、二人の視点で描かれる。
かつての栄光虚しく、部員のやる気も衰退した部がコンクールで金賞に輝くことが出来るのか?
かつて吹奏楽に青春をかけ、高校生活を全てを費やした瑛太郎。コンクールで輝いた後の人生に悔いを残す彼と
それでも今、一番やりたいことはコンクールに打ち込むこと、何を捨てても金賞の夢を叶えたいと願う基
p262
今日という時間がどれだけいいものだったのかを決めるのは、明日以降の自分だ。だから、今日のために生きるなよ。明日の自分のために生きろよ
物語がハッピーエンドで終わった後も人生は続く
基のような生徒視点の物語はたくさんあるが、
そこに苦い思いをした大人を加えることで、甘くはない人生でそれでも何かに一生懸命になることの尊さが際立った気がする
その尊さに出会ったからこそ、瑛太郎の人生もまた動き出すのがいい