【感想・ネタバレ】いとしいのレビュー

あらすじ

「好きになるということは、好きになると決めること」母性より女性を匂わせる母と、売れない春画を描く義父に育てられた姉妹ユリエとマリエ。温かく濃密な毎日の果てに、二人はそれぞれの愛を見つける。高校教師になった妹マリエは教え子のミドリ子の兄と恋に落ちるが、ミドリ子の愛人は母の恋人だった…。芥川賞作家が描く、傑作恋愛小説。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

川上弘美さん2冊目。
修飾語が好き。
「ミドリ子にとってチダさんとのセックスは、真夜中ひっそりと起きて読む哀しい小説にようなものだった。読んでひそかに涙を流すとあんまり気持ちがいいのでやめられない、やめられないことが情けなくてさみしくせつないのだけれど、やめられないことがうれしくもある。」

「姉の吐き出していた空気がなくなり、姉の持ち物と姉自身も見えなくなってしまうと、しばらく家の中はまばらな感じになったが、やがてまばらなところは均された。知らぬ間に母と私は薄く家の中に広がり、姉の不在によってできた隙間は満たされた。」

「疑ってるんじゃないよ ぜんぜん信じてないだけだよ」

「誰かを好きになるということは、誰かを好きになると決めるだけのことなのかもしれない」

0
2020年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

薄い本。
ページ数的には読みやすいと思うんですが、それよりも何よりも、言葉遣いと感性が独特で、理解できるできないがはっきり別れそうな作品でした。

話の内容としては。
ユリエとマリエの姉妹がいて、妹のマリエが主人公。
彼女たちの母親は、母性よりも女性を匂わせる人。
そんな中、成長したマリエは、高校教諭になり、教え子であるミドリ子の兄と恋に落ちる。
ところが、ミドリ子が関係を持っている相手は、母の元恋人だった……
という感じ。
なんだか、人間関係複雑そうな話だなあ……と思って手に取ったんですが、それぞれがそれぞれに対して割り切っていて、全然、ドロドロしないです。
なんか、「あー……そうなんだ……」という感じでした。
これは、読者の視点であるマリエがそうだからなのかもしれないですけど、人間って意外とこういう時って淡々としているのかもしれない、と思わされてしまいました。

個人的にはこんな複雑な人間関係って体験したことがないし、恋人を他の人に取られるってどんなものなのかもわからないですけど、淡々とした小説でした。
「愛」ってそういうものなのかなあ、と……。
基本的には、「それぞれの愛を見つける」って書いてあるので恋愛に関する話なんですけど、サラサラしててつかみどころがない。
後、現実なのか非現実なのかの境界も曖昧で、なんだかよくわからない、というのが正直な感想です。

でも、作者さんは多分、わかってもらおうと思って書いていないと思うので、これはこれでいいのだろうなあ……と思いました。

さらっと読めるけど、独特な雰囲気を持つ小説をお探しの方にはオススメします。
わかりやすいリアリティのある小説が好きな人は「げっ」と思って引いてしまいそうな作品だと思います。

0
2015年10月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真夏に昼寝をしている二人の姉妹、姉の長い髪が妹の左足に絡まる……という冒頭の描写に惹かれて購入。
戯れに結んだ髪が、取ろうとすればする程からまってしまう。

様々な二者の間に生まれる「いとしさ」が、全て比喩で描かれている。
母の恋人と娘、「一回いくら」という関係の男性と少女、兄と妹、春画のモデル同士など、どれも少しずつアブノーマルな関係。
世間的には普通の恋人同士という設定の二人でも、やはりどこかアブノーマルで何かが欠落している。

好きかどうか自分でもよく分からない、愛し合っているはずなのにどこか欠落している、お互いの「昏さ固さ」に惹かれ合う(そして一方がストーカー化)など、真っ直ぐな意味での「好き」や「愛情」で結びついているのではない二人ばかりだが、相手への「いとしさ」という感情は共通している。
人が誰かと関係を持つことの根底にあるのは、憐憫のような「いとしさ」なのかもしれない。
心理的に不健全な関係になると身体が変化してしまうのが、童話(ピノキオ)のようだと思った。

0
2012年01月20日

「小説」ランキング